第1章その一:プロローグ
リオンは城内を気付かれないように走っていた。
(どこだろう…領主の部屋は……)
なんだかさっきから同じ所をぐるぐる回っているような気がする。
本当は真っ直ぐに行きたいのだが、兵士がうろうろしているので思う方向には行けないのだ。
(…ここかな?)
リオンは立派な扉を見つけた。
周りに兵士はいない。
リオンは少しだけ扉を開けた。
シーンとしている。
中を見ると、とても広い部屋があった。
誰もいないようだ。
それに電気もついていない。
どうしようか迷っていると、
「………が…壊され………」
「犯……三…………しいぞ。」
と兵士の話し声が聞こえた。
(やばいっ!!)
リオンはどっさに部屋の中に入った。
最初は暗くて何も見えなかったが、だんだん暗さにもなれてきて、見えるようになった。
「これは……?」
リオンが声を出してしまったのにも無理はない。
そこには戦闘用ロボがたくさんあったのだから。
しかし起動はされていないようだ。
リオンはとりあえずホッとして、その部屋を出ようとした。
しかし、
ガタッ ガタッ
「あ、開かない!?」
リオンは大きな音を立てるのもかまわず扉を開こうとした。
それでも扉は開かない。
(しょうがない!!)
リオンは銃をドアに向けて撃った。
粒子が扉に向けてはなたれた。
しかし扉はそれを吸収した。
いゃ、正確に言えば扉の前のバリアがそれを吸収した。
「ま、まさか…ハメられた!?」
『フフフッ、その通り。』
リオンが後ろを向くと、領主がいた。
リオンはそれを見て、憎しみをむきだしにした。
『お前の事は知っていた。
ワシの事を殺そうとしているのを。
そしてお前はやはりこの城に入ってきた。』
「そ、そんな!!」
『フフフッそこが貴様らとワシの違いなのだ。
分かったかガキが。ハッハッハ!』
領主は高笑いをして、リオンを挑発した。
リオンは銃の狙いを領主に定めて撃った。
「り、領主〜〜!!!!」
ビィィィーーム
しかし粒子は領主をすり抜けて後ろの壁に当たった。
「えっっ!?」
『これは立体映像だ。何をやっても無駄だ。……さらに!』
領主の言葉と同時に、戦闘用ロボは起動した。
『お前はここで死ぬ。』
戦闘用ロボの数は少なくとも30体はあった。
間違いなくリオン一人では倒せない。
しかも敵は遠距離のタイプから近距離のタイプまで様々だった。
(ダメ……殺される!!)
『やれい!!!!』
戦闘用ロボは一斉に照準をリオンに合わせた。
リオンは泣きそうな顔になっていた。
『フフフッいいぞ、その顔。殺すにはもったいないがしょうがないか。』
領主は悪魔のような笑みでリオンを見た。
その時、
ピキ…ピキ……
『ん?』
ピキピキピキ……バキッ
『なっ。』
ドッッガアァァァァン
バリアでおおわれているはずの壁が破壊された。
領主は驚き後ろの壁を見た。
リオンも何が起こったか分からないまま、前を見た。
数体のロボットは吹っ飛び、立体映像も少しゆがんだ。
煙が立ち込めそこに三人の人が映った。
『だ、誰だ!!?』
領主は未だ見えない人影に叫んだ。
「誰だって、つれないなぁ領主さんよぉ。」
「まったくだ。まだ会ってから一日もたってないのにな。」
「ハッハッハ!まぁ俺は会ってねぇけどなぁ!!!!」
リオンは我が耳を疑った。
聞こえた声が間違っていなければこの声は……。
そう思考を巡らせているうちに煙がきれる。
そこにはリオンの思った通りの人たちがいた。
『お、お前らは!!』
「どうも。AOGの三人です♪」
迅、イクス、バースの三人がそこに立っていた。