物語は中盤から始まる
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_______??__
あぁ、まただ
またこの人だ
この人に呼ばれている
最初は呼ばれている事も分からなかった
今も顔も言葉もはっきり分からない。
けどこの人の感情だけははっきりと伝わってくる。
私が今まで感じた事がないくらいにドクドクと血が高沸するように…
内状は火傷しそうなくらいなのに外は凍えるような寒さを感じる。
今まで何故こんなにも寒いなか平気でいれたのか分からないくらいに外に触れている部分から徐々に凍っていく。血の熱さを越えて心臓のずっと奥まで少しづつ凍らせていく。
だが、それでもこの人はこのマグマのような感情によって動かされている。
喉が焼かれているみたいにひりついているのに、喉の乾きで空気をする事さえ痛いだろうに、それでも私を呼ぶことはやめない。
この人は、どうしてこんなに怒っているのだろう?
__怒っている?
あぁ、怒ってもいるだろう。
しかし、それだけではないはずだ。
怒りによってこのマグマを生んだとしてもそれさえを飲み込むようなこの寒さはなんなのだ?
何の感情だ?
人はそんなに強くないと教えてくれた人は誰だったか。それが本当ならこの人はもうすぐ崩れ落ちるだろう。
この怒りは私にとってもこの人にとってもいい感情とは言えないだろうがそれを鎮めるこの寒さも良いものとは思えないから。
寒さなのか怒りでなのか、あるいは両方なのか、悴むように震えている手がゆっくりと私の首に触れる。
今までの夢の中でここまで近づいたのは初めてだ。
多分、私を殺したいのだろう。
きっと手が震えていなかったなら首にかけた手が私の喉をぎゅっと絞め殺すことも可能だっただろう。
今日はそこで目が覚めた。
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「それって怖くない?」
午前の授業を終え、お昼を食べながらガヤガヤとする教室で先程の夢の説明をした後の感想だ
引きつった顔で呪念じゃん呪いじゃん!うちそーゆーの無理ーと続けて言われる。
「んー、でも夢だからかなそーゆーもんだって受け入れてるかんじでなんか怖さとかわかないんだよね」
「いや無理!そーゆーの無理!お祓いした方がいいって絶対」
「神社?お寺?協会?」
「ちょっと待ってグーグルせんせー」
ガサゴソと片手でポケットからピンクの最新機種の携帯を取り出して操作をしだす。
私は卵焼きを食べながら多分そんなに大袈裟なものではないと考えている。
あの人に触れられた首を見ても特に痣とかは出来ていなかったし。何よりあの人は殺せないと思う。夢の中で私が持つだろう恐怖などより、相手の感情の方が強いからなのか…
そのおかげで今日までちょっと変わった夢としか思っていなかったし。
ぼーっと教室を見渡してみる
教室の後ろの窓側の席付近では派手なグループの奴らがうるさいくらいに喋っているし
教室の前の席ではジミーズと呼ばれているオタク気質なグループが集まってゲームをしている
では、私はどこのグループに振り分けられるのかと目の前の友人を見るといつもどうり染めてはいないが編み込みがされた黒髪に薄く化粧がされた日本人顔
普通だ。
私もたいして変わりがないくらい普通だろう。
その普通顔がニヤニヤと笑ってるところを見るときっともう先程された話を忘れて彼氏とラインをやっているのだろう
「彼氏はなんてー??」
「えーーっ?あのね今度3ヵ月の記念日に_________」
恋バナは長い
永遠に続くかもと思われた愚痴ノロケ自慢話はしかし午後の授業をつげる鐘によって打ち切られる。
お弁当箱を片付け
パソコンを起動させる
あぁまたここから長い戦いが始まる。
つまらない授業を聞き流し、授業が終わればまた友人のノロケ話を聞き流し、家に帰れば母の説教を聞き流し
そして今
女神様の言葉を聞き流し終わったところだ