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自宅警備を辞職します

まずい、本当にまずい。

まず過ぎてプリンも喉を通らない。

とぅるとぅるっなのに通らない。

だから今はゼリー食ってるんだけどね。

そんなバカなこと言ってるが、内心はホントに焦ってる。

「あぁ、二十歳はたちだ……」

どうも、今年……てか昨日。

四月十六日でめでたく二十歳となりました。

さかき 柚子ゆずと申します、はい。

男だ。

無しょ……自宅警備に励んでおります。

……とは言っても事実は変わらないし……無職ですよ、ニートですよ、悪いかよ!

俺だってなりたくてニートなんじゃないんだよ!

こう見えて結構、頭はいい方だし、ちなみに高校は理系だった。運動だって一般的な平均の少し上にいるレベル。顔だって、見た瞬間ドン引きされるような顔じゃない。

なのにさ、彼女いない歴=ってやつ当てはまるしさ!

医大の受験落ちたしさ!

受験二回も受けたくなかったし、それに留年なんてしたくない。

下手に留年して、クラスの奴に。

「ねぇセンパーイwww」

なんて言われたら自殺しかねない。

そういう理由で二年間、自宅警備員ニートなわけだが……昨日二十歳になり、とうとう危機感という怪物が現れ始めたんだよ。

親にも昨日。

「あんた……はた……はぁ……無……はぁ……」

ってなんか、察しろみたいなこと言われたし。

妹には。

「私は絶対お兄ちゃんみたいにはならないから。なるくらいなら死んだ方がマシ」

とか言われるし。

お兄ちゃんって呼ぶだけまだ、可愛げあるけど。

ということで俺は働くと心に決めたんだ。

決めたことの行動は速いんだよ。俺。

近くにあるコンビニエンスストア〝イノーストア〟の募集を、スマホで撮ってきて、履歴書も書いたし。

準備は完璧。

なんだけども……。

電話しようとする手の震えが止まらねぇ!

二年、家族以外と話していない俺にはいきなりレベルが上がりすぎたかもしれない。

しかし!

もう家族にバカにされたくないだろぅ!俺!

「飯食って寝て風呂入って寝て、ペットじゃん。犬とか猫と同じじゃん」

「ペットの方が百倍いいわ。可愛くて目の保養になるもの」

「あ〜、確かに。アレは可愛くないからね」

「お兄ちゃんをアレなんて言わないの」

「はぁーい、ごめんなさぁーい」

なんて言われたくないだろ!

やるしかねぇんだよぉ!俺のチキン野郎がぁぁあ!

素早いタップで番号を入力し、耳の側に持ってきた。

緊張する……。

プルルル、プルルル、プルルル。

なかなか出ないな、忙しいのかな?

プルルル、プルガチャッ。

『はい、もしもしイノウストアです』

「あっ、えと、あの。募集を見て……電話さしぇていただきました!」

噛んだぁ!

『はい、では、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?』

「あっ、榊 柚子です!」

『榊 柚子さんね。失礼ですが年齢は?』

「二十歳です」

『今は大学生?』

「いえ……何も」

『失礼しました。では面接日の相談ですが……明日土曜日ですし、明日の午後二時。十四時から空いてますでしょうか?』

「はい!大丈夫です!」

別に、土曜じゃなくても、午後じゃなくても空いてますけどね。

なんたって自宅警備員ニート

まぁ相手にも都合あるからな。

『それでは明日の十四時に履歴書を持って、お店の方にお願いします』

「はい!」

『着きましたら、従業員……誰でも良いので面接に来ましたと一言言っていただければ』

「はい!」

『では、失礼します』

「はい、失礼します」

ふぅぅおぉぉぅ!

意外と話せるもんだな。

最初の方は噛んだりしたが……やはり人間の基本知能に話すというのはプログラムされているみたいだな。

ま、俺が天才だってのもあるだろうけど。

…………ごめん、調子こいた。渾身のドヤ顔してしまった。

ところどころ質問になんか色々と抉られたが……まぁよしとしよう。

さぁてと、寝よ。

ちゃんと受け答えできるように睡眠はとっておかないとな。

今が……十一時だから……二十一時までは寝ようかな。

うん、せめて十時間はないとな。

ふ、ふあ……あ〜、今日も……快……眠なりぃ……。


「……んぁ……寝みぃ」

よく寝たわぁ……二十時半。

もうちょっと寝るべきだったか。

「飯食わねぇと」

家族みんなは食い終わってるだろうしなぁ。

親に会うのめんどくさい。

特に父親。

母親はまだため息だけだから許せるんだが父親アイツは違う。

「普通なら仕事にも学業にも励んでいない奴に食わせる飯なんかないんだがなぁ」

とか。

「電気代高くなったなぁ」

とか色々、わざと俺に聞こえるように呟きやがるからイライラすんだよ。

いつもなら帰ってくる前に飯食うんだが今日は特別だからな……。

やるしかないな。

YUKADONNユカドンを使う時が来たようだ。

まぁ母親には言ってあるし届くはず。

ドンドンドン!!

……お、階段を登ってくる音が聞こえるぞ。

さすがは我が母、褒めてつかわ。

「うるさい!!」

バンッ!

……はい、さーせん。

そんな勢い良く閉めたらドア壊れますて。

しかもそれだけかよ。せめて飯くらいさぁ……。

もういいや、飯いらね。

明日の朝食えばなんとかなるわ。

今日はもう風呂入ってゲームしよ。

寝るなんて選択肢はないぜ。

なんせネトゲしなければだからな。

義務だ。

……先ネトゲしよ。

ギルメン何人インしてるかな。

まだ二十時……夜の八時だからな、結構多いだろ。

案の定、入った瞬間チャットが飛んできた。

『ホクホク:おぉー!マスター今日早いね!』

『ニータ:まぁ、たまにはな』

『いっちゃん:え?マスターさんですか!?初めまして!』

お、新しいギルメンかな?

いいねぇ、ギルドが活発になるのはいいことだよ。

『ニータ:初めまして、馴れ馴れしいようだけどいっちゃんでいいかな?』

『いっちゃん:はい!是非!』

『ニータ:ありがと。それで他は?インしてあるみたいだけど』

『名無し@偏頭痛:今狩ってんの!うるさい!ヒーラー仕事!』

おぉ、こわこわ。

偏頭痛は新人育てに熱心だからなぁ。

てか、パーティチャット行けばいいのに。新人達がまだわからないのかな?

『ニータ:じゃあ俺らは俺らでパーティ組もうか』

『ホクホク:まぁ上級者二人いれば大抵勝てますからね』

『いっちゃん:私もいいんですか?』

『ニータ:もちろん。初心者向けで経験値多いのは……八咫烏ヤタガラスらへんか?』

『ホクホク:そうだね、クロがよさそう』

八咫烏は黒くてデカい。んでまぁ、通称クロ。

上手くいけば初心者にも見せ場があるほどの弱さに対し、上級者のレベル上げにもなる経験値量。すげー美味いんだよ、コイツ。

多分偏頭痛もそれだと思う。

よっしゃテンション上がってきた!

『ニータ:今日はいっちゃんのレベル上げに専念するぜ!』

『いっちゃん:ホントですか!?ありがとうございます!』

『名無し@偏頭痛:だからうるせぇっつってんだろ!明治下がれ!』

あちゃーまた怒られちゃった。

明治は普通にメイジね。変換押すと先に明治が出てくるからそう呼んでる。

目指すはいっちゃんのレベル三十!

今日は烏の唐揚げ祭りだ!


「あぁ〜…………もう六時かよ……」

受け答え練習してねぇや。

ま、なんとかなるだろ。

『いっちゃん:ありがとごzsいましつ。寝mっう』

『ニータ:おやすみぃ笑』

誤字が。最後とか、寝ますって打とうとしたんだろうな。

AとSは眠いとミスするね。

しょうがない。

てかいっちゃん学生?……あ、今日土曜日か。

さて、寝よ。

『ニータ:俺も落ちるなー』

『名無し@偏頭痛:もうちょっと居ろよ、ニート。あ、ごめwニータw』

『ニータ:まぁ、そうしたいのも山々なんだがバイトの面接があるんだ』

『名無し@偏頭痛:はぁ!?バイトォ!?』

『ニータ:お、おう。バイト』

『名無し@偏頭痛:ならもっと早く寝ろよwwwホント馬鹿だなwww』

『ニータ:まぁ俺はコレに命かけてるから笑』

『名無し@偏頭痛:笑えねぇよ……。ま、面接ならしょうがないな。また夜に』

『ニータ:すまんな。じゃ』

ふぅ。

ギルメンはニートなの知ってるからな。そりゃ驚くか。

どーしよっかなー。

寝ようと思ったけど十時間寝れないしなぁ。

あんなこと言ってすぐインするわけにもいかないし。

受け答え……検索するか……。


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