花々の怒り
何処かのヒマワリ畑で…
そこには、自分のヒマワリ達を大切に育てている女性がいた。
彼女の名は《風見幽香》。幻想郷の妖怪の中でもトップクラスに入る実力の持ち主だ。彼女は《花を操る程度の能力》を持っている。
その能力のおかげで、幽香は多くの花々と会話をすることができた。
今も、その能力で目の前のヒマワリと会話をしている最中だ。
しかし、その会話の最後にヒマワリの言った言葉が、幽香を戦場へと導いた。
「仲間が…消える…仲間が…消える…」
この声を聞く事は、滅多になかった。だからこそ、幽香はすぐにその場所に向かった。
そこでは幽香がいる事にも気づかずにヒマワリを踏み潰している少女がいた。
「あなた!私のヒマワリを踏み潰すなんて、いい度胸してるのね?」
「なんのことかしら?こんなモノ。存在する理由があるのかしら?」
翠色の大蛇を連れた小さい縁切りの神は笑いながら、そう言った。
その言葉を聞いた時、幽香の目は憤怒の紅色をしていた。
「あなたには、命の価値、が理解できないようね。」
「そうですね。命の価値、ですか。命なんて、簡単に斬ってしまえるし、結んでしまえるし、その価値なんてモノ。私には分からないですね。」
そう言った少女の後ろからは、翠色の大蛇が獲物を見つけたかの様に、幽香を睨みつけていた。
「なら、この風見 幽香が、あなたに命の価値を、あのたの命をもって、教えてあげるわ。」
「そうですか。でも、あなたが私に命の価値を語る事ができるのでしょうか。」
先に動いたのは、当然、幽香だ。しかも、地中からの植物を使った攻撃だ。
この不意打ちは上手くいったらしく、ほぼ動かなかった、少女、縁切りの神、キリコを難なく、太い木の根の様なモノで、縛り上げた。
次は、翠色の大蛇をと思い、幽香は、植物を使い、縛り上げようとした。しかし、この大蛇に触れた瞬間。植物達は無惨にもすべて枯れてしまっていた。
「な…コレは。毒ね。それも触れただけで植物が枯れる様な、超猛毒。」
「そうよ。この子は身体の表面に毒の膜が張ってあるの。だから…」
そう言うと、自分に大蛇を巻きつかせた。
「こんな風に簡単に植物なんか枯れちゃうのよ。」
「そうゆう仕掛けがあるとはね。でも、毒なら私の植物の中にも、結構自信がある子がいるのよね~」
ヒマワリ畑のヒマワリ達は、この溢れんばかりの殺気を感じ取っていた。
何処かの竹林で…
「あの子達、しっかりやってるのかしらね〜。ま、どうせ勝っても負けても、私の中に戻るだけ、だけどね~」
そんな独り言を吐きながら、黒い大蛇を連れたキリコは、自分の分身がかえってくるのを待っていた。
花々の怒り 完