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4


さて、私には色気がないみたいだ。


ガツンと歯がぶつかってダラダラと血が流れてくるしとにかく痛い。

ものすごく痛い。


「___っ!!」


おかしい!こんなはずじゃなかったのに!!


「__っ!なにすっ!!」


男の方を見ればそっちも口が切れたみたいで手をあてている


それを見てまたドクンと心臓がなる。

私のせいで出した血だ

私が止めてあげないと

大体ファーストキスがあれでは釈然としない

誰も見てないんだ。

取り直ししてもいいでしょ


take2


今度はきちんと顔を固定してそーっと唇を合わせて未だ滲み出ている血を舌でペロっと舐める。


セカンドキスは血の味がした。


ただの鉄の味ですらこの人のものだったと思うと興奮する。


相変わらずこぼれ落ちそうに灰色の瞳を開かせている


あぁ、この人の瞳も好きだ


深くもっと深くこの人を知りたいもっと!もっと___



ずっと食べていたかったのに無理矢理ぐっと肩を掴まれて引き剥がされた。



「__何をする」


こっちを見る目はまた冷めていて


それにまたイラッとする


「さっきみたいに私を見てよ。好きなんだその灰色の目」


キスしたらまた映してくれるかな?

手を退かしてまたキスしたいけど案外この人の力は強い

当たり前か私よりも年上の男だもんな


「目?特に珍しい色でもないだろう。それよりもお前の目の方が珍しい色をしている。嫌な目だ」


あぁ、また私を見ながら前世の私を見ているんだろう

。本当に腹が立つ。


「あんたの好きだった人は死んだんだろ。今目の前にいる私を見ろよ」


がっちり掴まれている手を外そうとして手に触れようとしたが私の発言が許せなかったのか掴んでいる手に力が入る


__っ!!痛い!肩が外れそうだ


「お前は思慮が足りないらしいな。誰の計らいか知らんがその見た目だけで私がお前の相手をする価値があると?図に乗るなよ」


絶対零度の視線

視線だけで殺せる

こいつは王様なんだ

私を殺すことなんて訳もない


掴まれている肩が痛い。手が震える。

こわい。


でも


でもっ!!

先に望んだのはあんただし


なにより


「どうしようもなくあんたが欲しいんだ…。私は奈耶!あんたの名前は?」



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