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信長ちゃんの真実 ~間違って育った信長を私好みに再教育します~  作者: 牛一/冬星明
第2章.尾張統一、世界に羽ばたく信長(仮)
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74.信長の帰国の事

ガレオンを見送った後、使節団は戦列艦に乗り込んでシドニーを目指した。


出航すると元気だった使節団は再び自室の人となった。


戦列艦は800名が乗り込めるように作ってあるから、代表武将に一室を提供し、付き人3人に一室を与えても部屋が余っている。


私と信長ちゃんも自室の人を演じている。


黒装束でローブを被った怪しい集団が尾張・三河に徘徊する。


「ねぇ、もうちょっとマシな服にしない?」

「完璧な変装でしょう!」

「逆に怪しいわよ」


千代女ちゃんは東三河を調査している。


私と信長ちゃんが上空から写真と3D動画を収めて東三河の地図を作製中だった。


街道・河川の計画し、そこから田畑の耕作面積を逆算して石高を見積もる。


さらに人口を調査して、城と町・村の調整を行う。


上空写真があるから隠し田なんて見逃さないし、隠れ村も容認しない。


「ねぇ、忍! ここに街道がつかない?」

「何故、疑問形」

「無くても問題はないよ。でも、奥平が織田に本気で臣従すると思うのよ」


千代女ちゃん、作手地方に国道301号と473号線等々を引いてしまおうと提案したのだ。

尾張と三河と東美濃を結ぶ大動脈を繋げば、一大商業圏がいずれは生まれる。


先行投資としては悪くない。


しかし、今の織田の技術と国力ではかなり難しい技術が伴う。


トンネルなんて無理だしね!


費用対効果を考えれば、絶対に手が出せない。


疑問形なのはそのあたりか!


「判った! 私が好きにやらせて貰うわよ。私の趣味でね!」

「流石、忍! 助かる」

「貸し1つだからね!」

「OK、OK」


ふふふ、やるからには度肝を抜くような国道を作ってやる。


宿場町を兼ねた村を作って、飯母呂の隠れ里も作ってあげよう。


やっと約束が果たせるね!


 ◇◇◇


蝦夷地の開拓も平行してやっている。


冬を凌ぐ為に不純物を除いた石炭山を用意して、自分で掘って貰って生活して貰う。


しかし、石炭を蝦夷地に依存するのもなんだな?


と言って、オーストラリアに依存するには遠すぎる。


帆船が何百隻も所有するようになった未来ならともかく、十隻程度で使用量も賄うのにも無理がある。


「どうされました?」

「蝦夷地の石炭は蝦夷地のみで使用した方がいいかなって思った」

「そうですね! 冬場に運び出すのは難しそうです」

「だよね!」


仕方ない!

望月島を拡張しよう。


望月島に隣接する場所に五島列島を制作する。


上から見ると織田の家紋のような島だ。


花の柱頭にあたる中央の島が生活区として、花びらにあたる島に鉄鋼の島を1つ、金・銀・銅、アルミなどの貴金属の島を一つ、石炭の島を1つ、木々とゴムの島が1つ、レアメタルなどを集めた島を1つ、合計5つの島で構成される。


外側は花びらを守るように高い山々が取り囲んでいる。


資源を取り尽くした後に、巨大な耕作地が生まれることになるだろう。


えっ、水はどうするのかって?


外部の山と中央の台地の間に広がるのは淡水湖ですよ。


花の柱頭に続く巨大な水路で中央部まで船で乗り付けられますが、巨大な5つ島が連結されているのが五島列島ですよ。


100年くらいは織田を支えてくれるんじゃないかな?


「忍様の力は凄まじいです」

「もっと褒め讃えなさい」

「感謝いたします」

「望月島の一部として、千代女ちゃんに管理を任せましょう」

「そうですね」


何故か、信長ちゃんの笑顔が引き攣っていた。

島民にそれを告げると、一旦船に戻った。


まぁ、そんな毎日を過ごしていると、シドニーに到着だ。


「丘だ、丘が見えたぞ!」


そこ声を聞いて船室に倒れていた家臣団も甲板に上がってきます。


佐治 為景(さじ ためかげ)には無理を言って、シドニーの東側から大陸に近づくコースを進んで貰ったのです。


水平線の彼方まで続く大陸の大きさに肝を冷やして貰い、天空の城の偉大さに味わうがよい。


湾が見えてくると、巨大な白い城が見えてきます。


家臣団のみなさんも顎が外れたように口を開けています。


そして、甲板からオーストラリアに上陸すると、原住民2万人が一斉に頭を降ろすのです。


城のテラスから見える景色は一面が耕作地帯の景色です。


船に大麦や小麦や大豆を積んでいる間に視察を行い、再び、家臣団は船上の人になって貰います。


再び、グァムに戻ります。


ここで練習艦に戻す予定でしたが家臣団の頼みもあり、戦列艦のままで尾張を目指します。


潮に乗って日の本に帰るのです。


折角だから琉球も寄ってきたよ。


友好的に寄港すると、物資を交換してサトウキビの生産を依頼します。


琉球王も新しい交易品が増えることを喜んでくれたのです。

琉球王の頼みで戦列艦に乗せて、奄美まで行幸を行います。


奄美の島人を武威で治めるつもりなのです。


大砲の威力は絶大でした。


村を飛び越し、山を崩すので『山崩し』と名付けられ、奄美の島人達は琉球王に従ったのです。


酷い搾取をしないように信長ちゃんが琉球王を諌めていました。


その信長ちゃんの徳に琉球王が自ら臣従を求めたのです。


「では、琉球王のままで、織田に臣従ということでよろしいでしょうか」

「それで結構です」


琉球王は冊封を解いて織田に従うといっていましたが、信長ちゃんは唐の国の窓口として、冊封関係を維持して貰いたいと言ったので、そのままにしてあります。


私が通訳していたのよ。


私の信長ちゃんを褒めてくれるから練習艦級の南蛮船をプレゼントして上げると言っちゃった!


琉球王は泣いて喜んでいた。


こうして、信長ちゃんは琉球を新領地に加えて尾張に戻ったのです。


めでたし、めでたし!


じゃなかった。


そのデカさから伊勢湾に入ると大騒ぎだ。


ですよね!


凱旋なので熱田の湊の船を接岸する………できなかった。


ははは、大き過ぎた。


湊の改修が急務だよ!


小舟に分乗して尾張に凱旋だ。


私と信長ちゃんは毎日ほど帰ってきているので、懐かしさも何もないけど…………家臣団の方々は感動に打ち震えている。


「二度とこの地を踏めぬと思っておりました」

「それほど苦労されたのか!」

「生きた心地がしませんでした」


そりゃ、船酔いでずっと蹲っていたからね!


結局、2割ほどは船酔いを克服できなかった。


一度、陸地のありがたみを知ると、信長ちゃんに懇願して上陸も願ったのよ。


パプアニューギニア、ミクロネシア、グァム、琉球、種子島、土佐中村などに寄ったのは、彼らの為なんだよね。


土佐と言えば、元親様だ。


まだ会いに行っていないぞ。


これは完全に私のミスだ。


何の為に戦国時代に来たんだ!


観光だよ。


失敗だ!


織田に構い過ぎた。


えっ、薩摩に寄らなかったのか?


何となく、ごつそうな人が出てきようだからパスした。


土佐の一条 房基(いちじょう ふさもと)は元公家だからなよなよそうと思ったけど、普通だった。


土佐中村は「小京都」と呼ばれている割にはしょぼかった。


考えてみれば、こんなものか!

(那古野が異常なんですよ)


「尾張のような田舎では、このような南蛮の物は手に入らないでしょう」

「結構なもので!」

「そうでおじゃろう」


信長ちゃんや家臣団が(一条)房基の自慢を微妙な笑顔で返していた。


手に入るよ。


そもそも南蛮船に乗ってきている時点で気が付かないかな?


まぁ、それはいいでしょう。


信長ちゃんの帰国に熱田の衆は大騒ぎだった。



【 予告 】

第2章.「尾張統一、世界に羽ばたく信長(仮)」ももうすぐ終わりです。


次の第3章は、忍ちゃんが働き過ぎで怒っちゃって那古野を飛び出します。

織田は3年間、戦は禁止!

それだけを言い残して、当初の目的であった観光を楽しむのです?


観光?


忍、行く所に騒動あり、平穏な旅であるハズもありません。


北近江、若狭、丹波、京、大和?


左近様は誰が左近様になるのか判らないからパス!


堺を巡って、遂に四国は土佐!


そう元親様に会いに行くお話です。


元親様に会えるぞ!


時は天文16年。


第3章「元親様も教育します。えっ、どうして世界が攻めてくるの?」


忍ちゃん、南米の銀を奪ったことで中・南米のスペイン・ポルトガル・イギリス・オランダを黄金の国『ジパング』に誘ったことを知りません。


気づいていません。


南米で銀が枯渇、東の端に黄金の国を発見!


海賊たちはどこを目指すのか?


今度は九州の大名達が大爆発です。


各大名が世界の王をバックに南蛮船で暴れます。


艦隊戦、再び!


でも、第2章、忍ちゃんが那古野がブラック企業だと怒るまで、もう少し続きます。


オーストラリア、北米、アラスカ、シベリア、これらが織田領だとスペイン王に(喧嘩の)国書も送らないといけませんしね!


そうです。


信長ちゃんの世界デビューがもう少し残っています。


(そう、統一戦前哨戦だったグァム海戦が第3章の伏線だよ)


でも、忍ちゃん、プロット通りに動いてくれないからどうなることやら?


作者の私も知りません。


最初の予定では、グァムは第3章で世界大戦は第5章だったのに、もう第3で世界大戦が起こりそうな雰囲気だよ。


伊達とか、最上とか、南部とか、上杉とか、まだまだ紹介していないことが沢山あるのに!



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