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6話 善意の爆弾


 魔法剣士の部屋にて、ふかふかのタオルに包まれて水分をふき取られてます。

 身震いして水を飛ばそうかと思ったけど、周りに水が飛んで被害が出そうなので自重した。


「とても良い子でしたよ、お風呂好きなんですね、気持ちよさそうに洗われてくれました」

 あたしの毛を拭きながら、楽しそうに執事さんが報告する。


 あぁぁ…そんなこと報告しないでぇぇぇ……人としての沽券が…っ。


 案の定、魔法剣士から鋭く冷たい視線が投げられる。

 その視線を、そっと左に受け流す……。

 受け取れるか、そんな殺人光線!

「おや旦那様、やきもちですか? 大丈夫ですよ、この子は頭の良い子ですから、すぐに懐いてくれますよ」


 いやぁ!! 執事さん! もうそれ以上言わないでぇぇぇ……。


「さぁ、できましたよ。 見事な黒毛ですね、色艶は少し落ちてはいますが、なに、バランスの取れた食事にすれば直ぐに美しい毛並みになるでしょう。 ふふ、楽しみですね」

 どこから出したのか、ブラシであたしの毛並みを整えて、完成したあたしを魔法剣士の膝の上に置いた。


 いやぁぁぁ! なぜ、今、膝上(ここに置くの!?


 そろりと逃げようとしたあたしを、魔法剣士がしっかりと押さえ込む。



「おやおや旦那様、この子は女の子・・・なんですから、そんなに強く掴まず、もっと優しくしてあげなくては」


 ぴきーん、とあたしと魔法剣士が固まる。


「旦那様がなぜこのように大きな猫を持ってきたのか不思議でしたが、大変愛くるしいお顔ですし、とても聡い子ですね。 わたくしも誠心誠意この子に使えさせていただきますよ。 おや、もうこんな時間です、申し訳ございませんが少々外させていただきます」


 懐中時計をチェックした執事さんは折り目正しく礼をし、硬直する1人と1匹を置いて部屋を出て行った。


 よろり……。


 精神に酷いダメージを受けたあたしは、ふらつく足で立ち上がると、魔法剣士の制止が無いのを良いことに部屋の隅までよたよたと歩き、部屋の角に頭をつっこんで丸まった。


 もう…駄目………そっとしておいてください……。


 部屋の隅で暫く放心していると、近づく気配があって、それからそっと背中を撫でられた。





「…うちの執事がすまなかった……」


 魔法剣士の鎮痛な声に、更に気分が滅入った。

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