表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信長ちゃんの真実 ~間違って育った信長を私好みに再教育します~  作者: 牛一/冬星明
第2章.尾張統一、世界に羽ばたく信長(仮)
101/156

55.尾張統一戦、牛屋(大垣)城の攻防の事(4)

尾張統一戦ファイナル祭り!


統一戦最後まで投稿します。


最終決戦、二の丸の門の上に立って千代女ちゃんは斉藤・朝倉軍を見下ろします。


「千代女様、準備が整いました」

「これが最後よ。力の限り撃ち続けて、矢の幕を作るのよ」

「「「「うおぉぉぉぉぉぉ」」」」


東の人夫隊も一緒に逃げてきた黒鍬予科隊の総勢1万人が声を上げます。


広場の両翼を守っているのは、信辰の城兵と柳生と甲賀衆しかいません。


つまり、両翼は最強の布陣で固めました。


ここを抜かれれば、もう後がありません?


二の丸を守る土手は通常の土手より3段(5尺×3:4.5m)高く、その土手の上はちょっとした広場のように広く作られています。


1万人が横5列に並んでも余裕で収まる広さを持っています。


仕掛け箱も横一列に並べた上で、後ろに予備箱が山積みされています。


その横に大きな樽もいくつも並んでいます。


空堀は横に広く作られており、普通の弓では撃っても届かないように設計されており、矢盾も設置していません。


ただ、未完成です。


石垣が完成すれば、鉄砲で一方的に撃ち降ろすことのできる城になるでしょう。


ないものねだりするような千代女ちゃんじゃありません。


「鉄砲隊」

「予備の鉄砲、玉も問題なし」

「鉄砲支援隊」

「大丈夫だべ!」

「火薬隊」

「準備完了です」

「バリスタ」

「問題なし」

「大型クロスボウ」

「いつでもいけます」

「のんべ」

「割れます。でも、使わないで欲しいと信辰様がお願いです」

「向こうに言って頂戴!」


職人衆・黒鍬衆・甲賀衆の配置も完了しました。


さぁ、チェックメイトよ。


 ◇◇◇


一方、斉藤・朝倉の大将であるも明智 光安(あけち みつやす)、小柄な鎧武者、朝倉 景紀(あさくら かげとし)も第3の門の上に上がっていました。


「わずか半年でこれほどもものを作るとは驚きですな!」

「この土手は何でできているのでしょうか?」

「見たことのない石ですな!」


攻略するには、空堀を下ってから上る土手は厄介ですが、内側からは簡単に登れます。

空堀はUの字のようになっており、内側にはないのです。


なんと言っても全軍が見渡されて、指揮をするのに都合が良かったのです。


「しかし、驚きましたぞ! まさか、姫様が参戦なさっているとは!」

「兄上に感謝です」

「喧嘩も大概になさって下さい」


斉藤家の軍議の場で鎧武者が思わず戦略に口を挟んでしまった。


義龍は邪魔な明智と朝倉を先鋒に立てて消耗させ、織田共々に滅ぼして、これを機に美濃全域を掌握する思惑が見て取れたのだ。


帰蝶も思わず、兄らの愚かさを『井の中の蛙』と罵ったのだ。


父の利政(後の道三)がそんなことを許すハズもなく、帰蝶の発言は見学を許された一武将としての節度を超えていた。


大言を吐いた責任で参戦させられた訳だ。


小柄な鎧武者が帰蝶であると知っての挑発であった。


明智を支持する武将にとって帰蝶は大切な姫様であった。


同じように土岐の復興を願う武将も明智についている。


「斉藤の姫様が優秀な方とは聞いておりましたが、軍略にも長けておいでとは知りませんでした」

「まだまだ、若輩者でございます」


帰蝶は正面と両側面に各1,000名ずつの先駆けを送った。


これは先ほどと同じ矢を無駄に使わせる為に囮部隊です。


本命は第2陣の街道門を攻略する部隊です。


街道門を守る土手に仕掛け箱が少ないことに気が付いた帰蝶は、光安の軍を2つに割って、一隊は街道門から横門を目指すと言ったのです。


「正面の攻略には、朝倉様のお手数をお掛けする事になります」

「門が開いてからの事でも。お任せ下さい」


朝倉とて、8,000人の兵を連れて遊びに来たのではありません。


1つくらい手柄がなければ、越前に帰ることもできません。


「しかし、街道門に斉藤軍が殺到すれば、敵も慌てましょう」

「はい、その混乱に乗じて第4の門を攻略いたしましょう」

「そうですな!」

「しかし、敵に鉄砲が揃っておれば、恐ろしいことになりますな!」

「はい」


この城は鉄砲で攻防することを念頭において作られている事に気づいたのです。

つまり、帰蝶は空掘が広いことから敵の矢が届かないことを指摘したのです。


斉藤軍が横の街道門を攻略している間、正面の敵は何もできない。


もちろん、無駄矢は撃って貰う。


斉藤軍を囮にして、朝倉軍に第4の門(二の丸の門)を攻略する作戦を立てたのです。


(朝倉)景紀は大いに賛同しました。


第3の門の裏では突撃の斉藤軍が待機しています。


 ◇◇◇


ダダダダダダァァァァァ~~~~~~ン!

ダダダダダダァァァァァ~~~~~~ン!


正面と側面から鉄砲隊の威嚇射撃で戦いの火ぶたが切られました。

正面の土手から届かない大量の矢が放たれています。


この矢の中に空堀を下ってから土手を上る勇気があるかと言っているようです。


「慌てるな! ここに届くのは鉄砲のみだ」


門を破壊する丸太隊は、ここから正念場を迎えます。


唯一、空堀のないのが門の前だけです。


織田もそれを承知です。


石や煮え湯が降ってくるもの承知の特攻です。


第二弾の丸太隊もすぐ後を付いて来ています。


予想通りの矢の雨が降ってきました。


帰蝶は違和感を覚えます。


用意周到な敵の大将がこんな温い対応な訳がない?


刹那!


街道門が開いたのです。


しまったと思ったのです。


「突撃隊、前!」


帰蝶はそう叫ぶと、帰蝶は土手を降りて馬に乗ります。


「我に続け!」

「帰蝶様」


光安を無視して、帰蝶は駆け出します。


「姫様を守れ!」


突撃隊が帰蝶を追います。


ぬかった!


織田の遊撃隊の話を聞いていたのに、自分の策に溺れていたことに気が付いたのです。


街道門は手薄なのではなく、そちらに最強の部隊がいるから手薄なのだと今更ながら気がついたのです。


飛び出してきた遊撃隊が斉藤の大盾隊を紙のように引き裂いてゆきます。


「盾を密着させて耐えろ! 道を開けてはならん!」


帰蝶の声は届きません。


左翼1,000人の大盾隊が2つに引き裂かれ、敵も2つに分かれます。


1つは中央の大盾隊を横から襲うのです。


敵の遊撃隊はわずかに500人程度です。


その500人に左翼と中央の大盾隊2,000人が全滅させられようとしていました。


「なんという速さだ」

「姫様」

「お前達はそのまま突き進め! 敵の遊撃隊を押し返せ!」

「はぁ」


後続の丸太隊を守るように、中央の敵遊撃隊に突撃隊をぶつけます。


「丸太隊は敵の遊撃を排除した後に、門の破壊のみに専念せよ」

「はぁ」

「突撃隊の第2軍は我に続け、左翼を救出する」

「「「「「「「「「うおおおぉぉぉぉぉ」」」」」」」」」


『突撃!』


帰蝶は今、父の言った『先駆け』という意味を思い出していました。


わずか200人程度の遊撃隊が1,000人の大盾隊を全滅の危機に追い込んでいるのです。


悔しさでこのまま死んでしまいたいほど、腹が煮えくり返っています。


私の失態だ。


 ◇◇◇


宗厳様と家厳のじいさんが赤い甲冑を纏って敵中に駆けてゆきます。


大盾を無視して飛び上がると、敵に背後にぴたりと着地し、くるっと回って一閃を放ちます。


周りの5・6人がばたりと倒れてゆきます。


「イザァ! 勝負!」


そう叫ぶと宗厳様と家厳のじいさんが左右に広がります。

一瞬の惨劇です。

宗厳様が通った後に血の雨が降り注ぎます。


一方、家厳のじいさんは合間を駆けてゆくと、まるで木簡楽器でも叩いているように、喉元・背筋を槍先で切り裂いてゆくのです。

斬られた本人は気づくこともなく、力なく倒れます。

即死ではありませんが、おそらく助からないでしょう。


二人が開いた道に後続の500人が突入します。

100人ずつか左右に別れて、敵の左翼の殲滅に残ります。

残り300人が宗厳様を追って中央へ駆けてゆきます。


宗厳様は中央の1,000人は丸太隊を守るように左右に500人ずつに分かれていました。

すぐに大盾隊を横から走ってくる宗厳様に合させて組み直そうとしますが、正面から撃ってくる鉄砲を気にしながら、重量のある大盾をすばやく組み替えるなど不可能だったのです。


裏を取って駆ける宗厳様が苦笑いをしています。

目の前の敵で腕を裂き、あるいは、首根を引き裂きます。

余りにも主が『不殺』を口癖のように言うので手元が浅くなってしまいます。


腕を切り落とすのではなく、骨が露出する感じで健を切り裂く感じと言えば判るかな?


つけ根を斬られて腕が宙ぶらりんになる感じね!


首元も同じく、皮一枚を切った感じで大量出血していますが、ばっさり引き裂いていないので手を押さえつけ続ければ、助かるかもという感じです。


背中も三角筋のつけ根を裂く感じで傷を付けてゆきます。


ちょっと前の宗厳様なら、すべての首が飛んで綺麗な赤い噴水がいくつも出来ていたのでしょう。


くくくっ、口元を緩めて甘くなったと感じてしまいます。


ただ、悪いことばかりではありません。

骨を裂かなければ、刀の消耗が抑えられます。

力もほとんど要りません。


刀速が以前の二倍か、三倍の速度を維持しているのです。


まさに『疾風迅雷(しっぷうじんらい)』で誰も宗厳様を止めることができません。


かかかぁ、それを流し目で見ていた家厳のじいさんが笑います。


「遂に秘伝を手に入れたか!」


柳生の不殺は、親切心などではなかったのです。


斉藤先陣の左翼と中央、そして、丸太隊が一瞬で崩れてゆきました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ