紅い館
僕とハクは、今さっき見ていた洋館門前まできていた。
「あの~。彌生さん。これって通ってもいいんですよね。」
「うん、寝てるんだから起こさない方がいいだろ。」
「ですね。」
いて意味があるのか無いのか分からない門番を無視して、僕とハクは洋館の中に入った。
入った時にはいなかったはずなのに目の前には一人のメイドが立っていた。
「ようこそ、紅魔館へ。私はメイド長の《十六夜 咲夜》と申します。」
彼女はそういうと小さなおじぎをした。
「僕は神道彌生です。」
「知っております。そちらの方は神柱ハクさんですね。」
なんだ。何か今までの奴らとは違う。僕はそう思った。どうやらハクも気づいているらしい。このピアノ線のように張り詰めた空気に。
「申し訳ありませんが、私はお嬢様の頼みであなた方と闘わなくてはなりません。」
この一言がきっかけだった。ハクは、すぐに元の白蛇にもどり僕の右腕に巻きついた。
僕の右腕にはすでに《白蛇の太刀》が握られていた。
「彌生さん。この世界では、相手を殺さない程度に闘わなくてはなりません。この事をしっかり守って下さい。」
「分かった。なら、生との縁は斬らないようにしないとな。」
「お二人方。お話はそれくらいで。それでは。いきますよ!奇術」
おいおい。なんだよあの速さ。いや速いんじゃない。移動速度が以上だ。それになんだこの弾幕は。
「彌生さん!この弾幕は全て彼女がつくりだしたものです!彌生さんの能力は縁切りですよね!それに神から与えられた力です。彌生さんの縁切りの時の力をその太刀に加えて相手に思いっきり振って下さい!」
「あー!もう一か八かだ!」
僕はハクに言われた事を信じて太刀を振った。その時、無数の弾幕が太刀から飛んでいった。
「おー!できた!!」
しかし。メイドはその弾幕を簡単にすり抜け次の技を出してきた。
「幻世!」
その時、僕の目には一瞬、彼女が時間を操っている様に見えた。次の瞬間。僕は飛んでくるナイフをよける事に精一杯になっていた。
こんな量のナイフ、一瞬で投げるのは無理だ。つまり彼女は僕の予想どおり時間を操っているらしい。
「おいハク。俺と時間との縁切りできるか?」
「できなくはないけど危険です!その間、彌生さんは、この時間から存在を忘れられるんですよ!そんな事をしたらどうなるかわかりません!」
「できるならさっさとするぞ!」
僕はその時頭の中に浮かんできた言葉を口にした。
「縁符!」
その時、僕は彼女が止まってみえた。周りのナイフも浮かんでいるようにみえる。
「彌生さん!この技はそう長くは持ちません!早く彼女に一撃あてて下さい!」
僕が時間から離れられるのは、約10秒程度だった。あともう少しであのメイドに一撃をくらわせる事ができたのに、届かなかった。
メイドは僕が時間に引き戻された瞬間僕から距離をとった。
「そんな事もできるとは、面白い方達ですね。」
メイドはすぐさま構え直し、次の一手を出そうとした。その時。
「咲夜!やめなさい。それくらいでいいわ。」
幼い容姿の羽の生えた少女が彼女を制止した
「こんにちは神道彌生。そして神柱ハク。私はこの館の主。《レミリア・スカーレット》よ。私にはあなたの運命が分かるの。でもあなたはその運命を変えてしまう。だから私があなたの運命を変えてあげる。」
なんなんだこの幼女は。いきなり出てきておかしな事を言いやがって。僕にはその時、彼女の言っていた事が分からなかった。しかしその運命は僕がこの世界にきた時から動き出していた。
「イイなぁ〜お姉様だけ客人と会えるなんて。私も早く遊んでもらわなくっちゃ。」
金色の髪の少女は一人暗い部屋の中でつぶやく。この少女と彌生の出会いは神道彌生の運命を大きく左右する事になる。
紅い館 完
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