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信長ちゃんの真実 ~間違って育った信長を私好みに再教育します~  作者: 牛一/冬星明
第2章.尾張統一、世界に羽ばたく信長(仮)
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76.世界の日常は戦国乱世より酷かったの事

孫(信光)さんに止められるまで、信秀の関節を決めて痛めつけた。

茶番に付き合うのも楽じゃない。

信秀を解放すると、私は孫(信光)さんがいる上座に上がり、孫(信光)さんが降りた。

私は片あぐらでそこに座った。


一体、何が起きているのか?


何という無礼な行為か!

しかし、織田の家臣団が狼狽する。

起き上がった信秀が信長ちゃんと一緒に下座に付くと頭を下げた。

否、二人だけではない。

信光、(勝幡の)信実、(安祥の)信広、(大垣の)信辰も最前列で頭を下げているのです。

もちろん、それに習って林 秀貞(はやし ひでさだ)平手 政秀(ひらて まさひで)らも頭を下げています。

慶次様らや佐治 為景(さじ ためかげ)などの水軍衆、三河衆もそれに習っています。


一方、青山 信昌(あおやま のぶまさ)内藤 勝介(ないとうかつすけ)らは何が起こっているのか判らないというおろおろとしていた。


那古野でも横暴な竹姫であったが上座に付いたのは初めてであり、信秀まで平伏したので慌てていた。


他の者もタヌキか、キツネに馬鹿されているような阿呆面をしていた。


「すでに気がついている者もいるだろう。私は別に信秀の家臣でもなければ、客将でもない」


では、何なのだ?


「盟友である。それも信秀には尾張を統一させてやると約束した盟友だ。信秀、お主と約定はこれで果たしたな!」

「はぁ、ありがたきしあわせ」


信秀がもう一度深く頭を下げます。

この行為でどちらが上位者であるか明白であった。


「まずはこれを見よ」


そう言って、背後に画面を現れます。

何もない所に日の本の絵が映し出されているのです。


「これが尾張、そして、この島が日の本だ。そして、これが我が領地だ!」


画面がどんどんと引いてゆき、日の本が小さくなんて竹姫の領地が色違いで表示された。


これなら馬鹿でも判ります。


竹姫がどれほど巨大な領地を持つ領主であるのか!


「実はな! 領地を広げ過ぎて管理する者が足りんのだ。その人を出して貰うのが私の要望だ。だが、損はないぞ。管理が巧くできたなら、すべて織田にくれてやる」


おぉ、溜息とも動揺とも声が漏れます。


「すでに国の名前を織田国と変えた。悪い話ではなかろう」


悪役にようににやりと笑みを浮かべてみせます。


「どうだ! 何か聞きたいことがあるか?」

「織田にすべてくれるとはなにゆえですか?」

「欲しくて手にいれた訳ではない。現地の民に任せたいが、それもままならない。それが一番の理由だ。かと言って放置もできん。代わりに面倒を見てくれるなら私として助かるのだ」

「聊か信じられません。それだけの領地を無償で織田にくれるのですか?」

「領地経営なんて堅苦しい。屋敷でゴロゴロしている方が楽でいいし、旅なら船が一艘あればいい。それ以上は重荷だからよと言っても信じてくれんだろうな」

「ははは、信じられぬほどに無欲なことですな!」

「無欲? 冗談を言ってはいけないわ。この尾張と三河が発展するだけで、私にどれほどの富が入ってくると思うの? 尾張の石高の10倍が毎年のように私の懐に入ってくるようになるわよ。土地なんて管理するより商売をする方が儲かるのよ。重長なら判るのでなくって!」

「確かにその通りです」

「貧弱な民を多く抱えるより、貸し与えて発展させれば、より大きな利益を得ることになる。私は寝ているだけで儲かるのよ」

「ははは、竹姫は欲が深こうございますな! 納得しました。この重長、微力を尽くさせて頂きましょう」

「しっかり儲けなさい。そして、私に楽をさせて頂戴」

「努力いたします」


敢えて質問をしているのは、津島衆の大橋 重長(おおはし しげなが)です。

津島衆は熱田衆と同じく、同行団に2名の商人を送っており、津島衆も熱田衆も私の領地のことを承知しており、そこに眠る地下資源のことを話であります。

将来、尾張の発展が私の富を齎すのも承知している。

つまり、私は慈善事業で信秀や信長ちゃんを助けている訳ではない。


そういう設定にしていないと信じてくれないのよね!


「竹姫にお聞きしたい」

「誰かしら?」

「新たに織田に組み込まれました岩倉城の城主、織田 信清(おだ のぶきよ)の家老に抜擢されました山内 盛豊(やまうち もりとよ)と申します」

「何が聞きたいのかしら?」

「不躾と思いますが、竹姫は自らが儲ける為に尾張に動乱を持ち込まれたのですか?」

「応仁の乱以降、ずっと揉めていたじゃない。なんて当たり前の話は聞きたくないわね」


盛豊がちょっと嫌そうな顔をした。

本音は、何故、信安を騙してまで尾張を統一したのか?

敵でない者まで騙して、土地は奪うのは道義が外れている。

でも、織田法を導入してくれと言って受け入れる訳もない。

結局、戦は避けられない。


内心では判っているハズだ。


だから、盛豊が聞きたい答えは戦いを始めた理由じゃない。


「応仁の乱よりはじまった乱世を酷い世の中だと思っているでしょう。だから、この乱世を何とか終わらせないなんて私は思わない。信秀も、信長も、信安も、信友も、形は違うけれど民の為に汗を流していた。この日の本の武士たちは有能・無能の差はあっても、民を虐げるような行為はしていない。まぁ、非道な戦はやってくれているけどね」

「ならば、何故?」

「この日の本を一歩出れば、民の暮らしはもっと酷いわよ。この乱世が楽園に思えるほど、世界は酷い悪意に満ちている。そして、その悪意はこの日の本を襲おうとしている。それを防ぎたい。天下を統一すれば、300年くらいの平穏を得られるでしょう。早ければ、早いほどいいのよ。でも、その悪意はその後も日の本も襲い続ける。その負の連鎖を断ち切りたい。この海を繋ぐ島々を守ることが、孫より先の世を守ると私は信じている。だから古い考え方を捨てられない人を排除した。信友や信安であっても織田法に従うならば、城代として戻して上げるつもりだったのよ。どちらも信秀が嫌いらしいわ。元家臣の下に付くのが嫌みたいね! 彼らに罪はない、恨むなら私を恨みなさい」

「外ツ国とは、それほど酷いのですか?」

「この国にも奴隷はあるけど、その奴隷は大切にされる。でも、外ツ国では犬・猫のようにすり減らされ、死ねば新たな奴隷を買いにゆく。憎しみも悲しみも殺し合いも、日の本の比ではないわ」

「その者たちが日の本を襲いにくると!」

「笑顔をふりまき、まるで善人のような顔をしてやってくるでしょう」

「孫の先の世の為ですか」

「ええ、そうよ。私の儲けた金をすべてそこに注ぐ。遠い世の子供達の為にね」

「ははは、竹姫は阿弥陀如来の生まれ代わりか、口の巧い悪赤鬼にようですな」

「好きに言えばいいわ。私は自分で名乗ったことはないわ」

「納得致しました。これより織田の為に尽くさせて頂きます」

「期待しているわ」


本気で納得したなんて思わない。


それに本当にそれで世界が巧く進むかも判らない。


ヨーロッパ人が暴虐の限りを尽くし、その富で産業革命を起こして世界を混乱に陥れた。


第一次世界大戦、第二次世界大戦、どちらもヨーロッパに富が集積した為に起こってしまった悲劇でしかない。


それを覆す可能性が1つあった。


それはアジアで産業革命を起こす。


その可能性があった日本だ。


でも、馬鹿な徳川家康が鎖国なんて内向きの外交を強いたことで、そのチャンスをふいにしてしまった。


窓口を長崎の出島に限定したのは別にいいだけど、学問の規制を強いたのは間違いだった。


海洋国家なのに帆船が発達していないって最悪だ。


徳川は按針(ウィリアム・アダムス、イギリスの航海士)に帆船を作らせていた。


何故、それを日本の船の標準にしなかった。


徳川が帆船技術を独占しながらも貸し出して、アップデートを重ねていけば、明治維新で西洋に負けていなかったハズだ。


徳川は馬鹿なのか?


天下を掠め取った家康が馬鹿だったんだ。


家康には独創性がなかった。


しかし、それが悪ではない。


自分の死後も創意工夫を怠るなと、後世に伝えなかったことが悪なんだ。


結局、徳川は他藩の造反を恐れて進歩を止めた。


それが悪だ。


だから、それができないようにする。


外に領地を持ち、帆船が必須の環境を作る。


文化や技術を独占して一般に広く広めなかったのは最大の徳川政権の失策だった。


学問を学ぶ自由を保障する国家ではないと意味がない。


技術や情報の独占なんて許しては国家が衰退しゆくしかない。


知っている?


江戸初期の徳川の天文方は世界最高の観測技術を有していたんだ。

暦を作るにはそれだけの天文観測技術と高度な計算術が必要であり、日本はそれを有していた。

しかし、それを門外不出とかで独占したことで衰退してしまった。


文化や技術は門を閉めれば、衰退もする。


学問も常に奨励し、称賛し、予算を回していて丁度いいんだ。


戦国で争っているように見えるけど、日本の国力は西洋に負けていない。


あぁ、せっかくの国力を落としたくないな!


願わくは、内戦なしで天下統一して貰いたい。


だから、私は言う。


「ところで、戦後の処理が酷くない」

「と、申しますと」

「私を頼り過ぎよ。私は織田の便利屋じゃないのよ」

「申し訳ございません」


実際、戦後処理が重なって、対外的な方に手が回らないのは仕方なかった。


三歩進んで二歩下がる。


現実なんてそんなものね!


織田が混乱して動けなくなれば、駿河と信濃を武田が美味しく頂くなんてことになりかねない。


それは嫌だ!


だから、私は動いた。


今川を見限って織田を頼ってきた公家衆に織田も頼りにならないと思われるのは朝廷の心証を悪くしかねない。


朝廷を敵に回して、朝敵とか言われて三好と六角が手を結んで織田包囲網なんて作られたら織田が疲弊するのは目に見えている。


こっちも回避しないと内戦が大きくなる。


但し、私が手伝わないという条件ならね!


私が手伝えば、それは織田が天下を取ったのではなく、私が天下を取ったことになって、私なしで回らなくなる。


それはもっと嫌だ!


公家の屋敷に熱田の改造とやり過ぎた感で後悔している。


でも、仕方なかった。


武家屋敷に続いて、公家屋敷を建てるスペースがなかった。


熱田沖を埋め立てて、熱田衆の町の一部を移動して貰った。


まぁ、熱田衆も大喜びだ。


新しい町と倉庫街と埠頭が一遍に手に入ったからだ。


津島衆が泣いて懇願しにきた。


熱田神社に祈願すればと言っておいた。


『ヤマトタケル様のおかげだ』


熱田のご神体がやったことだ。


私じゃない。私じゃないよ。


津島と大垣が湾まで続く運河ができたのは、ご神体の力だね!


運河の出口に津島湊という大型船が接岸できる埠頭も作られた。


ご神体は偉大だね…………そんな訳あるか!


「信秀、3年間は対外的に戦をすることを禁じます。3年間で国力と兵力を整えなさい」

「はぁ」

「攻めてきた時はその限りではありません。持てる限りの力を使って追い返すことを許します」

「はぁ…………」

「何か?」

「少しくらいでも駄目でしょうか?」

「駄目に決まっているでしょう。織田を高転びさせたいのぉ!」


ですよね!

信秀もそんな顔をする。


判っているけど戦いたいんだ。


「私を当てにしても駄目よ。3年間はちょっと出掛けてくるからね」

「忍様」

「信長ちゃん、別に見捨てる訳じゃないのよ。私がいたら頼ってしまうでしょう。だから、しばらく留守する。任せた!」

「「畏まりました」」


信長ちゃんの声が少し弱かった。



ちょっと早め?

8時の投稿は止めておこうラクビーの試合にぶつかってしまう。

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