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信じる力

吸血鬼の舞う空には大きな満月が輝いている。空からは月の光が、地上からは燃える竹林が戦の舞台を照らしていた。


レミリアはなんとか、あの大きな火炎の球をくい止めた。しかし、あの火炎の球がカグヅチの限界ではないだろう、とレミリアは考えていた。なぜならば、あれだけの火炎を吐いておいて、カグヅチには、疲労の色が見えないからだ。

しかし、対するレミリアは、あの青い大蛇を連れたキリコとの戦いでかなりの疲労が溜まっていた。

「はぁ…。このまま戦いが続いたら、さすがに疲れてしまうわね。」

レミリアは珍しく弱音を吐いていた。

その時カグヅチはまた轟音の咆哮を鳴り響かせた。

「アイツは待ってくれなさそうね。まぁ、いいでしょう。私の最後の抵抗ってところかしらね。でも、あなたにも最後を!。」

レミリアは疲労が溜まった身体に無理をさせ最後のスペルカードを発動させた。

「貫きなさい!《神槍 スピア・ザ・グングニル》!!」

レミリアの手に握られた槍は、万物を貫く神の槍。紅く紅く燃える紅蓮の槍はレミリアの心そのものだった。

カグヅチはレミリアのグングニルを見ていた。その時レミリアには、確かに聞こえた。カグヅチの声が。

「お前の力では、我にとどかん。」

カグヅチの身体から、10本の剣が出てきた。カグヅチ自身を傷つけながら出てきた剣は全て、レミリアの方に向けられていた。

「まだ、あんなのがあるなんてね。しかも、なんか嫌な声が聞こえたし。」

カグヅチを囲む10本の剣にレミリアは勝てる気など無かったが、諦める事をレミリアのプライドが許さなかった。

「行くわよ…。」

レミリアは神の槍を強く握り締めた。動き出そうとした時、あの魔女の声が響いた。

「レミリア!!」

レミリアは少し涙を流し叫んだ。

「魔理沙!!遅いわよ!」

「すまなかった!だけど、もう終わらせられる!レミリア、こっちに来てくれ!」

魔理沙はレミリアを自分のところまで一旦退かせた。

「今から、その槍で、一瞬でいいからカグヅチに隙を作って欲しい。できるか?」

「それくらい簡単よ!魔理沙、信じてるわよ!」

「おう!任せろ!」

「貫け!グングニール!!」

レミリアは最後のスペルカードに力を使いきり、そのまま、竹林に落ちて行った。

レミリアのグングニルはカグヅチの10本の剣と競り合った。槍の勢いは衰える事なく、カグヅチを貫きに行った。

落ちて行くレミリアは自分の妹に受け止められた。

レミリアが落ちて来るのを見た時、フランは体が勝手に動いていた。それを、ハクも彌生も止めなかった。

「お姉様。かっこよかったよ。」

「フラン…。あなた、彌生さん達は?」

「今はまだ、大丈夫。だけど、すぐに行かないと。飛べるね?」

「ありがとう。フラン。」

レミリアは自分の妹を誇りに思った。

自分の翼で飛びレミリアは魔理沙を見上げた。

「さすがレミリアだな。あのカグヅチが抑えるので一杯一杯じゃないか。そんじゃあ!とどめの一撃!《月星魔符 ファイナルマスタースパーク》!!」

魔理沙の後ろには、満月を中心とした、大魔法陣が空に広がっていた。大魔法陣の中にある正五角形の五つの角全てからマスタースパークの倍以上の魔砲が放たれた。

光の魔砲はレミリアの放った神の槍を飲み込み、カグヅチを包み込んだ。

光の中にカグヅチの咆哮と姿が掠れていくのが見えた。

「さすがに…私も疲れたぜ…。」

あれだけの魔砲を放った魔理沙は空中で箒にまたがるだけでも精一杯になっていた。


「終わった…。やっと、終わった…。」

レミリアは自分のプライドに従い、何も言わずにその場から立ち去った。

「レミリアのやつ、素直じゃないぜ。私も一旦、退かせてもらうぜ…。」

レミリアと魔理沙はそれぞれの帰り方で、博麗神社に帰っていった。


地上では、ハクとフランがキリコと対峙していた。

「まさか、私のカグヅチが殺られるなんて。考えても無かったわ…。」

「あなたは、信じる事で心を決める事で、得られる力があると思いますか?私はあると思っています。だから、レミリアさんと、魔理沙さんが勝ってくれる事を信じましたし、フランさんの事も彌生さんの事も信じています。」

キリコは憎しみに顔を歪めていた。

「私に、この世界を壊す理由がまた一つ増えたわ。」

キリコの闇は更に黒さを増していた…周りの世界や思いまで巻き込むように…。


博麗神社で…

「あ、紫様、吸血鬼と白黒の魔女が帰ってきました。」

護り役の藍は二人をすぐに見つけた。

「ちょっと、メイド。あんたの主人。無事帰って来たわよ。」

霊夢は口調とは裏腹に、笑顔で話していた。


レミリアと魔理沙の帰り道で…

「ねぇ、魔理沙。あなた、いつからあんな大魔法陣を使えるようになったの?」

「あはは、パチュリーの本の中にあったのを思い出してな。もう、あんな魔法使いたく無いぜ。」

「そう。本はちゃんと返しておくのよ。」

「レミリアさんは、変わらずだぜ。」

「でも…。ありがとう。魔理沙。」

「へへっ。私からも、ありがとう。レミリア。」

戦いの中、深まる縁がそこにはあった。


信じる力 完






信じ合う事で信頼が生まれて、そこでまた、新しい縁ができたり、深まったり…。

いろいろなところで、何かしらの縁があると思います。その一つ一つの縁を大切に、時には向き合っていくことができたらいいですね。


ここまで読んでくださった方ありがとうございます。良かったら、コメントなどよろしくお願いします。


では、また次回で会える縁を信じて…。


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