0時間目
三題噺もどき―きゅうひゃくさん。
今日は珍しく、空の色がよく見える。
所々雲の塊はあるものの、晴れている。
昨日は雨が降っていたのに、嘘のように。
「……」
ジメジメとした嫌な暑さは相変わらずだが、梅雨が明けるまでは耐えるしかないのだろう。そんな簡単に行くモノではないのだけど。
暑いのは嫌いだし、身体がべたべたして不愉快極まりない。
「……」
そんな中で、冷房もつけてくれない学校は今のご時世に逆行しようとしているんだろうか。
さすがに、陽が昇るにつれて気温が上がるのは当たり前なので、そのくらいの時間になればつけてくれるけれど。
午前中の、朝の謎の0時間目と、1時間目は耐えろとでも言うように、つけてもくれない。
「……」
そんな中で、模試なんて受けて、集中できるわけがないのだ。
来週の期末テストに向けて、模試と言うかなんというか。ちょっとした小テストみたいなものをしている。
何のためにしているのか分からない0時間目。
「……」
大抵は英語か数学の授業なので、私は眠くて眠くて仕方ない。
しかし今日はあまりにも暑すぎて、眠いというか重いというか。
もうとにかく集中もくそもないし、いい加減7月にもなって冷房をつけないという頭をどうにかしてほしい。
「……」
軽く周りを見渡せば、当然のように集中なんてしていない。
ぱたぱたと下敷きで仰いだり、襟から空気を入れたり。
なんとかして涼を得ようという事にしか集中していない。
「……」
かく言う私も、襟をぱたぱたと動かして何とか空気を入れている。
あまり汗はかかない方だが、手のひらがじとりと濡れるので、書き物をするには向いてない。
紙が濡れるし、そのせいで書きづらくなるし、手の側面が汚れて嫌になる。
「……」
何度か手のひらをタオルで拭いたり、なんとなく顔を仰ぎながら手のひらを空気にさらしたりしているけれど、追い付くようなものでもない。
拭いた先から汗が噴き出るし、空気にさらしても冷えるだけで汗は引かない。
せめて冷房でもつけて教室内が涼しければ、こんなことにはならないのだけど。
「……」
机の上に置かれた、タオルでまた手をふく。
薔薇のイラストが描かれているが、これはキャラクターモチーフのものだ。
所謂くじを引いて当たった景品なのだけど……あまり使うようなものでもないと思うが、丁度いいサイズで重宝している。
「……」
もうなんというか、模試どころではないんだよな。
暑いし、手のひらに汗はかくし、拭いたところで意味もないし、紙は端の方が濡れてしまったし、手の側面が汚れて気になるし。
「……」
ちらりと時計を見れば、もういい時間になっていた。
今日はこの模試だけで終わるようだ。
いつもなら採点まで各自でして、その後解説をするんだけど、別の授業でするのかな。
「――やめ」
と思い始めた矢先に、教師の口が動いた。
もうだいぶ、ほとんどの生徒の手が止まっていたような気がするが、一応形としてそう号令を出したのだろう。
「後ろから回収―」
「……」
私のひとつ後ろの席の人が立ち会がり、紙を回収していく。
これを渡すのは忍びないが、回収されるのなら仕方ない。
まぁ、私が回収するよりはマシかな。
「……」
紙を手渡し、机の上を片付ける。
もう授業も終わる時間だし、回収したら終了だろう。
この後は移動教室なので、さっさと移動できるように準備をしておかなくてはいけない。
「……解説は明日の授業でするから、」
という事らしい。
まぁ、もう誰も聞いていないが。
暑すぎるがゆえに、暑いだのなんだのとざわざわとしている。
仕方ないと思うが。
「……」
しっかしホントに暑い。
これからさらに暑くなるのとか考えられない。
お題:薔薇・模試・雨




