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妖精と吸血鬼

蒼色の大蛇をつれたキリコは本体のキリコよりも幼い体型をしている。小さいながらも大蛇をつれて歩く彼女からは異様な空気が漂っていた。


彼女は迷いの竹林をぬけ、濃い霧のかかった湖にきていた。

「確か〜、吸血鬼がいるのってこの辺りよね〜。なんも見えないじゃない。…って!いきなり雪!?なんなのよ!もう!」

彼女は口調と精神面も幼いらしい。

「ねぇ!あんただれ‼」

「や、やめようよ〜チルノちゃん。」

「だいちゃんは黙ってて!」

そこには、キリコに対して敵対心をむき出しにしたチルノと、それを止めようとする大妖精がいた。

「あ〜、こんにちは〜。私はこの幻想郷を自分のモノにしようと頑張っている、縁切りの神。キリコで〜す。よろしく〜」

チルノには、この挨拶があまり理解できなかったようだが、大妖精の方は少しは理解したらしい。

「ねぇ。チルノちゃん。この人、なんか凄く怖いからもう帰ろ、ね?」

「ふっふっふ。…はっはっはっは!!あたいは最強の妖精よ!こんな奴なんかカエルを凍らせるみたいにしてやるんだから!」

大妖精の顔は半分諦めの表情がでている。チルノが戦うと言い出したら聞かないと分かっているのだろう。

「あ〜分かった〜。あなた達みたいなのが邪魔な奴らなのね。だったら、殺さないとね〜」

キリコの目にはこの妖精達が敵として映っていた。

「ふふっ。うしろ。とっちゃった~」

「っ!!?」

「一人目〜。」

チルノが気づいた時には、キリコの刀が、大妖精の左脇腹を貫いていた。

「チルノ…ちゃん…」


「だいちゃん!だいちゃん!!」

妖精は消えたりしたとしても、また生まれてくる。だが、チルノはそんな事など、知らなかった。チルノには、大切な友達を奪われたという事しか分からなかった。

「あたいわ。あたいわ。絶対にあんたを。あんたを許さない!!」

霧の湖の雪は吹雪にかわり、チルノの下の足下は、凍り始めていた。

「《凍符 パーフェクトフリーズ》!!凍りついて消えてしまえ!!」

チルノのスペルカードの中で一番やっかいなスペルカードだ。キリコの周りには、氷の刃が舞い、さらに氷の弾丸が襲いかかってきた。キリコにはその攻撃を避ける事だけで、精一杯のようだ。

「こんな攻撃ができるなんて…凄くわくわくしちゃうじゃない!!」

キリコは狂っているとしか思えないほどの笑顔で、そう叫んでいた。

「でもさ!あなたの目の前がら空きだよ!」

その通り。チルノの《凍符 パーフェクトフリーズ》はチルノの正面には、弾幕がないのが、特徴だ。妖精にしては、とても凄い弾幕だが、この弱点が命取りとなった。

「もう終わりだね!早くあなたも突き刺してあげる!」

キリコはチルノを思いっきり刀で刺した…。

だが、キリコが貫いたものはただの空気だった。

「な、なんで!?」

動揺するキリコをよそに、三人の妖精は笑いをこらえていた。

「くくっ!空気だと分からずに刀振り回すなんて。凄く面白いじゃない、くくっ!」

「サニー。静かにして。ばれたらどうするのよ!」

「そうゆうルナも、声が大きくなってるわよ。」

このトリックの原因はここにいる光の三妖精たちだった。チルノが負けるのが嫌だったらしく、珍しく加勢をしていたのだ。

「サニー、ルナ。そろそろ逃げた方がいい気がするのだけど。」

「スターがそう言うなら」

ルナは少しつまらなげに答えた。

「それじゃあ、決まりね!」

サニーは元気なままで光の屈折を利用し、チルノに帰る事を伝えた。

「んー。あいつら帰るのか~。でも、あたいわ。だいちゃんがやられた分やり返さないと!」

その時、紅い霧が湖をおおった。

「バカな妖精は、もう帰りなさい。」

そこにいたのは、紅の吸血鬼。《レミリア•スカーレット》とその妹、そして、メイド長の咲夜だった。

チルノはさすがにこの三人にびびってしまい、帰っていった。

「お嬢様。あれでよかったのですよね?」

「ええ。妖精でも、無駄に死ぬ必要は無いは。」

「お姉様は優しいんだね!」

フランの目には自分の姉がとても綺麗にみえた。


結局、キリコは、何と戦ったのかも分からず、湖で1人になってしまった。

「なんだったのよ。もう。それに、この紅い霧。なにが来るのよ~。」

そう言うと、キリコは、蒼色の大蛇にまたがり、湖の上を移動し始めた。大蛇は滑る様に湖の上を泳いでいた。

「誰かいるのは、確かよね。なら、面倒だから、アレを使おうかな。」

キリコは自分の蒼色の大蛇の頭に刀を突き刺した。

「それじゃあ、《大蛇逆鱗 蒼》!!」

キリコの声と共に大蛇のからだは、大きな鱗をまとった龍の様になっていった。

「早くみつけてね!」


レミリアは咲夜の前を飛びながら、水面を見ていた。次の瞬間。水中から一匹の蒼色の龍がレミリアに噛み付いてきた。その攻撃わ難なくかわし、レミリアは言った。

「あれは、《シーサーペント》ね、まさか幻想郷の湖にいるなんて。」

「よく分かったね!あなた達!知らないと思ってたのにな~。あれは、西洋の怪物。シーサーペントであたりでーす!」

すぐ目の前には、キリコが笑顔でそう話していた。レミリア達はすぐに彼女との距離をとった。

「あなたが、キリコね。私は、レミリア•スカーレット。あなたを壊す吸血鬼よ!」

その時、キリコの目は輝いていた。

「私も!吸血鬼を殺さないといけないの!ちょうどよかった!今すぐ殺してあげるね!」

キリコと、レミリア。この二人が戦う事は、運命を見通さなくても、予想できた事だ。

「じゃ!始めましょうか!」

先制はレミリアの弾幕だった。



何処かのヒマワリ畑で…

そこでは、風見幽香が花の手入れをしていた。1人の縁切りの神はその花畑を目指していた。

「なんか、嫌な予感がするわね。」

幽香は何かを感じ取り、日傘を手にとっていた。



妖精と吸血鬼 完

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