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彌生の決断

彼女が託した希望、それは力に。

彼女の夢、幻、それは幻想の果てに…。

彼女の真意を知る者は何処にもいない。






名も無い何処かの神社にて…


「「は?」」


「は、じゃないですよ!二人とも危機感と言うものを持ち合わせていないんですか!?」

「す、すまないアテナ、ちょっといきなり過ぎて驚いただけだ。」

「すみません、彌生さんに同じくです。」

こんな会話をしている二人だが、アテナにはこの二人がとても心強く思えた。

これまで、一人で戦場を駆け抜けてきた彼女にとって、二人の守るべき存在は大きな決意を生み、大きな力になっていた。

「二人とも、しっかりして下さいね。」

「言われなくても、な。」

「はい!」


幻想郷の空にはいった亀裂は少しずつ広がっていく。

そして張り詰めた弦が切れたように、一瞬で幻想郷の空は…割れた。


割れたと同時に、あの咆哮が幻想郷を揺らし、彼女が姿を現した。


「久しぶりね…幻想の郷。さあ、あなたは行きなさい。あなたの未練を晴らす為に。」

黒いモノが何処かへ飛んで行くのを彌生達は確かに捉えた。

しかし、それに構っている暇はなかった。

彼女と、もう一人の戦神がすでに、彌生達の目の前にいるからだ。


「キリコ!そしてアレス!これが俺達の決断だ!」

彌生とハク、そしてアテナは二人の神を前に剣に手を添えた。

「よかろう!そなたの決断、確かに受け取った。かわりに、今からこの幻想郷は戦場となる!」

アレスが空に手を延ばした。何かしらの合図である事はすぐに分かった。

すぐに、それが何の合図なのか彌生達は分かった。

亀裂から這い出るように、幾つもの首を持つ大蛇が対になって現れたからだ。

これは…怪物と呼ぶべき生き物だろう。


「そなたの決断!見事と言うべきもの、だがしかし、それが間違いであると気づくだろうな。」

アレスが手を下げると同時に2体の怪物は幻想郷の空に放たれた。

「やつらを止める事は、そなた達には出来ないだろう。」

「確かに。アレス、お前の言う通りだ。俺達にあいつらを止める事は出来ないだろうな。けれども、この幻想郷を守りたいと思っているのは俺達だけじゃないんだ。」

「ふっ。そんな事、知ったことか。」

「彌生さん…。私、多分これ以上は、我慢がならないです…。」

アテナの瞳は殺気を帯びていた。剣を握り締めた手はまるで怒りを極限まで抑えている様に震えている。

アテナ…君の過去にいったい何が…。

彌生はこの言葉を口には出さなかった。否、出せなかった。

アレスはアテナを見るなり、両手に槍を構えた。

「そなた、彌生と言うのか、覚えておこう。アテナ…さあ、かかって来い。お前の相手は私が引き受けてやろう。」

「元から、私の敵はお前のみだ!アレス!!」

アテナは剣を抜かずにアレスの槍が届く寸前まで一瞬で間合いを詰めた。

そして、アテナが放った最初の一撃は…抜刀。

アレスはその一撃が届く間際で防いだ。

「このような剣術…見たことがないぞ。成長したな!アテナ!」

「話をしている暇などない!」

アテナはそのまま退かずに連続して剣撃を放った。

しかし、アレスに剣撃が当たる事はなかった。

アレスはアテナと間合いを取り、両手の槍を構え直した。




「彌生くん、ここじゃ彼女達の邪魔になるわ、来なさい。」

「キリコ、お前は何を望んでいるんだ。」

「私の望み?さぁ、もう忘れてしまったわ…。ただ、あなた達の敵である事は確かよ。」

そう言うと、キリコはあの竹林の方へと飛んでいった。

「早く行って下さい!彌生さん!」

アテナの声が響いた。あの戦いの中、彌生達の動向をも確認していたようだ。


「行くしかないか。」

「彌生さん…行きましょう。」

「アテナ!また後で、必ず!」

「分かりました!」


約束をかわした後、彌生とハクはキリコの後を追った。


彌生とハク、アテナは必ず後でまた会う事を約束し、己が倒すべき敵に対峙した。



紅魔館にて…

そこには、不敵な笑みを見せる幼き吸血鬼がいた。

「咲夜。」

「はい、お嬢様。」

「そろそろ、迎えに行くわよ。次の来客は西洋の神が従えし化け物よ。」

幼き少女の姿をした吸血鬼は、自分の館を後にした。

不定期更新です。申し訳ありません。

読んで下った方、本当にありがとうございます。

よければ、次回も読んで下さる事を願います。


ではまた、次回で会える縁を信じて…

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