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さよなら紅魔館

ーーーここは…神社?誰かが泣いてる声がする。私はその声が聞こえる方に歩いて行った。

『キリコ様ぁ~』

泣いてるのは…ワタシ?

『どうしたのハク?何か怖いものでもみたのかしら?』

何故か泣いている私を彼女は膝の上に座らせ、優しく撫でてくれていた。とても優しい顔で。

この光景が、何故今頃になって蘇るのか。

『あ、お姉ちゃん、お姉ちゃんもこっちにおいでよ。』

小さい私は私の事をお姉ちゃんと呼んだ。理由は分からない。何も思い出せない。

私は呼ばれるままに進もうとした。でも、すぐに気づく、コレは夢だ、幻だ…と。ーーー


紅魔館…大広間にて…

ハクが目を覚まして広間に来た頃には、彌生とアテナがもう起きてきていた。何か話をしている。

「おはようございます。二人共早いんですね。」

「おはよう。そんなに早い時間でもないぞ、ほら。」

彌生は広間の隅にある大きな振り子時計を指した。

「おはようございます。ハクさん。今の時刻は7時30分ですよ。」

「健康的な起床時間ですね。」

ハクは苦笑した。

「ここに居ると夜が昼のようになってしまいますね。フランさんと共に一日を過ごしただけでも、昼と夜の感覚がずれそうになりましたし。さすが、幼き吸血鬼の住まう館、ですね。」

アテナは苦笑しながら話した。

「明日、だよな。」

「はい。今日で一月です。それで彌生さん、今日は霊夢さんの所に行くんですよね。」

「うん。その前に、まずはお礼を言わないとな。」

彌生がハクの後ろの方を見た。

つられてハクが振り向くと、大広間へ降りてくる階段に咲夜が立っていた。

「咲夜さん!」

ハクは思わず口を手でふさいだ。

「おはようございます。…行かれるのですか。」

咲夜は少しだけ寂しそうな表情を見せた。

「まぁ、時間ときが操れたとしても、永遠に止められるものじゃないからな。咲夜、お世話になりました。また、会おうってレミリアとフランにも伝えておいてくれ。」

「次に会う場所が戦の場だと言うのに、それだけですか?」

「この異変が解決したら、また、お邪魔するよって加えてくれ、あと、最後に、この異変では誰も死なせない。」

咲夜は、伝えておきます、と一言残して、その場から一瞬で消えていた。

「お世話になりました~!」

「また、必ず来ます!」

ハクに続いてアテナが誰もいない大広間に向かって叫んだ。

二人の声が反響した。


三人が大広間から外に出ようと、彌生が扉に手を掛けた時だった。

赤い霧が三人の両脇を通り、扉を開け放った。

赤い霧はそのまま真っ直ぐ進み、紅魔館の門の所までの道を綺麗に紅く染めた。

それはまるで、真っ直ぐ進めと、彌生に訴えているようだった。

「ありがとう、レミリア。」

彌生が小さく一言呟く。

彌生達は赤い霧に染められた道を真っ直ぐに進み、紅魔館を後にした。



さよなら紅魔館 完


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