一つの可能性
ある少女が見た夢は…
幻想の世界を守る夢。
次に見た夢は…
幻想の世界が壊れる夢。
その二つの夢の最後には、必ず白髪の男がいた。
そして、最後の最後にその男は何かを呟く…。
その言葉が何だったのか、少女はどうしても思い出す事が出来なかった。
濃い霧のかかった湖にて…
華奢なメイドと幼い吸血鬼は、目の前の怪物を見上げていた。
湖には、その怪物が羽ばたく風で波が立っている。
「お嬢様…これは…。」
「ラドン、百の首を持つ竜よ。」
「…でかい、ですね。」
「…でかい、わね。」
大きさだけはあの大蛇よりも遥かに大きい。
咲夜とレミリアの会話に返事をする様に、ラドンはその大きな口を広げ、轟音の鳴き声を轟かせた。レミリアと咲夜をしっかりとその瞳で捉えた。
「相手はその気のようね。」
「その気…ですね。ですが首は一つですよ?よく見聞きするドラゴンの大きいバージョン?みたいですね。」
「何かカラクリがあるのでしょう?今はまだ分からないわね。慎重に行きましょう。」
咲夜はレミリアの言葉に頷いた後すぐ、あまり動かない相手に向けて、放射線状に2列と、相手に向けてある程度の弾幕を放った。
この弾幕をどう対処するのか、咲夜とレミリアは見逃す事がないように集中した。
結果は…
全ての弾幕が、難なく命中した。
「あれ、わざと当たってるみたいね。」
「ええ、私の弾幕では何ともない、と言う事でしょうか?」
咲夜は少しの焦りと、少しの苛つきを覚えた。
全ての弾幕を受けながらも、目の前の竜は地に足をつき、堂々とこちらを見ていた。
「もしかして、甲羅や殻の様な硬さの皮膚なんですかね?」
「どうかしら、そうかも知れないけど、他にもまだ何かありそうよ?」
レミリアは咲夜が先ほど言った言葉の中で、一つ、勘づくものがあった。
レミリアがそっと呟く。
「まさか…ね。さすがにこの予想だけは外れて欲しいわ…。」
「何か?」
「いや、何ともないわ!相手が動かないのならば!こちらが先制で仕留めるのみ!行くわよ、咲夜!」
「はい!お嬢様!」
二人は真っ直ぐにラドンを見つめた。
博麗神社にて…
そこには火柱が上がっていた。
その火炎の柱を裂くように、少女の弾幕が飛んでゆく。
戦いの舞台は、その場に似つかわしくない程に、綺麗だった…。
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