第1章その一:プロローグ
怒りをあらわにさせている領主に対し、三人は気楽にあいさつをする。
「改めて自己紹介をさせてもらうぜ。俺は佐々木迅。AOGのリーダーだ。」
「俺はイクス・ラスベル。本当のリーダーだ。」
「あんたと会うのは初めてだな、バース・ファルガーだ。この二人は自分の事をリーダーと思ってるが俺がリーダーだ。」
「は!?何言ってやがるバース!リーダーはこの佐々木迅様だっつーの!」
「ふっ分かってないな、リーダーって言うのは品があるやつだ。すなわち俺しかいないだろう。」
「いやいややっぱり一番力の強いやつだろう。だから怪力のバース様だ。」
領主はギャーギャー言いあう三人にバカにされたようになり、ロボットに命令した。
『そこのバカ三人を始末しろ!!』
ロボットは攻撃目標を三人に合わせた。
そして三人に突っ込んだ。
「バ……カ…?」
イクスが敏感に反応した。
そして背中にかついでいたバズーカ砲をぶっぱなした。
「こいつらはともかく俺をバカってよぶんじゃねえぇーー!!!!!!」
ズガーン!!!!
三体ほどはあたかたもなくふきとんだ。
イクスの得意なのは銃器。
なので体のあちこちに武器を装着している。
「迅!お前はあの嬢ちゃんを!!」
「こいつらは俺たちに任しとけ!」
「分かった!」
迅は自分を狙っているロボットやビームをよけて、リオンの所に行った。
「ようチビ助、大丈夫か?だからやめとけって言ったのによ。」
「あんた…何者?」
「さっき言っただろうが。俺は佐々木迅。迅って呼びな。」
「ジン…?」
「う〜ん、なんか発音がいまいちだなぁ。ちゃんと言ってみ。迅って。」
「…迅。」
「ほい、よく出来た。」
「うん……じゃなくって!あの二人はいいの!?けっこういるのよ!!」
「ま、これくらいじゃ心配ないだろ。」
リオンはイクスの方を見た。
小型のレーザー銃を駆使して、敵を倒している。
よく見ると、すべて稼動中枢部がある頭だけを狙っている。
それにより無駄撃ちなどは全然していない。
一方バースは…………見当たらない。
リオンがキョロキョロしていると迅がある一点を指差した。
そこにはロボットでできた山がある。
じーっと見てると、その山は動き急に噴火した。
いや、噴火したのではない。
何者かがロボットを吹き飛ばしたのだ。
「ハーハッハ!!歯応えのねぇやつらだなぁ!!」
それはバース。
しかし、微妙にバースとは違う。
体が違う。
いつもはプクッとふくれている腹が、今はきっちりひきしまっている。
ものすごく硬そうだ。
バースはその怪力で力まかせに敵の装甲を破壊していく。
「す…すごい。」
「まあな、あいつはギドム星出身だからな。聞いた事あるだろ?」
「ギ、ギドム星!?あの戦闘集団の!?」
「そう。己の肉体のみで戦う集団。だからあいつの体は普段はただの脂肪だが、ここぞという時には鋼のようになる。」
「へぇ、噂には聞いてたけどそんなにすごいんだぁ。迅はどこの出身なの?」
「俺か?俺は日本出身だ。驚いたか?」
「にほん??」
リオンが知らないのは無理はない。
今は星一つを街として見る時代だ。
いちいち星の中のちっちゃな国などだれも知ろうとはしない。
「知らねぇのかよ!まあ、アレだ。地球って星だ。」
「……あぁ!あの準知的生命体のいる星ね。」
「準って言うな!!」
それから迅はリオンと面と面を向けて、地球(とくに日本)についての講義をしだした。
しかしそこにサーベルを持ったロボットが忍び寄った。
迅の背後にいるので、リオンはそれに気づいた。
「危ない!!!!」
リオンは思わず目をつぶった。
だが次の瞬間、
ズバッ
と何かが斬れる音がして、
ズゥン
と倒れる音がした。
リオンが恐る恐る目を開けると、そこには腰にさしてあった刀を抜いた迅がいた。
斬られたのはロボットの方だった。
「こいつはな、宇宙で一番堅いと言われている鉱物で作られた刀だ。その名も盧遮那だ。俺専用の武器さ。」
そう言い終わると迅はリオンの後ろの空間を斬った。
リオンが振り返るとそこにはすでに破壊されたロボットがいた。
「つったく危ねぇな。」
「……ありがとう。」
リオンは珍しく大人しく言った。
「お、お前のためにしたんじゃねえよ。飯のためだ。」
「ふうん。」
「そうだよ、あんなチビ助のためじゃねえ。俺は飯のためにだな……飯のため……」
ブツブツ言う迅に、バースとイクスが近づいてきた。
「終わったぜ。」
「迅、何をブツブツ言ってるんだ?」
「い、いや、何でもない。」
迅はブツブツ言ってる自分が恥ずかしくなり、顔を赤らめた。
「さ、領主の所に行こうぜ。」
四人は部屋を出た。
いつのまにか立体映像は消えていた。