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ktkr厨二展開

作者: ランプ

超短いですが、初めてなのでまずは短い物を書いてみました。

稚拙な文章ですが、暇つぶしにでも読んでくだされば嬉しいです。

「勇者様、この世界をどうかお救いください」

「オッケー了解任せとけ」

「え」

「え」


 いつも見慣れた自分の部屋から、まったく見覚えのない部屋へと瞬間移動した。

 その直後、目の前の王様っぽい人から吐き出された言葉は、ある意味王道中の王道な台詞だった。

「勇者様、この世界をどうかお救いください」

 その時私は思った。

 キタコレ厨二展開!!

 表面では動揺一つ表さなかったが、内心では狂喜乱舞しまさに小躍りせんばかりであった。

 だからこそ即答した。

「オッケー了解任せとけ」

 多少頭が悪い言葉だったのは興奮していたからだ。ここは頭の良さよりもやる気をアピールしておいたほうがいいだろう。

 頭が足りないなりにそう判断して発した台詞だったのだが。

「え」

「え」

 何故だかすごく不振な目で見られてしまった。何故だ。第一印象は最高のはずなのに。

 一度も染めたことのない純粋な黒の髪。それを短く運動する時邪魔にならないように切ってある。瞳はこれから起こる事を期待しキラキラと輝いているはず。しかし自らに課せられた運命を受けとめんと意思の強さは失わぬようにしていたはず。今は女性らしくスカートなんぞ穿いているが、冒険に出るとなればスカートなんぞ永遠にはかなくてもいい。

 こんな事もあろうかといつもイメージトレーニング(妄想)をしていたおかげで、この状況に苦もなく順応している。

 まさに勇者たらん人物として、相手の目にはうつるはずなのだが……現実は妄想のようにはいかないらしい。いったい何がいけなかったのか。

「いえ、あの、勇者様、何も説明のないまま承諾されてよかったのですか……?」

「ああ、そういう事。大丈夫大丈夫。魔王倒せとかそういうのでしょ? わかってるって皆まで言うな」

 軽く流しとく。私は数多の『勇者になって世界を救う系ゲーム』をやりこんできたが、冒頭のほとんど操作ができないお話部分はすっ飛ばすタイプなのだ。

 そんなのいいからさっさとゲームさせろ! 冒険させろ! とか思ってしまう。いや、ゲームクリエイターの方には申し訳ないが。

「さすが勇者様! すでに御身の宿命を理解なさっているとは……!」

「おう褒めとけ褒めとけ。もっと讃えろ愚民共よ」

 私はよく調子にのると思った事をほとんど何も考えず口に出してしまう。家族からは「頭が悪いからしゃーないわな」とよく言われる。

 今回もその悪癖が存分に発揮されているのだが、目の前の王様たぶんはまったく意に介さない。

「さすがです勇者様! よ! 世界一!」

 王様も私に負けず劣らず頭が悪いようだ。酷い声援を聞いたような気がするがここはあえてスルーする。

「よっしゃー! それじゃさっそく魔王退治に行っちゃるぜー!!」


 私はこの時浮かれていた。

 頭が悪い上に浮かれまくりだった私は普段よりもさらに脳みそを使っていなかった。

 だからこそ、私は考えもしなかったのだ。

 この私の物語が、まさかRPG系ではなく乙女ゲー系だっただなんて……


「お前、気に入った。俺のものになれ」

「お前もかよ魔王おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 王様につけてもらったお供である騎士(兄貴系)と魔術師(クールメガネ系)と僧侶(優しいお兄さん系)は皆、物の見事に勇者である私に惚れ、求婚した。

 最初こそ、テレテレと恥ずかしい思いや、恋愛について重く悩んだりもしたのだが、行く先々で惚れたはれたの騒ぎがあれば、嫌気もさしてくる。

 勇者を狙う暗殺者やら盗賊やら海賊やら竜王やら王子やら精霊やらと、そのバリエーションは口で言い切れぬほどだ。

 ここにきて、私はようやく理解した。私が綴っているこの物語が、俗に言う逆ハーレム系の乙女ゲー乙女小説だと言う事に……

 ここで注意しておきたいのだが、私は確かにゲームやら小説やら漫画やらオタク的な物が大好きなのだが、それらはどちらかと言うと少年向けの――ぶっちゃけドラ○エやF・○など限定だという事なのだ。

 断じて少女向けの少女漫画的ストーリーやゲームに憧れていたわけではない。

 血沸き肉踊り友情と決意の冒険物語を私は期待していたのだ。

 それなのに……それなのにっ!!

 待っていたのはウフンアハンな桃色逆ハーレムとはいったいどんな嫌がらせだ!

 しかも少しでも気を抜くと、お子様には決してお見せできないR18モザイクワールドに突入しようとする不届き者が後を絶たないのだ。

 我慢の限界にきた私は最後の希望を抱いて、この魔王城にたった一人で乗り込んだ。(お供は頑張って――それはもう血反吐を吐くような努力をして――まいてきた)

 だがそこで待っていたのは、女性の夢であり、私にとっての絶望だった。

「なんでだ!? 私勇者! あんた魔王! その設定で何故ロマンスがうまれる!? おかしいだろありえないだろ!」

「ロマンスというのが何なのかはわからんが、お前が勇者だろうと俺には関係ない。お前は俺の物だからな」

「黙れ魔王(俺様系)!」

「おれさまけい?」

 やはり現実は妄想のようにはいかないらしい。

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