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「お前はこの国の王の名前も知らないのか?」
ちょっと呆れたように、眉間に皺をよせて訝しげにこちらををみている。
「勿論知っているよシルスティ王国のディーゼル王子様でしょ」
「……王子じゃない王だ」
「ねぇ、ディーゼル王子は今何歳?27くらい?私は17歳!」
「……32だが」
「へー、結構いってるんだ。あっでも大丈夫私年の差12歳?位気にしないから!世間も最近は受け入れムードだし。精神年齢足し算すると大体同じくらいだし?」
「年の差15だ。お前は計算も出来ないのか?それなに17の割に発育が良くない」
「なあ、名前教えてよ。あんたの口から聞きたいんだ。」
軽口をたたきながらも手は震えてるし、ディーゼルの威圧はこわいし、目は私を映さないけど
「ディーゼル・フォン・シルスティ。シルスティ国38代目国王だ」
応えてくれた。
「そっか!よろしくディー様。私頑張るからさ、絶対あんたを手に入れるから。」
さて、そろそろお暇しないと本気でやばい事になりそうな気がする。
今はディー様も気付いてないだろうが私はここに正規の手順を吹っ飛ばして女神様の転移によってここにいる。
なんで女神様にと聞かれて元カノだよ!ハローなんて言った瞬間怒りでばっさりいかれそうだ。そうならなくても私は奈耶と名乗ったのだ。見て欲しいのは今の私なのだから今更前世を持ち出すつもりはない。
かと言って何も言わなければ怪しい奴め!ってなってばっさりだろう。
さて、思い出した事は国や王子の名前だけじゃない。この国には女神様がいるのだつまりは皆様お待ちかね魔法があるのだ!はい、拍手!!
覚えていただろうか私は忘れていたが
前世の私は超絶ハイスペックな女だった。
つまり魔法使えます。
しかし、今の私超絶普通スペック。
魔力ありません
そんな私でも知識は莫大だから
「なあ、ディー様もう1回ちゅーしたい」
「嫌に決まっているだろ」
間髪入れずに断られた。
「ですよねー。」
未だに掴まれている肩
本来であれば力で男にかなうわけがない
しかし、もう一度いうが前世の私は超絶ハイスペック。
だから、こうして掴まれている部分から相手の魔力を使って体制を崩させる事も
ちゅっ
相手の魔力を使って魔法を組み立てる事も可能なのだ
残念ながらこの場所は妨害の魔法がかけられてるせいかそんなに遠くには転移出来そうにないが
転移は一瞬でだけどやっぱりキスの瞬間だけは灰色の瞳と目が合うのだ
次は向こうからキスして欲しいな
無事に逃げ出してもう一度会いに行ければだけどね