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若いって良いね

夕食を堪能して、俺は部屋で食後の一服を楽しむ。先程から俺の同室者は、落ち着きなく、刀を弄ったり、道具の整理を行っている。俺みたいにドカっと構えてりゃあ良いのに。色々と頭の中を整理したい気分なのは分かるが、焦り過ぎんなよ。


「少し振ってきます」


刀を掴んで、部屋を出て行ってしまう。少しは腰を落ち着けて、身体を休めるという考えには至らない年頃らしい。いや、あいつが苦手なだけか。


「若いって良いね~」


どこぞの栗鼠の口癖が移ったのか、そんな爺臭い事を呟いてしまう。


「君も十分若いがね」


「まぁ、そうなんだけどさ。あそこまで、純粋に行動は出来ねぇ」


俺の身体は既にピークを越えて、老いる一方だしな。昨日のパシクダカと飲んだ一瓶ほどで酒が頭痛に代わるのも年を喰った証拠だ。


「ウエダ君、心掛け次第で人は若くなれるものだよ。おじさんだって、まだまだ若いんだから」


八百歳以上の栗鼠は、まだまだ若いのか。まぁ、心が燃えていても身体が着いていかない年なのよ、俺は。

リセスは良い。若いし、実力がある。だから、考えに答えを求めず、身体で答えを求められる。


嫌だね。二十代でこんな事を考えるなんてねぇ。どうやら、俺はセルツの言う様に、身体よりも頭の中の方が年寄りだな。


「それじゃあ、人生経験豊富なセルツおじさんに若作りの仕方をお聞きしようか?」


まだ寝るには早いからな。リセスの様に身体を動かす気にならない俺は頭を動かして置くとしますか。


「フム、そうだねぇ。まずは楽しむ事じゃないかな?」


「ホウホウ」


分かりやすい心構えを簡単に言いますね。


「例えばだよ。君の今吸っている煙草はどんな状態だい?」


「この銘柄が一番上手いと感じる。ってことで良いのか」


そう言えば、アースに帰れない俺はこの銘柄を手に入れる機会はもう無いんだよな。リセスも吸っているから煙草事態はあるらしいが、愛着あるこの銘柄が無いと少し寂しくなってくるな。


「ちょっと、違うんだよ。おじさんが言いたかったのは、煙草の長さだよ」


煙草の長さ?もう半分ほど燃え尽きているが?


「まぁ、そろそろこの一本ともお別れだな」


「でも、まだ吸えるよね?そこで何を思うかで君が楽しく過ごせるかどうかが決まるのだよ」


まぁ、確かにまだ吸えるが、俺は煙草を楽しんでるぜ?


「その半分になった煙草。もう、半分しか残っていないと思うか、まだ半分も楽しめると思うか。どちらが楽しめると思うかい?」


子供の為の単純な真理だな。しかし、こういう事をスラスラと口から出るところがセルツの認めらる点なのだろう。


「ウエダ君、何においても同じなのだよ。楽しむ心構えが出来ていれば、残り物ですら楽しめる。楽しむ心構えが無ければ、どんな素晴らしい物ですら楽しめないのさ」


帽子を布で拭きながら楽しそうに言うセルツ。俺がこの栗鼠に脱帽したいぜ。


まぁ、俺は教えに従い、今はこの残った煙草を楽しむ事にしよう。今を楽しむこの栗鼠に負けない様に楽しまないとな。


半分になった煙草か、後どれだけ楽しめるものか。俺の後五十年そこらの人生も。

人生は楽しく生きましょう。


おっさん達のほのぼの?とした会話でした。

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