少女の笑顔と涙
過去と今と未来、それは一つの縁で繋がっているモノ。それなのに、何故に人は未来を変えられるモノと見るのか、ただの希望論なのか。
それとも…
博麗神社…境内にて…
彌生達が境内に上がってきた頃には、霊夢が境内の掃除を終え、魔理沙と話をしていた。
「お、来たみたいだな。」
魔理沙が彌生達に気づいて手を降った。
「おーい!早くしろ~。」
霊夢がすぐに一言付け加えた。
「急かす程の距離でもないでしょ。」
「いやさ~、ほら、雰囲気って言うか、な?」
魔理沙は得意気に笑ってみせた。
少女待機中…
「よう、霊夢。魔理沙。久しぶりだな。」
「吸血鬼の所にお世話になってたみたいじゃない。どうだった?」
「それは私も気になるな。」
魔理沙はニヤリと下心丸見えの笑顔をみせた。
なぜ、霊夢と魔理沙が紅魔館でいた事を知っているのか。
その犯人なら、あの文屋しかいないだろう。
「なんで知ってんだ?まあ、いいけど。」
「そんなのすぐ分かるでしょ。文屋よ、文屋。知らないの?」
「ふっ、本当はゆ…。いや、文屋だよ。」
魔理沙が、ゆ、と名につく者を口に出そうとした時、魔理沙は霊夢の後ろにとても小さい隙間がある事に気づいた。
彌生とハクはその隙間に気づかず、文屋についても分かっていない様子だ。アテナに関しては境内に植えてある桜をもの珍しそうに観察ている。
「知らないなら別にいいわ。それより…紅魔館で何をしたのよ。」
彌生は思いだす様子を見せながら答えた。
「剣術の稽古をして…」
「それで?」
「泥棒みたいな事をして…」
「泥棒なら魔理沙に習いなさい。」
「おいおい、私はただ物を借りて返してないだけだぞ!」
「はいはい。それで何を盗んだのよ。」
「椅子ですよ!大っきな椅子!」
霊夢と彌生の会話にハクが割って入ってきた。
「何で椅子なんか盗んでるのよ。」
霊夢は笑いを堪えながら話した。
「それは彌生さんの二つめの能力が本物かどうか確かめる為で…。」
「二つめの能力…。なぁ霊夢、そんな事があるのか?」
「あるでしょうね。ここは幻想の郷よ。」
魔理沙は何と無く納得した様だった。
「二つめの能力については、霊夢、魔理沙、すまないがその時になったら見せるようにする。」
「いいわよ。あんたの好きにしなさい。」
「同じく同感だ。」
霊夢達とはその後、明日は分かれて行動をすると言う話をした。
この幻想郷もそこまで狭いわけでは無いから、霊夢もそうしようとすぐに賛成してくれた。
一つだけ約束した事がある…
それは、誰も死なさない。
ただこの一つだけだ。
「なあ、ハク。アテナ。」
「はい、何ですか?」
「何か?」
「みんなを、絶対に死なさないようにしたい。その為に、ハクにもアテナにも、危ない思いをさせるかもしれない。それでも…」
「大丈夫ですよ、私は一人で戦うんじゃないですから!」
「ハクさんの言う通りです!」
ハクとアテナは彌生に思いっきり笑ってみせた。
紅魔館にて…
珍しく吸血鬼が昼間に目を覚ましていた。
「咲夜。」
「はい、何でしょうか。」
「いよいよ、明日が運命の分かれ道よ。幻想郷が無くなるか、それとあの少年の…。」
レミリアは最後の方の言葉を濁した。
「お嬢様は私が守ります。」
「ありがとう。でも、死んでは駄目よ。」
「承知しました。」
「あと、フランにも…。」
「はい。伝えておきます。」
その夜、紅魔館の地下室では金髪の少女が笑顔で涙を流したそうだ。
少女の笑顔と涙
更新がとても遅くなりました…。
どうか、これからも今作品をよろしくお願いします。