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「━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━!!!━━━━━━━」


興奮したように大量に言葉を投げかけてくるが聞き流し状態の私には何を喋っても伝わらない。

フハハハハ!見よこれが私が17年かけて編み出した秘術!《神妙な顔して頷くだ!》

この秘術はどんなに、長い言葉でも私を翻弄する事は出来ない!私を洗脳しようとするあらゆる者から身を守ることが出来るのだ!!


「━━━━何ですよ、でもそんな事したら王政は終わってしまうじゃないですか!それだと━━━━━━」


ちなみにこの女神様かれこれ1時間以上話している。


最初の方は私に対する説教だったはずなのにいつの間にか部下や他の女神に対する愚痴になって国のありかたとはどうたらになって上司(神)に対しては

「いえ、分かっているんですよ私如きに は測れない崇高なる考えが」

とか言いつつネチネチと結構酷い事を言っていた。その間何度か何もない空間からソローっと部下らしき人が現れては「えっ、まだ話してんの!?」とゆう顔をしては消えてゆく。


でもそれもそろそろ終わりかな最後の締めくくりに入ってきてるし



___________________








と、


思うじゃないですか?

そう思ってからが長かった…あれから3時間女神様の喉が枯れて、女神様が正気を取り戻してくれてやっと終わった。


その間に現れた部下の人には目で助けを求めて

「えっ無理!」

「お前部下だろ」

「いやいや部下だけど無理。むしろ部下だから無理。」

「ざけんなこっちはもっと無理だわ」

「ご愁傷様っす」

「お前あれだろ最近隣の国の女神様とこの秘書さんといい感じになってるらしいじゃねーか」

「なっ、なんでそれを」

「女神様が愚痴ってたわ!私よりも先に恋人と幸せなんて許せないって」

「えぇっ!っ、じゃあ最近の残業続きは…?」

「いや、それはお前の要領が悪いせいだ。実はアンディ君がこっそり仕事押し付けてるの気付いてないだろ」

「嘘だろアンディ!?」

「ちなみに、アンディ君のが仕事速くてきれいらしいぞ」

「じゃあ、なんで押し付けるんだよ」

「知らないのかお前が残業してる間に隣の国の秘書の子と食事デートしてるんだよ」

「なっ、ナナリーと!?」

「しかも今アンディ君の昇進の話があがってるらしい」

「僕のが残業してるのに?」

「仕事の出来はあっちが上だしね」

「そんなっ!!」

「秘書ちゃんも昇進したら付き合っちゃうんじゃない?」

「でもナナリーは僕といる時すごく楽しそうに笑うんだ」

「はいはい」

「本当だよ!すっごいいい子なんだ!」

「はいはい」

「この前天の川行った時に僕が残業ばっかで会えなくてごめんねって言ったら、会えない時は寂しいけど2人みたいに年1回しかハルトに会えなかったとしてもそれだけでも充分、幸せを感じられるよ!それにハルトが仕事頑張ってるからそのおかげで今こうしてデート出来てるよ!ありがとっ♡って可愛く笑ってくれたんだ!♡ってハートってやばいだろっ!あれこそ天使の微笑み」

「……それって、もろ…ハルトなら年1でも平気!だって残業してる間アンディ君に会ってるから(はーと)だろ」

「大丈夫ナナリーはいい子!きっと事情があるんだ。」

「何、事情って?」

「たっ、例えば相談…」

「…へぇ、相談ねぇ」

「そうだよアンディの仕事の相談にのってるとかさ。よくあるじゃん?いやー、危ないあやうくナナリーの愛を疑うところだったよ」

「………」

「そんな目で僕を見るな」

「……………」

「大丈夫、大丈夫なんだ」

「…………」

「うっ、うわぁぁぁあああん」

と言った目でのやり取りも行われたが部下ハルトが泣き出した事でそんなやり取りも終わった。



ちなみに女神様はなにコイツなんで泣いてんのと顔に出してドン引いた顔をしたが慰める事はなかった。

お前、上司で仮にも女神様なんだから、慰めるくらいの優しさを見せろよ!とは思ったが決して口に出さない。


これだけ長い時間、愚痴を聞いていれば人となりも少しは理解する。

女神様は典型的なBタイプ。

色々な情報を知っていて、所々に折り込んだ話術は面白い。行動もめちゃくちゃ早いし的確だ。お節介とも思われこともあるだろう気遣いは救われる人もいるだろう。しかし、自分に何か言われるのは極端に許せない。もし何か言ったならば倍の言葉で、今それ関係ないよね?とゆうような言葉が私に返ってくるだろう。しかし本当に怖いのは今返ってくる言葉ではない。

持続性だ。

1度で終わらないのだ会う度に進化した新たな言葉が私を襲いかかるだろう。私が関わりを余り持ちたくないタイプだ。

すまんなハルト。1人で立ち直れ!




「話は逸れましたが言いたい事は伝わりましたね?」


いえ、ちっとも。

と言いたいところだがここでそんな事を言ったらまた長い説明が始まる事は目に浮かぶ。

女神様だろうが所詮はババアこいつらは愚痴がループしても延々とはなし続けるのだ。流石にもう勘弁して欲しい。


「はい。つまり……」


そこでちらちらっと女神様の部下に目をやる。


(おい、助けろ!)


しかし、ハルトは未だに女神様の足元にうずくまって泣いている。


「…ナナリー……ヒック………ナナリー…」


残念ながら助けは期待出来そうにない。


…役立たずめ

チッと心の中で舌打ちをして女神様に視線を戻す。


視界のすみでハルトがビクッと肩を揺らして泣き声が大きくなった。



女神様が迷惑そうな顔をこちらに向け、枯れた声で話す。


「つまり簡単に言うと前世の貴女が裏切ったせいで王子は子供をつくることが出来なくなっちゃったから責任とって今世の貴女が治してきてって事よ。ほら、前世の記憶よ!」


全く男共ときたらと言ったように女神様はため息をついたがこの女神様が納める国でまともな奴らが育つわけないと思う。


私は頭が割れるような莫大な記憶を思い出しつつそんな事を思った。


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