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妹の暇潰し  作者: 王手
妹の時間潰し
9/45

101-P

初めての方は初めまして。

知っている方は久方振りで御座います。

前回から3ヶ月近く空きができてしまい、申し訳なく思います。

これからまた二週間ほど宜しく御願いします。

「妹の時間潰し」です。

例えば僕の友人に、小学生の頃「自分は世界一頭が良い」と安直な過信を抱いていた中学生女子が居たところで読者諸君には全く関係の無いことだ。それが妹の唯一無二の友人であり、僕の親友でもあり、妹の良き理解者の茅ヶ(ちがさき)(さかえ)であっても何ら不思議の無い事である。


寧ろ小学生の頃に考える事が、常識外れで、突拍子も無いことである方が普通だ。

その対象がヒーロー、或いは抽象的に、自分はこの世界の中で特別な存在だと信じてしまうことも一度や

二度ならず有ったのではないだろうか。



他の誰より特別で。


他の誰より別格で。



この現代社会と言うフィールドで、自分が主人公だと信じたことはないだろうか。

過信した事は―――。



だが、幼少の頃の茅ヶ崎のそれは、少し違った。



有名大学卒業で一流企業の重役を勤める両親からのプレッシャー。


異常なまでの熱狂的教育。


偉大なる両親の娘は偉大でなくてはならない。



傍若無人で、美女で、天才で、生きるスーパーコンピュータである僕の妹、麻香(あさか)と分かり合うまでの茅ヶ崎は想像するに自意識過剰なまでの自信に満ち溢れていた筈だ。



まるで世界の支配者のような。


まるで世界を掌握しているかのような。


まるで―――幻想に溺れているかのような。



造られた自信―――だったのかもしれない。


自分に酔わないと―――やり切れない。


自分を見失った―――少女。



ある意味、麻香と似ている。


天才が故の孤立。


しかし、頂点は一つしかない。


ピラミッドの最高点に存在する代わり、隣を見ても自分しかいないのだ。



故に―――孤高。



それが麻香とは違った。



僕は、今も茅ヶ崎栄に同情しているのかもしれない。


一つ隣の家に産まれていたらどんな人生を送ってこられたか。



哀れんでいるのかもしれない。


四月に起きたあの出来事を。



しかし、これだけは言える。



僕は彼女に感謝している。



兄として麻香を理解した茅ヶ崎栄に感謝している。



僕が茅ヶ崎に初めて会ったのは半年前の事。


そして事件が起きるのはそれから約二ヶ月後。


それは苦くても甘くない懐かしい話。



忘れられない―――悪夢の記憶。


忘れられた―――悪夢の記憶。



僕が語るが、主人公は僕じゃない。


主人公は間違えなく彼女達なのだから。


だから―――時間潰しのつもりで読んで欲しい。



これは恵まれているが恵まれない、二人の少女の喜劇であり―――悲劇である。

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