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信長ちゃんの真実 ~間違って育った信長を私好みに再教育します~  作者: 牛一/冬星明
第3章「元親様も教育します。えっ、どうして世界が攻めてくるの?」
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9.武田とか、今川とか、北条とか、上杉の事。

私は3人の新妻さんから信長ちゃんを奪うほど鬼じゃない。


「鬼でしょう。帰ってそうそうに信長様と添い寝をしようとしたでしょう」

「ははは、気が動転していたんだよ」

「私の番だったのに」

「細かいことを気にすると禿ちゃうよ」

「禿ません」


千代女ちゃんが激しく抗議してくる。

帰蝶ちゃんと北条の方も薄々気づいているという。


「私も何も話しておりません」

「私も話してないです」

「同じなのです」

「同じく」

「某も」


信長ちゃん、弥三郎、藤八、橋介、飛騨守も否定する。

つまり、長門君がばらしたのか!


「何故、そうなりますか」

「いや、言ってみただけ!」

「隠しているつもりかもしれませんが、忍様がお戻りになられると、賄い方をはじめ、普請方、奉行方、勘定方、作事方が一斉にそわそわします。藤八や弥三郎など顔に出ておりますからバレない方がおかしいというものです」

「みんな気がついているの?」

「皆ではありません。古参の者は知っております」


最初から那古野の方々衆は私がやってきたおかしなことをみんな見てきた。

賄い方など、裏庭に牛や豚、マグロとか持って返って来ては料理させてきた訳だから、転移そのものを知らなくても不思議な力を持っていると感じていただろう。


という訳で、私が戻っていることを前提として、長門君や千代女ちゃんに色々と相談にやってくる。


「それだけじゃないわよ」

「まだあった?」

「あんたが帰ってくると、信長様が御飯とお風呂を一緒にしなくなるじゃない。そして、寝屋では他の女の臭いをさせている。気が付かない方がおかしいわよ」

「私、化粧とか、香水は使わない主義よ」

「体臭をさせない女はあんただけよ。帰蝶ちゃんはなんとなく知っている風だけど、北条の方は他に妾がいるとでも思っているみたいよ」


バレバレか、まぁいいや。


 ◇◇◇


天文16年(1547年)も2月半ば、新暦では3月になり、桜も蕾が大きくなってきた。


信濃の小田原氏と木曽氏、村上氏の同盟も明らかになり、武田軍は佐久郡より先に進めなくなった。


佐久を平定しない内に進めないとなると攻略する意味があるのか?


でも、去年の恨みを晴らす為に平定は必須みたい。


まぁ、力攻めでなく、搦め手で落とすつもりみたい。


問題は北条である。


信長ちゃんが北条の方を妻にしており、相互不可侵条約、通称条約を結び、準同盟関係となっている。


武田が小田原氏と木曽氏、村上氏を攻めると織田が出てきて、背後の北条が動くことになる。


両面作戦を武田晴信は嫌う。


という訳で、武田のターゲットは同盟国の今川のみになってしまった。


ところが、この今川も織田との同盟(臣従)を考えており、三河の(織田)信広が担当している。


信広は信長ちゃんの兄であり、三河と遠江を統括する総司令である。


猪馬鹿でとても政略ができる御仁ではないが、酒井 忠次(さかい ただつぐ)榊原 康政(さかきばら やすまさ)を家老に据えて、目付け役の鉢屋 久月(はちや ひさつき)、通称(つき)ちゃんが仕切っている。


尼子に仕えている鉢屋衆の首領である鉢屋 賀麻(はちや がま)の娘が、三河・遠江40万石を仕切っていると聞いて驚いていることだろう。


信広と月ちゃんのコンビは割と巧くいっており、軍事・調練は信広、軍政・政略は月ちゃんと見事に別れており、信広も月ちゃんの言うことだけは素直に聞いてくれるそうだ。


このまま奥にしようと言っているが、『月ちゃんは私のモノだ。誰もやらん』と蹴っている。


月ちゃんは私の直臣だからだよ。


「話がそれましたな」

「月ちゃんは上げないよ」

「判りました。忠次、康政の両人にはそう伝えておきましょう」


今川が織田に臣従するという交渉中は武田が手出ししないように、武田の使者に言い付けてある。


武田は家来じゃないから従う必要はない。


ただ、その場合は今川から救援を求められると、信広がいの一番で飛び出すことになる。


信広も心待ちにしているそうだ。


天竜川に作った二城には柴田勝家と前田利家に任されている。


二人とも武田はいつ攻めてくるのかと、こちらも心待ちにしている。


因みに10歳で当主となった前田利家は、義理の叔父、篠原 一計(しのはら かずえ)と息子の長重ながしげを召し抱えて、天竜川中城を任せている。


脳筋の利家に城の統括ができる訳がない。

本人は日夜、狩りをして兵を鍛えているそうだ。


今川 氏真(いまがわ うじざね)(9歳)も一戦もせずに織田に臣従するつもりはなく、甲斐の武田が攻めてくるなら、返り討ちにして甲斐を手土産に織田と対等な同盟を求めると鼻息を荒くする。


寿桂尼(じゅけいに)太原 雪斎(たいげん せっさい)は若き獅子の鼻息の粗さに困っていた。


(武田)晴信は織田の介入を阻む為に織田と今川の交渉決裂の裏工作に忙しく、遠江でくすぶる反今川方を揺さぶって蜂起させ、援軍と称して駿河に侵攻し、そのまま駐留するという策をめぐらしているそうだ。


初代服部半蔵、服部 保長(はっとり やすなが)の調べではそう言っている。


対、武田という意味では今川の藤林 長門守ふじばやしながとのかみと連携して動いているそうだ。


北条から降ってきた風魔の一団も信広(月ちゃん)の配下にしているけど、勝手に半蔵のおっさんが、息子の千賀地 保元(ちがちし やすもと)と一緒にこき使っているらしい。


月ちゃんは半蔵のおっさんに忍の技を教わっているらしく、月ちゃんは半蔵を『師匠』と呼んでいる。


伊賀・風魔・鉢屋を統合した服部半蔵『影の軍団』が形成されていそうだ。


決め台詞『我が身すでに鉄なり、我が心すでに空なり、天魔覆滅(てんまふくめつ)


応援のお手紙をおくちゃうかな!?


「それはお止め下さい」

「どうして?」

「忍様、公認となると、歯止めは掛からなくなります」


長門君が嫌がったので止めておこう。


話を戻そう。


(武田)晴信は(今川)氏真との同盟強化といい、娘(5歳、後の北条氏政の正室で黄梅院)を側室にどうかと薦めている。


今から攻めようと考えている家に娘を送るとか?


表向きは同盟強化を目論み、裏で内乱を画策している。


何を考えているのか判らないけど、ややこしい事を考えているのだろう。


「とにかく、静観」

「判りました」

「でも、駿河の復興の為に金を上限なしで貸して上げていいから」

「上限なしですか?」

「荒地を復興するのと、復興した国を整備するのと、どちらが楽だと思う」

「畏まりました。そちらは千家(熱田衆)を通じで打診しておきましょう」

「よろしく」


次の課題は関東と越後になってゆく。


北条 氏康(ほうじょう うじやす)河越夜戦(かわごえよいくさ)に勝って勢力を拡大したのはいいが、急激な領地拡大は人材の枯渇に悩んでいた。


織田と一緒で領地を拡大しても統治できない。


民を掌握しないと土地は荒れ、領民がそのまま夜盗になって領地を荒らすことになる。


これを討伐する為に兵を出して、領地経営がさらに遅れる悪循環が起こる。


北条の四公六民も善意のみでやっている訳ではない。


領民を従わせる為の苦肉の策なのだ。


扇谷上杉家当主の上杉 朝定(うえすぎ ともさだ)が河越夜戦で討死すると、猶子であった上杉 憲勝(うえすぎ のりかつ)太田 資正(おおた すけまさ)が擁立して、扇谷上杉家を復興しようとしている。


(太田)資正は横瀬氏支配下の上野新田で身を潜めているが、隙があれば、兵を上げて取り戻すつもりのようだ。


その後背、常陸の国の小田 政治(おだ まさはる)も河越夜戦で足利晴氏に味方して敗れており、中興の祖と崇められる政治の権威に傷がついた。


これは信秀が今川・斉藤に敗れて求心力を失っていった時と同じ現象だ。


勝っている間は神輿を担ぎに集まってくるが、負けはじめると急に見限られて敵に回られる。


宇都宮や結城の動向も怪しくなった。


勢力を伸ばした北条に付くか、抵抗するか、どこもかしこもお家を割って内乱が起こりそうな雰囲気だ。


最後に越後の報告が上がってくる。


長尾 晴景(ながお はるかげ)は越後守護上杉定実の猶子となり、12代将軍足利義晴から偏諱を与えられ「晴景」(はるかげ)になった。父の為景の隠居により、家督を譲られて越後守護代、春日山城主となった。


黒滝城主の黒田 秀忠(くろだ ひでただ)の反乱を契機に、晴景の指導力を不安視する声が高まり、討伐に当たった長尾景虎(上杉謙信)の武名が一躍高まって、内乱になっている。


また、晴景を侮って越後の豪族は守護代に従っておらず、分裂を繰り返している。


そもそも長尾為景(謙信の父)の時代に、守護上杉房能と争って討伐し、新たに養子の上杉定実を守護に擁立した。前守護房能の配下の阿賀北地方の本庄時長・色部昌長・竹俣清綱が反発し、蘆名氏・伊達氏の協力を得て力ずくで押さえた。

しかし、房能の実兄である関東管領の上杉顕定が軍を起こして越後に襲い掛かり、為景は敗走を繰り返したが、伊達尚宗・村山直義・高梨政盛らの協力を得たことで(上杉)顕定を破って越後を回復させた。


しかし、無様に逃走し、周辺国に助けを求めた為景は武将としての評価を落とした。為景を支持する有力な家臣の協力なしに越後の運営も間々ならない。

為景に反発し、反乱が起こった。

結局、その不満から(長尾)為景を隠居させて晴景に守護代職を譲らせたのだ。


『押し込め』である。


(長尾)晴景は病弱で国政に関心が薄く見限られたのではない。


守護代の家老に乗っ取られていたのだ。


そこに彗星のように景虎(後の謙信)が現れたのである。


晴景の家老らに反発を持つ家臣は景虎(後の謙信)の元に駆けよります。


景虎(後の謙信)が兄の晴景に対して敵対心があるかどうかではなく、晴景を支える家老らにとって、景虎(後の謙信)は邪魔な存在になったのです。


こうして、


『晴景を支える家老ら』 VS 『景虎の支援者』

(上田長尾氏等)       (古志長尾氏等)


という戦いの構図が起こり、戦端が開かれそうになっているのです。


越後家中で景虎(後の謙信)を擁立する動きが昨年から続き、水面下で揚北衆の鳥坂城主中条藤資が多数派工作を行っており、いつ導火線に火が付いて内乱になるか判らない状態が続いているのです。


景虎(後の謙信)が率先して守護代職を求めていないことが、事態を膠着させているのよ。


ここが織田家と違う所ね!?


史実の織田家では、信勝が林秀貞(はやし ひでさだ)ら弾正忠家家臣に擁立されて、弾正忠家当主となってしまうのよ。


喪主を信勝が行ったことで疑いようもない。


でも、信長は尾張守護である斯波 義銀(しば よしかね)を手に入れて、守護代のような地位に立って返り咲いたのよ。


林秀貞と土田御前の陰謀で弾正忠家の家督を奪う『ウルトラC』の無血革命を成功させた。


凄いよね!


これには信長ちゃんも従うしかなかった。


で、今度は信長ちゃんが守護を手に入れるという『ウルトラD』の無血革命返しで、尾張国主補佐の地位を奪い返した訳よ。


信長ちゃん、日本一。


謀略を計略で覆すという攻防があったのよ。


これはしびれると思わない!


さて、


越後の家臣団が景虎(後の謙信)を押したのは、戦に強いからだ。


同じく、信勝を支持された理由は体格がよく戦に勝てそうだからだ。


信長ちゃんは女形ができるくらいひ弱ようだもんね!


戦国時代、ヒャッハー脳筋な武将が多すぎるよ。


だから、武田信玄とか、毛利元就が暗躍できた訳だけどさ!


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