おかえりの言葉
霊夢が人だけに限らず、妖怪や神や妖精や仙人や、いろいろなモノ達から認められているのは、どのモノ達にも同じ様に接し話しをするからだろう。しかし、霊夢の様にそれを無意識にするのは、意外と難しい。
博麗神社で…
いつもは参拝者もなく、霊夢一人が掃除をしているか、魔理沙と二人で時間を持て余しているか、たまに仙人が来て説教をされてるか、そんな人も妖怪も少ない神社は今とても賑やかだ。
「まず!みんなおかえり!」
霊夢の声が響いた。
その後、霊夢は彌生とハクそして、アテナの説明を聞いて今の状況を理解したようだ。
「つまり!あと一月後にくる奴らをボコボコにすればいいのね!」
霊夢の笑顔が眩しかった。彌生もハクもアテナも、まあ間違ってはいないからこれでいいか、と諦めていた。それを見た魔理沙は。
「あ~。こいつに説明するだけ無駄だぜ。結局は自分の感だけで動くからな。」
魔理沙は苦笑いだ。もちろん霊夢以外の周りのモノ達も…。
「では、話もまとまってきた様なので、私は一度、幽々子様のところに帰ります。それでは、また会う時まで。」
そう言うと、妖夢は冥界に飛んで行った。
「それではお嬢様、私達も帰りましょうか?」
「そうね、咲夜も動ける様になったし…。フラン?あなたはどうするの?」
レミリアは少し微笑みながら尋ねた。
「え、私が決めてもいいの?」
フランの顔には不安の色が出ている。
「そうよ。あなたの事じゃない。今回の戦いであなたは少なからずとも、確実に成長しているわ。道徳的な意味で、ね?だから今はあなたの判断に任せるわ。」
彌生とハク、アテナは事情が分からないながらも、その場の雰囲気と、レミリアの言葉から、ある程度の事は理解していた。
「だったら…私は…。ハクと一緒にいたい!」
レミリアは笑顔で言った。
「よく言えました。だったら、ハクさんに聞いて見なさい。自分の言葉で。」
「ハク。私、一緒にいてもいいかな?」
「もちろんです!彌生さん!いいですよね!」
「うん、構わないよ。無駄に広い寝床もあるし。そうだアテナ、お前も来たらどうだ?こっちに来る度に空を割らなくてすむし。」
アテナは苦笑いをしながら少し考えて応えた。
「よろしいのでしたら…お願いします。」
アテナの礼儀の正しすぎる返事を彌生もハクもフランも快く受け取った。
それから、それぞれに帰る場所に帰って行った。
「なあ、霊夢。」
「なによ、魔理沙。」
「本当は、お前も皆と居たかったんじゃないか?」
「それは無いわね。ここに居るのはあんたくらいで十分よ。あと今回はおかえりなさい。」
「へへっ。ただいま!」
それから霊夢と魔理沙はキリコ達に邪魔された月見酒の続きを始めた…。
紅魔館で…
門番(紅 美鈴)はレミリアの事に気づくと、すぐに飛んできた。
「あ~~皆さんおかえりなさい。良かった、良かった~って、あれ?フラン様は?」
「ふふっ。お泊まりよ。」
レミリアはそれだけ言うとすぐに館の中に入って行った。その後、咲夜が美鈴に説明をしたらとても驚いていた。パチュリーは話をしてもそこまで驚いてはいないようだった。しかし、おかえり、と一言呟いてくれた。
「お嬢様、おかえりなさいませ。それと、パチュリー様からも、おかえり、と。」
「そう、なら私からも、おかえりなさい、咲夜。それと、ただいま咲夜、パチェ。そして私の館。」
白玉楼で…
そこでは幽々子が縁側で妖夢の帰りを待っていた。
「幽々子様。ただいま戻りました。」
「あら~。妖夢。戻ったのね~」
「はい。すぐに仕事に戻ります。」
「その前に…。おいで、妖夢。」
幽々子に言われるまま、妖夢は幽々子の隣に座った。すると、幽々子は優しく妖夢を抱きしめた。
「さすが私の妖夢。よくやってくれたわね。おかえりなさい。」
「幽々子様…。ただいま、です。」
妖夢は幽々子の心の暖かさがとても心地が良かった。
名も無い何処かの神社で…
「帰ってきたな、ハク。」
「ですね、おかえりなさい。彌生さん。」
「ただいま、あと、おかえり。」
「はい、ただいま。」
ハクやフラン達がどんな夜を過ごしたのか。それはまるで、初めて友達の家に泊まりに来た子供がいる様だったらしい。ここではあまり語らずにおこう。また、話す機会があるはずだから…。
それぞれの帰る場所に帰り、それぞれが家族の様に大切な人と、帰ってきたからこそ交わせる言葉を口にした。
「はぁ、私はこれからどうしましょうか…。」
アテナは誰にも聞こえない程小さな声でそっと呟いた。
おかえりの言葉 完
読んで下さった方本当にありがとうございます。この作品を読んでの感想やご指摘など、貰えたら嬉しいです。
おかえりの言葉がない時でも、家にただいまと言う事が多々あります。そうすると、おかえりの言葉が聞きたくなる時がありますね。
なんて…。
では、次回で会える縁を信じて…。