表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

第1章その一:プロローグ

(腐った領主に裁きを下したい……)

それがリオンの最初の目的だった。

だが、なぜか今になってその目的がゆらいでしまっている。

(あまりにあっけなさすぎたから?)

領主の顔は恐怖で染まっている。

(こいつの未来は私が握っている……)

そう思うと、領主を許してやりたくなる。

「私が…するの…?」


リオンは思わず迅に聞いた。

迅は訳が分からないと言った顔でリオンに言った。

「はぁ?チビ助、もうお前の信念は敗れたのか?あんなに言ってたじゃねーか。」


(そうだ、確かに私は言った。)

親の仇を討つ、と。

報復をする、と。

しかし、ゆらいでいる自分がそこにいる。

(私は…私は、こんなにちっぽけな領主を倒したかったの?)

銃を握りしめたまま領主と向き合うリオンに迅は言った。

「お前は領主を殺すためにきたんだろ?」


「……そうだ。私はこいつを…」


リオンはさっきより銃を強く握った。

領主はそれにさらに恐怖を感じて慌てるように言った。

「ま、まて。いや、待ってくれ!!」


「?」


「ワシを殺さないでくれ!そうすれば、お前たちの言う事は何でも聞いてやる!!」


「ホレ、どうすんだ?殺すのか?殺さないのか?」


(こいつを……殺す?)

リオンは今更ながらに怖くなった。

(人を……殺す?)

人を殺す事。

それはいつの時代も変わらない重い罪。

ほんの一時間前までは、そんな罪を犯す事など怖くはなかった。

しかし今はそれが怖い。

人を殺さずに解決できる方法だってある。

現にここまでは誰一人とさて殺さずに来た。

領主だって殺さずに済むかもしれない。

そんな考えがリオンの頭に浮かぶ。

だからリオンは銃をにぎる手をゆるめた。

顔も迷うような顔になる。

(よし!!あと一息だ!)

リオンのそんな行動を自分の言葉に騙されたものだと思った領主は、さらに誘惑の言葉を続けた。

「欲しいものは何でもやる!!金か!?金もたくさんやるぞ!!」


領主は必死だった。

自分が生きるためならなんでもしようと思った。

(フフフッたいていのやつは金に弱い。これでワシは無事だ。)

領主は心の中で下品な笑みを見せた。

「金……?」


「そうだ!金だ!いくらでもくれてやる!!!!」


領主はついうっかり心の中でしていた笑みを見せた。

それが致命的だった。

(こんな…こんなやつに、母さんと父さんが……!!)

「こんなやつにーーーー!!!!」


リオンは領主に銃を向け、トリガーを引いた。

ビィィィーーム!!!!

出力最大のビームは領主に恐怖を与えるひまさえなかった。

ズガアァァァァァン

煙が舞い上がり、やがてきれた。

ビームは領主に当たらなかった。

横の壁に当たった。

リオンはまたしりもちをついた。

領主はだらしなく気絶していた。

よく見ると失禁している。

「…そんくらい当てろよな。」


迅が苦笑いでリオンに手を差し出した。

「わざと当てなかったのよ。あんなやつわざわざ殺したって意味ないもん。それに…後味悪いし。」


リオンは笑ってその手をとって立ち上がった。

迅は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑顔でこたえた。

「同感だ。」


二人は互いに笑顔を見せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ