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影駘蕩のガーディアン  作者: イーヴィル姫
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第二話 迷子2

第二話 迷子2


「ここはどこですか・・・。」


今年度から退魔寺の一年である久木田真琴は迷っていた。

受付を無事に済ませて入学式までの待機場所である第二大会議室へと向かっていたはずなのに、何故かまわりはテレビなどで見たことのある熱帯林ばかり。


「僕、校舎の中歩いてましたよね。それがなんでこんなところにいるんですか。」


ごくある木造の校舎内を歩いていたはずが、ふとした瞬間に周りの風景が森へと変わっていた。

方向音痴もここまでくると病気だと思い肩を落とす。

それに歩き疲れて足も痛い。元々運動は得意なほうではない。


「そもそも、本当に僕は退魔師なんでしょうか?確かに痣だってありますし、他の人よりも自己回復力は優れていますけど・・・。」


首の後ろ側にあるであろう痣に触れてぽつりと呟く。

あらゆるメディアに存在を取り上げられている退魔師は、火や水を自由自在に操っていたり、力やスピード

が普通の人間の倍近くあったり、人間や物を浮かせていたり、瞬間移動をしていたりと特別な能力があることは目に見えて分かる。しかし自分にはそんな特別な能力は一つもない。


退魔師の印であるこの痣だって、首の後ろ側にあるために自分の目では確認できないために実感がわかない。本当にこの先やっていくことができるのだろうか・・・。


「あぁー!!ダメダメ!!弱気になっては絶対にダメです!!お婆様との約束を守らないと……。」


久木田の両親は共働きだったために祖母の家で育ってきた久木田は根っからのお婆ちゃんっ子である。今回入学するにあたって久木田は沢山の約束をお婆ちゃんとしていた。その一つには立派な退魔師となってお婆ちゃんの元へと帰るというものもあった。


「君、何してるんこんなとこで。入学式もう少しで始まってしまうよ?」


「うわぁあああああっ!!」


急に声をかけられ久木田は動転し尻餅をついた。声のした上を見上げるとどうやら木の上で青年が寝そべっていたらしい。


「ちょっ…君、大丈夫?」


青年は久木田を心配しているようだが木の上からは降りては来ない。


「すっ…すみませんっ!!おっ…お恥ずかしいのですが…迷ってしまったみたいで…。…あのっ!出口は…一体どこに…あるんで…しょうか?」


「迷子か…この森は迷いやすいしなぁ。出口はあっち。もう迷わないように気をつけぇ。」


進んでいた道とは真逆の方向をさされ、どうりで森から出れないはずだと久木田は思った。礼を言って久木田は青年に言われた方向を目指して駆けていった。急がないと入学式が始まってしまう…。


「今のひょっとして新入生…?何や悪いことしたなぁ。」


起き上がり久木田が向かった方向を見て青年は呟く。


「さぁて、僕もそろそろ会場に向かいますか。珍しく今日はサボれへんとしよう…」


そう言って青年は木から飛び降り久木田とは逆方向へと歩いて行った。

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