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信長ちゃんの真実 ~間違って育った信長を私好みに再教育します~  作者: 牛一/冬星明
第2章.尾張統一、世界に羽ばたく信長(仮)
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54.尾張統一戦、牛屋(大垣)城の攻防の事(3)

尾張統一戦ファイナル祭り!


統一戦最後まで投稿します。


千代女ちゃんら第3の門まで下がって斉藤軍を待ち受けますが、土手を降りて宗厳らと作戦の打ち合わせ中です。


「ごめん、完全に失敗した」

「ほほほぉ、戦などそんなものだ。この家厳、長年に戦ってきたが、思い通りに運んだことは一度もないわ」


家厳のじいさんが千代女ちゃんを慰めてくれています。


千代女ちゃんの予定では、大外の門から第2の門まで、相手を怒らせる小細工をしていました。そして、第2の門で手こずらせ、相応の犠牲を払わないと中々に落とせないという刷り込み行い。

第2の門、第3の門と土手攻略を強調します。

そして、最後の二の丸の門(第4の門)まで誘い込むのが作戦でした。


つまり、向こうに全員突撃の『二百三高地』をさせるつもりだったのです。


多少の犠牲は致し方ないと相手に思わせ、二の丸の門(第4の門)で逆襲の一撃で終わらせる短期決戦を描いていました。


まさか、初手から全員の突貫攻撃をやってくるなんてね!


クロスボウを扱う黒鍬予科隊の被害を出さない為にも全力を出すしかなかった。


誤算でした。


土手を押さえないと被害が増加すると思わせるハズが、土手の攻撃は危険だと認識させられてしまったのです。


「籠城する側が短期決戦を挑むというのは面白かったです」

「宗厳さんにそう言って貰うと救われます」

「で、どうするお嬢ちゃん」

「基本構想は一緒で行きます。但し、この第3の門は敵の出方に関係なく、初撃を全力で抵抗し、すぐに撤収します。門が開閉後に鉄砲の一斉射撃を行い、敵が突入して来ないなら、柳生衆は鉄砲衆と一緒に街道門に撤収して下さい」

「二の丸籠城戦に移る訳ですな!」

「はい」

「ほほほぉ、腕の見せ所じゃな!」

「お任せします」

「任された」


二の丸籠城戦、鉄砲(弓・クロスボウを含む)と柳生戦力を作った遅滞戦です。


千代女ちゃんは二の丸の門を守り、柳生は街道門を守ります。


街道門とは、美濃路(みのじ)の関所が置かれている門のことであり、元々は牛屋(大垣)城の横を通っていた道です。

その道を場内に引き込んで、町屋共々城壁の内側に入れてしまったのです。


〔美濃路とは、中山道の垂井宿(不破郡垂井町)と東海道の宮(熱田)宿(名古屋市熱田区)を結ぶ約60kmの脇往還です。〕


町屋の外れに渡し船が出ており、船で向こう岸に渡ってゆくようになっています。


当然ですが、斉藤に雇われた川賊が襲い掛かっています。


でも、鉄砲の届かない所で吠えて、届かない矢を撃っているだけなのよ。


攻撃してますって、カッコだけ!


この揖斐川(いびがわ)は川を堰き止めて水量を減らしているけど、それでもかなりの水が流れているから船・筏を使わずに渡河は難しい。


斉藤軍の先発隊も夜半の内に美濃中山街道を使って、船を往復させて揖斐川を渡河していた。

同時に本隊が渡河する筏橋を用意していた。


ここだけの話、大垣城に弱点があった!


揖斐川沿いの土手は完成しているけど、石垣は組まれていない。

さらに、その内側はまだ手付かずだった。

時間が足りなかったというのもあるけど、石垣が完成すると揖斐川と石垣で超難所になる。


罠を用意するだけ無駄な訳です。


千代女ちゃんは最初に川沿いの土手を完成させて中を隠してしまった。


だから、今はただの土手に過ぎない。


千代女ちゃんは、戦力外の人夫5,000人をすべて東の土手に集めた。

そして、(船の進行を止める)木柵、(川岸の)板壁、土手がある難所に見せた。


ハッタリです。


もしも東の揖斐川から攻撃されたら、初手から二の丸まで撤退させると答えていたわ。


二の丸籠城戦が千代女ちゃんの基本構想なのよ。


そうなれば、大量の火薬筒を使った物量戦で耐え忍んで勝ちを拾うしかなかった。


この時代にダイナマイトがある時点で火力で負けることはない。


勝ちは決まっているけど、短期決戦は放棄するしかなかった。


それは千代女ちゃんの作戦は完全に失敗を意味した。


作戦が巧く進めば、負傷者は多いけれど、死者がもっとも少なくなるハズだったのよ。


信辰さんが気に掛けるブツも使わずに済んだかもしれない。


そう、仕掛け箱が今回の切り札だったのです。


仕掛け箱の毒はタダのしびれ薬で敵の半分を行動不可能にしても、一晩寝れば、みんな回復する。


連合軍は自分でババを引いたわ!


どんまい。


正規兵は1,000人しかいないんだもの!


 ◇◇◇


第二の門を攻略した(明智)斉藤軍は、その前の広場に拠点を置きました。


義龍は負傷者を回収して、城外に撤退します。


第二の門の広場の広く、1万人の兵を休ませることができるのです。


土手に味方を上がらせて置けば、敵の強襲を防げる安全地帯が完成します。


「籠城する側が短期決戦を仕掛けているですか?」

「私の勘違いでしょうか?」

「俄かに信じられません」

「食糧不足などの事情があるのかもしれません」

「なるほど」


鎧武者は光安にそう言いながら、織田が食糧不足などあり得ないと思っていました。

銭も食糧も豊富な織田が兵糧不足など考えられないのです。

でも、他に思い当たる答えがないのです。


敵の行動は撤退が素早く被害をほとんど出していません。


損害を比べれば、斉藤軍が一方的に損害を増やしています。


しかし、第一の門、第二の門を陥落させ、(明智)斉藤軍は勝っているような錯覚にとらわれて兵達の士気が上がっていました。


「あに……………いえ、義龍様が第二の門を無傷に近い形で攻略していれば、歯止めは掛からないほど、戦意が高ぶっていたと思うのです」

「確かに、勝ちに乗って、先ほどの軍議も皆が先陣を切りたがっていましたな!」

「はい」

「皆、功を競いはじめております」


被害は微少、明智軍の士気は全然に落ちていない。


目の前に人参がぶら下がった馬のように鼻息を荒くしています。


第3の門も大盾で身を固めて接近し、門を破壊する事を目指します。


同時に土手攻略も行いますが、あくまで大盾で敵の矢を撃ち尽くさせることが目的です。


「掛かれ!」


大盾を持った丸太隊100人と、同じく大盾を持った土手攻略隊500人が出撃します。


門に近づくと大量の矢の雨が降ってきます。


ダダダダダダァァァァァ~~~~~~ン!

ぷしゅう、ぷしゅう、ぷしゅう、ぷしゅう、ぷしゅう、ぷしゅう!


タタタタタン、大盾に銃弾が飛び交い、矢がハリネズミのように突き刺さってゆくのです。


「隙間を開けるな!」

「開ければ、死ぬぞ!」


戦い方に慣れてきたのか、先鋒隊は必至に一塊になって接近します。


撃つだけ矢を撃ち尽くすと、織田の兵が引いてゆきます。


「壊せ!」

「登れ!」


後続も津波のように先陣を追い駆けて詰めよるのです。


ドガン!


門が開かれると、待ち伏せていた鉄砲隊の鉄砲400丁が一斉に火を噴きました。


ダダダダダダダダダダダダァァァァァァァァァァ~~~~~~~~~~~~ン!


しかし、その銃弾に倒れた斉藤兵はいません。


大盾を先頭に入ってきたからです。


無傷と知ると織田は鉄砲隊と遊撃隊が東の門に早々と引いていったのです。


えいえいえいおぉぉぉぉぉ!

えいえいえいおぉぉぉぉぉ!

えいえいえいおぉぉぉぉぉ!


明智軍の士気が益々上がってゆきます。


 ◇◇◇


朝倉 景紀(あさくら かげとし) 】(ナレーション忍)

朝倉景紀は朝倉氏9代当主貞景の四男であり、宗滴の養子となった。


今回の連合軍の総大将である土岐 頼純(とき よりずみ)を警護する為に、朝倉勢8,000人を率いて参加している。


元々、頼純の希望で宗滴が朝倉勢の総大将として参陣する予定であったが、69歳の宗滴は出陣前に体調を崩し、養子の景紀に総大将を譲ったのだ。


「斉藤軍は凄まじいですな!」

「あぁ、総掘の城をわずか半刻(1時間)で第二の門まで突破するとは信じられん」

「織田が弱すぎるのでしょう」

「そうかもしれんな!」


景紀を補佐する為に同行したのが、朝倉 景隆(あさくら かげたか)です。

景隆は義景の従兄弟であり、一族内でも序列は高いのです。


『伝令』

「明智様、第三の門を攻略」

「「「おぉぉぉ~~~」」」


朝倉の他の武将達も思わず声を上げます。


「頼純様、光安は妻になる帰蝶どの一族です。頼りになりそうですな!」

「そうであるか?」

「大切になさいませ」

「うぅうん、あい判った」


頼純はそれでも蝮の娘を貰うことに躊躇いを覚えていました。


明智軍が第三の門前の広場に陣を移すと、空いた第二の門前の広場に朝倉勢が移動を開始します。


「なぁ、ここにおった方が安全ではないか?」

「頼純様、ここは堰を背にしております。万が一にも堰を切られると全滅する可能性があります。中に入った方が安全です」

「なっ、ならば! 揖斐川を戻った所に陣を引こう」

「総大将が戦場を離れては、武門の恥でございます」

「景紀殿、総大将の意見を無碍にするものではない」

「そうか、そう思うか!」

「はい、我が手勢を100人ほど付けますので、お一人で陣をお移し下さい。我らは斉藤の援軍に向かいます」

「待て、待て、わずか100人のみか!」

「揖斐川を戻るのであれば、それで十分かと!」


わずか100人では、伏兵が襲ってきた時に心配です。


8,000人の護衛がいるから安心できるのです。


斉藤家は頼純にとって敵なのです。


堰を守る為に斉藤家の兵1,000人が各所に配置されています。


揖斐川の向こう岸にも200人ほど配置されています。


冗談じゃありません。


襲われたら、一溜りもないじゃないですか!



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