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信長ちゃんの真実 ~間違って育った信長を私好みに再教育します~  作者: 牛一/冬星明
第3章「元親様も教育します。えっ、どうして世界が攻めてくるの?」
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12.どうして嫡男は廃嫡される運命の事。

三方(美浜)海岸で海鮮バーベキューだ。

砂浜の砂をモデリングで水槽を作って、転移で海水を入れると近場の漁獲をサーチで捕獲して転移で魚を水槽に飛ばした。


「おぉ、お魚サンが一杯なのです」

「海老です。海老が食べたいです」

「好きな奴を取っていいよ。料理は智の所に持っていってよ」

「はいなのです」「はいです」


私は銛を水槽の横に置いた。

慶次様は銛を使わずにアワビなど拾っており、宗厳様はタコを射抜いた。


「忍様、タコ焼きセットを所望できますか?」

「OK、OK、すぐ出すよ」

バーベキューセットの横にタコ焼きの屋台セットを並べて出した。


宗厳様はタスキを付け、手ぬぐいをねじりはちまきに巻いてテキ屋のお兄さんのような格好でタコ焼きの屋台セットの中に入ってゆく。


タコを捌くとお湯に突っ込む。

その間に木バケツで粉モノの準備をする。

タコ焼き専用の鉄板の底に薪に火を入れてタコ焼きの準備が完了だ。

巨大サイコロ型のタコががっつり入った本物の柳生流タコ焼きだ。

ソースもマヨネーズもネギもポン酢も揃っているよ。


宗厳様が粉モノに嵌るとは思わなかった。


「宗厳のタコ焼きは滅茶苦茶おいしいのです」

「アツアツです」


さっきからウロウロしている帰蝶ちゃんのフォローに藤八と弥三郎が入っている。


「お姉さまは何者なのです?」

「何者って言われてもね。私は私だよ」

「何もない所に物が現れたのは何ですか?」

「収納だよ。異次元の保管している感じかな」

「それに魚をどうやって?」

「転移と言って、好きな場所に好きなように移動できるのよ」

「それは聞きました」

「そう」

「その気になれば、天下を取れるではないですか?」

「天下なんていらないよ。面倒臭い」

「天下一、一番に偉くなれるのですよ」

「一番になってどうするの?」


帰蝶ちゃんが信じられないという顔で私を見ている。


「力ある者が力なき者を助けるのが義務です」

「私がいなくなったら、その人達は野たれ死ぬよ。手助けはして上げるけど、自分の足で立たないと意味がないよ」

「意味が判りません」

「食糧援助という敵国を倒す鬼手を知っている?」

「それは何ですか?」

「文字通り、敵国に食糧をタダで上げる攻撃よ」

「そんな戦略はありません」

「あるのよ。タダで食糧が貰えると誰も米を作らなくなる。作らなくても米が手に入る。そうなると誰も米を作らないでしょう」

「確かに、その通りです」

「そして、誰も米を作らなくなった秋に食糧の援助を打ち切るのよ。毎日、明日の分だけ入ってきた食糧が急になくなる。どうなると思う?」

「食糧を要求します」

「でも、友好国と思っていた敵国が拒絶したら?」

「もちろん、戦です」

「食糧がないので戦にもならないでしょう?」

「確かに!となると。仲間内で食糧を巡って争いが起きる」

「そう、春には誰もいなくなっているよ」

「そんな馬鹿な! でも、その通りです。恐ろしい戦略です」


帰蝶ちゃんは頭がいい。

宗厳様の作ったタコ焼きを美味しそうに食べながら、私の話を聞いてくれる。

あまりの美味しさに笑みが零れるので緊張感がない。


「私が全部やると、私がいなくなると同時に駄目になる。私はこの国を壊したくない」

「よく判りません」

「追々、判ってくるわよ」

「つまり、お姉様は若狭を取らないのですね!」

「うん、それは信長ちゃんや帰蝶ちゃんの仕事だけよ」

「残念です。若狭の武田を御成敗されると期待していましたのに」

「だから、御成敗なんてやっていないって!」

「そうですか?」

「忍様は悪党滅殺、盗賊狩りをやれるだけなのです」


そりゃ、盗賊には容赦しないよ。


この若狭ではでないのよ。


いいことだ。


そう、那古野では休日に芝居小屋に出掛けるのが流行っているらしい。


その演目の1つが、『鬼姫漫遊記』だ。


鬼姫が近江の坂田郡や多賀郡で盗賊、悪代官、悪城主を成敗する痛快時代劇が演じられている。


どう考えても『鬼姫』って私の事よね!


坂田郡では悪の親玉である領主の浅田少輔が鬼姫に叩きのめされて改心する話らしい。


浅井 久政(あざい ひさまさ)の官位は宮内少輔だ。


誰が作者かは知らないけど、犯人は奥女中だろうな!


内容は『水〇黄門』のパクリだよ。


私が行く先々で農民や商人を助けていることになっている。


そんなことはやっていないからね!


 ◇◇◇


若狭の守護である武田 信豊(たけだ のぶとよ)は幕府に味方して、三好長慶と戦って力を失い、家督を弟の信由(のぶよし)に譲ろうとして、嫡男の義統(よしずみ)と内乱を起こし、若狭武田家を滅ぼすことになる。


京極も次男に家督を譲ろうとして、嫡男と内乱をする。


甲斐の武田信玄も嫡男の義信(よしのぶ)を自害させて、勝頼(かつより)に継がせた。


その信玄も父の信虎に廃嫡されそうになって、『押し込み』で父を駿河に追放している。


伊達正宗も母親に殺されそうになったのも、弟に家督を譲る為だ。


信長ちゃんも弟の信勝と家督を争った。


戦国時代、嫡男が廃嫡されるのがブームだったのか!


まったく、何をやっているのか。


理由は簡単だ。


嫡男が生まれた時に結んだ縁が時間と共に邪魔になり、嫡男ごと排斥してなかったことにしようと企むのだ。


若狭の守護である武田 信豊(たけだ のぶとよ)は嫡男の義統(よしずみ)の正妻に将軍足利義晴の娘を貰っている。


ところが、時間と共にと将軍足利義晴から義輝、管領晴元から氏綱に変わり、政権の実力者は三好長慶へと移っていた。


将軍義輝と三好長慶は対立していた。


嫡男は嫁に義輝の妹を貰っており、将軍贔屓である。


嫡男の義統は将軍に睦びつきの深い武将が多い。


将軍と付き合っていては武田が滅ぶと思い、将軍を切り捨てようとしたことで嫡男と対立したのではないだろうか?


結局、過去のしがらみから内紛になるんだよ。


「守護の武田 信豊(たけだ のぶとよ)も馬鹿よね」

「忍様、若狭守護は、武田 義統(たけだ よしずみ)です」

「えっ、あれおかしいな? まぁ、いいか!」


敦賀で聞いていた通り、美浜海岸で揚げ浜式の塩田があった。


揚げ浜式の塩田は江戸初期頃から記録されているけど、実際はいつ頃からはじまったのかは不明なんだ。


日本海側は比較的に干潮差が小さいから入浜式塩田が向かないんだよね!


街道も越前より整備されているし、治安も良かった。


悪代官がいないので帰蝶ちゃんがつまらないと苦情を言う。


その割に景色を楽しんでいるよね!


えっ、海はほとんど見た事がなかったからどこも楽しいですか!


そうですか!


 ◇◇◇


オバマ(小浜)に到着!


急ぐ旅でもないのでゆっくりと回った。


美浜では織田(おりた)神社(福井県三方郡美浜町佐田)があったので行ったが、神社なのか、社なのか、よく判らない伝承だけあったね!


社伝によると、景行天皇六年(聖徳太子以前の天皇)の創祀とか書いてあったのよ。


滅茶苦茶古いのよ。


『おりた』の由来は、二十八所大明神(神々)が降りてきた場所という意味なのだろう。


でも、神主もよく判らないみたいね!


とりあえず、桓武天皇の御世で神社となった。


若狭では、三方石観世音をお参りしてから常神社を御参拝した。


小浜は、坂上田村麻呂が創建したと伝えられる『明通寺』、同じく『神宮寺』、享徳年間(1452~1455年)と最近できた『蓮華寺』等々を巡っていった。


「神社とお寺ばかりなのです」

「忍が寺社好きだというのがよく判った」

「忍様、武田の家臣と思われる者が近づいています」

「じゃぁ、逃げようか!」


お寺の裏を回って転移で次に飛ぶ。


本気で逃げる私に追い付ける者はいない。


 ◇◇◇


「何故、捉まえられん」

「申し訳ございません」

「織田の重鎮である竹姫様をおもてなしできなかったとなると、武田家の沽券に関わる。なんとしてもお招きせよ」


小浜にある武田氏館では、武田 義統(たけだ よしずみ)の声が鳴り響いていた。


若狭の寺社に一〇〇貫文から三〇〇貫文の寄付をして回る怪しい一向が敦賀より小浜に向かっているという報告は上がっていた。


北近江、越前でも寄付をしている一向と言えば、織田の竹姫しかいない。


竹姫に素通りされたと在っては、末代までの笑い者にされると焦っていた。


もちろん、私は知らなかったのよ。


平和過ぎて、慶次様が拗ねちゃった!


つまらん。


私のせいじゃないよ。


二十八所大明神:丹生大明神、伊勢大神宮、八幡大菩薩、加茂大明神、平野大明神、稲荷大明神、春日大明神、大原大明神、四大神、石上大明神、大和大明神、廣瀬大明神、龍田大明神、住吉大明神、梅宮大明神、吉田大明神、廣田大明神、祇園大明神、南無天神、氣比太神宮、熊野大権現、金峯大権現、白山大権現、熱田大明神、十禅師、上下大明神、日吉大権現。

(上下大明神を二社)


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