表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

6


さて、ドヤ顔で転移をしたものの、

38代も続くお城は想像以上にでかかった。そら何百人もの兵士やらメイドやら何やらがいるとこらだ

東京ドーム何個分とか言われても分からないと思うがとにかく無駄に広い。ちなみに某夢の国は10個分だ。

流石にそんなには広くないと思うが体感で半分はあるんじゃないかとにらんでいる。

簡単に想像がつくように説明してあげよう。

私の家から駅まで歩いて行く距離が10分それだけでも大分広いがそこを更に衛兵やら何やらが元気に駆け回っている。王子めチクリやがったな。ちくしょう仕事が早いよ!

それだけじゃない。いつもの見慣れた道じゃなく前に何回か来たことがある友達の家からのスタートだ。もはや広さとかの問題だけではない。


転移した先は僅か数百メートルの廊下で昔の記憶を引っ張り出しながら大慌てで廊下を走りなんとか切り抜け、1つの部屋の前まできた。


あっちでバタバタ、こっちでバタバタと本当に

「ご苦労様です」

と呟いて息をきらしながら急いで部屋の中に逃げ込んだ。


きぃぃ


ガッチャン



何処も似たような扉で、この部屋も自信が無かったけどどうやら当たりを引いたようだ。


後ろ手で鍵を閉め、ずるずると座りこんだ。


「ははっ、膝が笑ってるし……」


でもと部屋を見渡し


「まずは、賭けに勝った…」


逃げ込んだ部屋は赤を基調とした重厚そうな部屋だった。決して派手ではないが部屋に飾られてある家具どれもが高価なものと分かるものばかりで、それだけ見るとセンスがよいと思いそうだが所々に飾られてある可愛いらしいぬいぐるみや可愛らしい置き物などがアンバランスさを際立たせていた。

机に積み上げられた本、書きかけのメモ、それらを見ると部屋の主がいるのだろう。なら、早く部屋を出なければいけない。だがその心配がなさそうなくらい部屋は静まり返っていた。ここに確かに人は住んでいたのだろうだがもうここに誰かが帰ってくることはない。

何故なら


「まさかそのまま残っているとはね…」


ここはかつて自分が住んでいた部屋だ


すごく分が悪い賭けだった。当時私は19歳でディーゼルは23歳


そうか9年も前になるのか。


平民として生まれた私は持って生まれたとんでもない魔力で冒険者として活躍、そこから宮廷魔道士として引き抜きにあって研究をしながらここで暮らしていたディーゼルと会ったのもその時、そこから甘酸っぱい恋愛を楽しんで、……楽しみすぎた。

恋多き女だった私はディーゼルだけじゃなく色んな人に手を出した。だけどそこは超絶ハイスペックな私隠しに隠してなんとディーゼルにプロポーズまでされたのだ。嬉しかったけどその時まだまだ恋愛を楽しみたかった私には重たかった。で、何をとち狂ったかディーゼルを殺そうとして防がれて逃走


言い訳をすると

魔王にねそそのかされたんだよ。罪の意識とか色々あって耐えられなかったんだよ。それに魔王めっちゃかっこよかったんだ!!

あれ?だめだどっちにしろ最低だ。


本当によくこの部屋処分しなかったな。


まぁ、そのおかげでこっちは助かるんだけどねっ


のろのろと立ち上がって部屋に飾られてある一際でかいテディベアに近づく。

この部屋に来たのは何も昔に浸りたくてきたわけではない。逃げ出すために来たのだ

ディーゼルに貰ったテディベア。

「…ごめんね、ディーゼル」

引き出しからナイフを取り出してざっと引き裂いた!

「実はこの中に他の人から貰ったもの隠してたんだよね」

ペロッと舌を出して謝る。

これを前世の姿でやったら男なら喜んで許すだろうが今の姿ならブーイングにしかならないか。

とやった後に冷静に考える。


テディベアから出てきたのはどれも貴重な宝石や魔石、聖石がはめ込まれたネックレスや指輪などの装飾品だ。前世は魔石など頼らずとも有り余る力があったが今回はこの魔石や聖石などが命綱だ。

今世の私はこれだけの魔石など手に入れる事など出来るのかどうか

少なくとも複数の男にプレゼントされることはないだろう。


ひと目で高価だとわかるそれらを遠慮なく身に付けて鏡を見る。


(うん、違和感はんぱないな)


これだけだと絶好のカモだろう。すぐ追い剥ぎに合いそうだ。制服姿もダメだな。


クローゼットを開けて目立たないローブなどを引っ張り出す。

なるべく地味で高価そうじゃ無いものを選びいそいそと着る


そこで気付いてしまった前世との違いを…!


腹が…腹が苦しい!胸が……胸が……ガバガバだと!?


静かに涙が流れた。


悔しい!悔しい!何よりも悔しいが、こんなにも女のプライドを傷付けられても泣く時間さえないのだ。


泣きながら良さそうな鞄に制服や残っていた宝石を詰め込む。後はと、クローゼットに立て掛けられていた杖からどれにしようか悩む。


一番魔力の伝導率がいいのは目立つ大きな青の聖石がはめ込んである真っ白な杖 精霊や白魔法、回復と相性が抜群にいい


次のは、真っ黒でラメみたいな小さな紫の魔石が散っていて古代文字が彫られている杖、黒魔法、素早い攻撃ができる


3つ目は仕込み杖、杖であり剣なのだ これで油断させる事が出来る。


最後は、透明の魔石がついた杖、魔力を吸収出来る。扱い注意


さてどれにしようか。


白い杖はだめだ明らかに高価で目立ち過ぎる。

仕込み杖は…便利かもしれないが、今の私には扱えないな

残るは2つ黒は白い杖程ではないがそれでも高いのが分かる。

となると、これしかないか


今の私には魔力がないので空気中からでも魔力を吸収出来るこいつは役に立つだろう。

最後の杖を掴んで魔石に魔力を集める


もうここに来ることもないだろう。

最後に部屋を見渡して忘れ物がないか確認する。


(うん、ないな。よし!)

「転移!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ