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妹の暇潰し  作者: 王手
妹の手間潰し
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学生である僕達が学校生活を送る中で、授業以外に必ず課題、簡単に言えば宿題をすることは避けられないものであろう。


その種類は無数に存在する。


教科書に載っている小説の感想、漢文を書き下す、計算公式を暗記してくる、など様々だ。


小学生の頃は宿題なんていうものはしなくとも困りはしなかったが、中学高校と進むと宿題と言うものは成績に大きく反映する事を知り、無視出来る存在ではなくなる。


また、それに比例して、宿題をこなす事も難しく、つまりは手を抜く事も覚え始めるのだ。


ここである法則が生まれる。



『提出物の優先順位』



僕はこう呼んでいる。


小学校こそあらゆるほとんどの教科は、担任教師が掛け持ちして行っていたが、それを過ぎると学校の授業は一変する。


様々な教科に加え、様々な教科担任が現れるのだ。


この時点で初めて教科の数だけ教師が居るという状況になる。


今日は算数の宿題。


今日は国語の宿題。


今日は理科の宿題。


などと言った、一日一教科の宿題という小学校までのシステムは一挙に廃止され、一日にいくつもの提出物を要求される事になるのである。


それも中学生程度のレベルであれば数ヶ月もしないうちにその学習循環に慣れることだろう。


それまでが甘過ぎた。


ただそれだけのことなのだから。


しかし高校生にもなってくると慣れでは済まされなくなってくる。


例えば、既に授業で教師の話す言葉が外国語にしか聞こえなくなってしまった僕とか。


英語の授業ではない。


数学である。


√(ルート)って何?


間違いなく日常生活では『循環しない無限小数』なんてものの用途は存在しない。


皆無だ。


まあ、高校で習うこと自体日常では不要であるし、根本的に学習すると言う事は日常を中心としておいてないわけで、とこれは別の話である。



閑話(かんわ)休題。



話を戻そう。


何が言いたいかというと、僕の様な半おちこぼれには今の量の課題・提出物を消化できないと言う事だ。


一つ一つに時間を費やせば、すぐに就寝時間を過ぎてしまう。


よって中には家ではやらない課題も生じてくるのが必然である。


注意すべきはここ。


この家でやらない課題に焦点を当てたのが、『提出物の優先順位』なのだ。


この『提出物の優先順位』は主に課題を出す教師に大きく関係してくる。


生徒達は家で提出物を仕上げる時に無意識にでも意識的にも、課題をやらなければ叱られるのではないかという教師に優先順位を付けているのだ。


当然全ての教科に共通して、課題をやってこなければ、叱られる。


ペナルティの有無もあるが、その中には「この先生なら注意される程度で済む」といった心理が働く場合が半数以上を占めるだろう。


つまりそういうこと。


分かっているのだ。


その日だされた課題の中で何をやればいいのか。


多少飛躍するが『提出物の優先順位』とは期限よりも自分の被害を優先したものであるということなのである。


僕も今、頭の中で優先順位を組み立てている。


提出物ではない。


僕のこれからの行動だ。


ある校内放送を聴きながら、僕はため息を吐いた。











「びっくりした!」



僕と茅ヶ崎は出店で買ったかき氷を食べながら、校内展示を見学していた。



「うおっ。どうした、茅ヶ崎」



現在僕らが居るのはお化け屋敷ではなく、何の変哲も無い休憩所である。



もしかしてフランクフルトを食べる姿が見たいがために奢ろうとしているのがバレたか?



「どうしたもこうしたも無いですよ。前章であれだけ茅ヶ崎回とか言っといて、いきなり『提出物の優先順位』なんていう意味の分からないことを語り始めたんですから。読者の皆さんは明らかに読み飛ばしてますよ」


「まあ、そうだろうな」



調子に乗って高校生の行動パターン的なことを話し始めたら着地地点を見失ってしまったのは事実。


大々的に認める。


すみませんでした。



「ささ、時間も無い事ですし、そんなことは忘れて無駄話を始めましょう」


「話す前から無駄とか言われるとテンションが滅茶苦茶下がるよな」



一気に下がった。


カキ氷に負けてないぐらい低温である。



「ではお兄さん! この私に何でも話題を振ってください! どんどん盛り上げていきましょう!」


「この前、夢で熟女とセックスする夢を見たんだよね」


「いきなり厳しい!」



フランクフルトで思い出した。


グッジョブ、フランクフルト。



「起きた時はひやっとしたね。まさか僕の深層心理では茅ヶ崎コンプレックスじゃなく、熟女好きじゃないかってな」


「よくもまあ、恥じらいも無く言えますね。今すぐに首吊った方が良いとすら思います」


「しかもその相手が小学校の頃の担任の先生でさあ」


「続けるんですか!? 女子中学生相手に仮想セックスした熟女の話をする高校生男子として学校中に広めますよ」


「すみません」



何の罰ゲームだよ。


不登校確定である。



「それでどーすんの? 話題尽きちゃったけど」


「エロトークしか頭に無いんですか!?」



ほぼ正解である。


二重丸ぐらいは付けてあげたい。










ピンポーン。


校内放送を知らせる音が鳴った。


学園祭の案内だろうか。


そう思っている僕の耳には良く聞いた事のある声が響いてきた。



『本日は校外より御越し下さり真にありがとうございます』



「あっ会長さんじゃないですか」



茅ヶ崎の言う通り、この声は紛れも無く鬼怒川先輩のものだ。


しかし、鬼怒川先輩の今日のタイムスケジュールに校内放送という項目は無い。


つまりこれは予定外の放送だろう。


何か問題でも起きたのだろうか。


僕は放送に聞き耳を立てた。



『皆様にお知らせします。これより宝探しゲームを行います』



「はあ!?」



そんなイベントはこの柊祭には予定されていない。


僕が驚愕したとしても放送は止まらない。



『在校生も参加できるので良く聞いてください。ルールは簡単です。今から言うヒントを元に宝の場所を推理してください。見事探し当てた方には賞品としてその宝をそのまま進呈します。ご安心を。賞品は手作りなどのちゃちい物ではありません。売ればそれなりの価値があるものです』



そして鬼怒川先輩は咳払いをした。



『ただし、時間制限、タイムリミットがあります。今から二時間と少し、つまり午後二時になった時点で未発見の宝を回収します。説明は以上です。質問は認めません。それでは宝の場所を示すヒントを発表します。メモの準備なんて要りません。それでは言います』



一瞬学校全体が静かになった気がした。


誰もが、と言うわけではないが大多数の人間がヒントを聞き漏らさないようにしているようである。



『「(どんぶり)の中身を捨ててしまう」これがヒントです。当然暗号です。頑張って解いてください』



そして鬼怒川会長は最後にこう付け加えた。



『それと業務連絡だが、生徒会の人間も私以外は誰も正解を知らないので参加可能だ。特に君、誰よりも速く見つけたまえ』



ピンポーンと。


再度、放送の終了を知らせる音が鳴った。


僕はしばし呆然としてその場で立ち竦んでいたが、茅ヶ崎に話しかけられ我に返った。



「お兄さんのリアクションから察するに、お兄さんも初耳のようですね」


「ああ」



茅ヶ崎も突如として開始されたゲームに戸惑いを隠せないようだ。



「では考えましょう。ヒントの意味を」



しかし参加する気満々である。


はあ。


僕は仕方なく優先順位を組み立てる。


しばらくして結論に至った。


これからの行動で優先すべきは、宝を見つけ、鬼怒川先輩の機嫌を損ねないようにする事だろう。


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