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初プレイ

「あの……僕はいつまで待てばいいんですかね?」


 すると、話が一段落したからか、すっかり存在を忘れられていたアンディがおずおずと話しかけてくる。


「もうそろそろ、始めて貰ってもいい感じですか?」

「ああ、すみません。すぐに始めますから……ほら、二人ともそろそろ始めるぞ」


 アンディの言葉で本題を思い出した俺は、気を取り直すと、触手プレイを始める準備を大急ぎで行った。



 程なくして触手プレイをする準備が整った。

 部屋の中央で佐倉を寝かせた俺は、緊張のためかプルプルと小刻みに触手を震わせているアンディに話しかける。


「それじゃあ、アンディさん。先ずはこのシーンの再現をしてみましょうか」


 そう言って俺は、四肢を拘束された女の子が、無理矢理足を大きく広げられているシーンを指差す。


「多分、触手プレイと聞いて先ず思い出すのはこういったシチュエーションでしょうから、これができれば大抵の要望には応えられると思いますよ」

「なるほど……わかりました」


 そう言ったアンディはゴクリと喉を鳴らすと、寝ている佐倉へとゆっくりと近づく。


「あの……それじゃあ、よろしくお願いします」

「うん、その……痛くしないでね?」

「あっ、は、はい。精一杯努力します」


 震える声で見つめ合って話す二人は、まるでこれから一夜を共にするカップルのようだが、これから行われる行為を考えるとそこまでの違いはないのかもしれない。

 そんな普通では他人には見せることのない色事にも似た行為をこれから目の前で行われるかと思うと、なんだかこっちまで緊張してくる。


「それでは、失礼して……」


 そんな異様な雰囲気の中、アンディがいよいよ佐倉へと触手を伸ばして、佐倉の白磁のような滑らかな腕と自信の触手を絡める。


「あっ……」

「あっ!? す、すみません。痛かったですか?」

「う、ううん平気。アンディさんの触手が思ったより冷たかったから、ちょっと驚いただけ」

「す、すみません。お湯とかあれば、ある程度は温められるのですが……」

「その必要はないわ」


 俺相手では絶対に見せない様な慈母のような笑みを浮かべて佐倉が続きを促す。


「大丈夫。私のことは気にしないでいいから続けて。焦らなくていいから、ね?」

「は、はい!」


 こいつ、何で人間相手には厳しいのに、モンスター相手だとこんな顔ができるんだろうか?

 そんな俺の考えをよそに、アンディは触手を四本伸ばして佐倉の手足に巻きつけると、力を籠める。

 そのままゆっくりと上に持ちあげるが、佐倉の手足だけが持ち上がり、胴体は地面から数センチ浮いただけになる。


「……あれっ?」


 何だか思ってたのと違うな。アンディが「ムムム……」と唸りながら佐倉を持ち上げるが、想定していたような体制にはならない。

 手足を吊るされた状態になった佐倉……その姿はまるで、


「何だか豚の丸焼きみたいだな……」


 俺は無意識にそう呟いていた。


 ちなみにどうして「豚の丸焼き」かと言うと、俺の地元では、公園で鉄棒に四肢を巻き付けてぶら下がる姿が、漫画でよくある狩りで獲得した獲物を丸焼きにする光景によく似ていたので「豚の丸焼き」と言っていたからだ。皆も言っていたよね?

 すると、俺の言葉に女性二人がすぐさま抗議の声を上げる。


「ちょっ!? 旭君、いくら何でもその言い草は酷くない!?」

「そうですよ! せめて頭にメスをつけてメス豚と呼んで下さい。そうでないと佐倉さんが可哀想です!」

「いやいや、ミリアムちゃん。それもどうかと思うよ。私、メス豚じゃないから」


 まあ、約一名は果たして抗議と言っていいのか甚だ疑問ではあったが、確かにいきなり成人女性に対して豚呼ばわりしたのは確かに失言だった。


「すまん、悪かった。でも、余りにも想像していたのと違っていたからつい、な」


 俺が自分の非を認めて頭を下げると、佐倉は顔の前で手を振りながら困ったように微笑む。


「もういいよ。確かに、今さっき見た同人誌とは随分と違うって思ってたしね……何がいけなかったのかな?」

「そうだな……同人誌ではもう、ぐわっと両手足を広げられていたからな。アンディ君、今度は持ちあげると同時に、佐倉の両手足を広げてみてくれませんか?」

「わ、わかりました。やってみます」


 アンディは素直に頷くと、再び佐倉の手足に自分の触手を絡ませ、力を籠める。


「…………」

「…………」


 先程はすんなりと持ち上がった佐倉の体が、今度は中々持ち上がらない。

 心配なった俺は、集中している様子のアンディに話しかける。


「アンディさん、大丈夫ですか?」

「えっ? え、ええ……ただその……力加減が難しくて……その、このままでは……」


 アンディが何か言いかけた途端、


「イタッ! いたたたたたたたっ! ちょ、ちょっと待って!」


 佐倉が苦悶の表情を浮かべて痛みを訴える。


「わっ、す、すみません!」

「あいたっ!?」


 佐倉の悲鳴を聞いたアンディが慌てて触手を離すので、ほんの僅かであるが浮いていた佐倉が地面に尻餅をついて悲鳴を上げた。

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