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二つ目の能力《ちから》

つかの間の休息、日常。幻想郷は元の姿を取り戻し始めていた。そんな中で、一人の少年には自分自身について考える時間ができた。


名も無い何処かの神社で…

「なあ、ハク…。僕の能力についてもう少し詳しく教えてくれないか?」

ハクは少し驚いた。彌生が自身の能力について聞いてきたのは、ハクが彌生の能力について初めて話した時だけだったからだ。

「そうですね、初めて話した時はあまり踏み込んだ話しもしてないですからね。」

ハクと彌生は神社の縁側に並んで座った。

「では、少しずつ話しましょう。彌生さんが縁を切ったり、繋いだりする事が出来るのはあのキリコが彌生さんに自身と同じ能力を与えていたからです。これは、同じ名を持つ神が全国各地で祀られているのと同じ感じだと思って貰えばいいです。」

ここでハクは話すのをやめた。

「つまり、僕の能力とキリコ能力は全く同じと言う事なのか?」

彌生の質問にハクは笑顔で応えた。

「はい!その通りです!だから、彌生さんは能力を自在に使える様にならないといけないです。」

「ああ、だよな。ハクの使っていた技が全部できるまで使いこなせてないしな~。」

彌生は苦笑いで応えた。

「そうですね。でも、コレは練習すればどうにかなります。私が一番気にしているのは彌生さん自身の能力です。あのキリコが能力を与えると言う事は、元々彌生さんには普通の人とは違うナニカ。つまり、能力があったんだと思います。でも、今はキリコの能力の方が表に出てきています。だからもう一つの能力を見つけて貰いたいと思います。」

彌生は少し頭を抱えた。

「キリコから貰った能力じゃなく、僕自身の能力か…。」

彌生は空を見上げた。雲の隙間から太陽が出始めていた。

「あの〜彌生さんにハクさん?何か私にできる事とかありますか?」

アテナが後ろから不意に訪ねてきた。

「あ!そうだ!あの~、アテナさん?」

「なんでしょうか?」

ハクは笑顔で言い放った。

「彌生さんと実戦練習とかして貰えないですか?」

ハクの突然の提案にいっとき、彌生とアテナの動きが止まった。

「え…と…。つまり、演習みたいなモノですかね?」

「はい!そんな感じです!」

「それなら私に任せて下さい!戦神として実戦を想定した演習をして見せます!」

その時だった。

「おいおい!本人の話しも聞かずに話しを進めるなぁ!」

ハクとアテナは振り返り言った。

「「強くなりたくないんですか?」」

妙なところで二人の気があったようだ。

「いや、あ、はい。強くなりたいです。お願いします。」

二人の気に押された彌生は、はい、と答えるしかなかった。

「ねぇハク?彌生とアテナ、今から何するの?」

白い巫女服のフランがひょいと顔をのぞかせた。昨日はハクとフランの二人で近くに湧いている温泉に行ったらしい。アテナは朝、起きてから一人で行ったらしい。彌生はこの神社にある居住部分にある昔ながらの日本風呂に入った。つまり、フランはハクから今日、着るものとして白い巫女服を着せられたようだ。

「おおフラン。白い巫女服も似合ってるじゃないか。」

彌生はそう言いながら、やっぱりハクとフランは似ている。と思っていた。

「うん、そんな事よりさ!二人共何するの?」

フランは服装の事よりもそっちの方が気になるらしい。

「あはは。今から、彌生さんとアテナさんで実戦練習を始めるところなんです。えーとですね、つまり弾幕ごっこです。」

フランの目が輝いた。

「じゃあさ!次は私ね!」

「これが終わってからですね。」

ハクはフランにそう言うと、隣で彌生とアテナの実戦を見ておくように言った。

「あ、そろそろ始まりそうですよ。」

「どっちが勝つかなぁ?」


ハクが二人の中間地点に立ち、右手を振り上げた。そして…

「はじめ!!」

ハクが手を振り下ろした瞬間、彌生は中段の構えから一気に飛び出し、アテナの間合いまで入った。

「先の技、はやぶさ!」

彌生の左片手突きがアテナの隙だらけの左胸を捉えた。ハクは意外に早く終わるかもしれないと思った。

「絶対防御イージス!」

アテナの掛け声と共に、彌生の突きは弾かれた。彌生は突きが弾かれる瞬間、アテナの左胸あたりに白い盾があるのを見た。

「雷霆!ケラウノス!」

アテナの右手には雷を纏った白い剣が握られていた。彌生の突きを弾いたあとの隙をアテナは逃さなかった。

「ここまでですね!」

ケラウノスが振り下ろされた。

「返し技、飛燕!」

彌生は左半身の姿勢から、右手に握られた白刀の鞘を使いケラウノスを受け止めたと同時に、ケラウノスを払いのけ、左手に握られた刀で右回転をしながらアテナの左脇腹から右肩にかけて、斬りあげた。しかし、アテナのイージスにまたも、弾かれる。その時、アテナの予想を破る一撃があった。刀での斬撃のあと、右回転に合わせて鞘での打撃があった。鞘での打撃はアテナのわき腹を捉えた。

わき腹えの打撃をくらったアテナは一旦彌生との距離をとった。

「刀と鞘での二連撃。見事でした。」

「俺の突きを弾いてからの攻撃。さすがだったよ。」

まだこの時点では二人共、能力らしきモノを使っていない。ハクはこの二人を見ていて、二つ気がついた。アテナと初めてあった時に、あれ程の弾幕を撃ち込んでもアテナに傷がなかった理由だ。そして、あの弾幕を全て弾いたイージスの弱点。

「フランさん。あの二人、どうですか?」

「彌生もアテナも強いね。咲夜でも能力使わないであんな動きあまりできないよ。彌生って何者なの?」

「彌生さんは人間だったころに刀を扱う基礎ができていたんですよ。だから、人間よりかも動ける今、あんな事ができるですよ。」

「そうなんだ。あとさ、アテナのイージスってやつ。あれ厄介だね~。」

「ですね。だけど、彌生さんの鞘での打撃を防げなかった所をみると、自分の予想しない攻撃は防げないようですね。」

それを聞くとフランは立ち上がった。

「それじゃ!私、ちょっと体を動かしてくるね!」

そのまま走って行ってしまった。

「あまり遠くまでいかないで下さいね~!」

ハクがフランに大声で言った時だった。

爆発音が響いた。

「轟け!いかづち!」

アテナの周りには雷の塊のような球体が浮かんでいる。その塊は空から彌生に雷の弾幕を放っていた。

「あの塊を狙うか。」

彌生は雷の弾幕をよけながら、一つずつ塊を狙っていった。一つの塊に通常よりも大きな弾幕をぶつけてなくす事ができた。

「この雷は壊しても無駄ですよ!」

彌生が塊を壊してもまたすぐに塊は再生していた。そこからは、アテナの弾幕が彌生を襲うばかりだった。

「よけてばかりじゃないぜ!縁符 《タイムエンド》!」

アテナは彌生を見失い、あたりを見回していた。

「何処に隠れたんですか!?」

「隠れたわけじゃないぜ!」

彌生はアテナの上にいた。

「上からの攻撃はどうだ!?」

「無駄ですよ!イージス!」

彌生の斬撃は当然のごとく弾かれた。弾かれた衝撃を利用して彌生はそのまま二連撃をくらわせた。

「連撃をくらわせたら当たるってわけじゃないんだな。」

彌生の三連撃は全て弾かれた。しかし、アテナの周りの塊は消えていた。

「イージスを使うと弾幕も消えるんだな。」

「気づかれましたか。その通りです。」

彌生はそのまま地面に降りた。その時、彌生に向かって炎の剣が飛んできた。

「彌生さん!!右!!」

アテナが叫んだ時には、もう炎の剣は彌生の目の前に迫っていた。

「うわぁぁ!!」

彌生は叫びながら無意識に炎の剣を握っていた。

「彌生さん!」

「彌生!」

そこにハクとフランも駆けつけた。アテナもすぐに降りてきた。

「「大丈夫ですか!」」

アテナとハクは声を揃えて聞いた。しかし、フランは違った。

「なんで、彌生が持ってるの?なんで…消えてないの…」

ハクとアテナ、彌生はフランからレーヴァテインについての話を聞いた。

「なあ、ハク。もしかしたら、僕の能力。これかもしれない。フランからレーヴァテインについての話を聞く前に、頭のなかにこの剣の能力とか浮かんできたんだよ。」

「でも、まだ確信が持てませんね。」

「だな、まだ確実じゃないからな。」

ハクとフランは頭を抱えた。アテナにも考えが浮かばないらしい。

「そうだ!ねぇ!お姉様の所に行こう!お姉様のグングニルを手に取れれば絶対だよ!」

ハクと彌生は顔を合わせた。

「決まりですね。」

「ああ。アテナ、一緒に行こうか。」

「アテナも行こう!」

アテナは笑顔で応えた。

「はい!ぜひ連れて行ってください!」


紅魔館で…

「フランが居ないと本当に静かね。咲夜。」

「そうですね。少しだけ寂しい気もしますけど。」

二人は静かな時間をゆっくりと過ごしていた。









読んで下さった方ありがとうございました。

コメントや感想、要望などありましたら気軽にどうぞ。


今回は彌生が自分の事について少しだけ知ることができましたね。自分について考える時間も大切にしないといけない…ですかね。

そして、彌生とハクの過去の話しである《夢幻の幻想入り〜Old Tales〜》の方もよろしくお願いします。


では、また次回で会える縁を信じて…



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