縁切りと縁結び
幻想の世界を、大切な人を護る為、少年と少女は白刀を手に戦の舞台を舞う。
彌生は、フランとキリコの間に一瞬で移動した。しかし、行動しているのは、ハクだ。
「彌生さん。最後の仕上げに入ります。このままだと、身体が違うので、勝手が悪いです。彌生さんには、一時の間、白蛇になってもらいます。」
「いや、ちょ、ま…」
彌生の話も聞かずハクは行動に移した。
「じゃまだよ!!私のおもちゃを取らないで!!」
「フランさん!死にたいんですか!?私は死なせたく無い!!だから、ここは私に任せて下さい。お願いします。フランさん!」
フランの瞳からは、一粒の涙が流れた。
「あれ?なんで?なんで、泣いてるのかな。分かんない。分かんないよ。」
フランのこれまでの長い長い時の中で、命を賭けてまで、自分の為に戦ってくれたモノがどれだけいたか、ハクには知る方法など無かった。けれども、ハクにとってもそれくらいフランが大切な存在だと言うことは、フランにも伝わっているだろう。だからこそ、ハクはフランに約束をする。
「必ず、必ず貴方を護る!だから!私を信じて!私も、貴方を信じて戦うから!」
「うん。分かったよ。私もハクを信じる。だから、私も一緒に…」
「彌生さんが言ってましたよね。フランさん。私達は一人で戦うんじゃないって。」
フランとハクが話していた間。着実にキリコは力をためたていた。キリコからは、あの禍々しい黒さを持つ球体が浮かんでいた。
「貴方達の三文芝居のおかげで、私は準備万端よ。さあ、私の速さについて来れるかしら?」
キリコは構えた切っ先をハクに直した。ハクの瞳はキリコの切っ先を捉える。キリコが動いた。
「終焉を…《縁符 存在の否定》!」
「終わらせない!《縁符 存在の肯定》!」
キリコの姿が揺れて消えた瞬間。ハクは抜刀の構えから、最速の剣をはなった…。
刀と刀が切り結ぶ、金属音が鳴り響いた。
キリコの突きをハクの抜刀が撥ね退けた。
「まさか…私が見えるなんてね。やるじゃない。」
「貴方が縁を切るなら、私と彌生さんは縁を結びます。縁切りと縁結びは表裏一体です。そして、白と黒のように、明白な違いがあります。」
フランには、ハクの姿は戦地を舞台に舞っている様に綺麗に見えた。
「魔理沙!貴方の言った通り、簡単に行きそうには無いわね!」
「だろうさ!だから、秘策ってのがあるんだ!」
空に舞うのは紅蓮の神と、紅と黄の二つの星。
縁切りと縁結び 完
読んでくれた方ありがとうございます。
この作品を読んで貰えるのも、何かの縁でしょうね。
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では、次話で会える縁を信じて…。