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ヘブヘルへの招待

俺が倒れた後、イルサにより魔力を注ぎ込まれたクレサイダにより、セレミスキーにより現界召喚を行われ、直ぐに窮地は脱したらしい。


ウエダさんの大まかな説明によると、同じ国の別の地域の捨てられた廃墟の中。


先のクレサイダの暴動が魔王イルサテカの名裁きで治まり、俺たちはかなり遅れた朝食へと移行する。コンビニ弁当というコンビニという店で買った弁当。味は悪くない。しかし、この世界の料理は、俺には味付けが濃すぎる。調味料を入れすぎじゃないだろうか。そんなことを考えていた矢先にこの世界の新聞から目を離したウエダさん。


「それで、これから俺達はどうするんだ」


ウエダさんが目を通してウエダさんの言う“俺”達。


「本当にご免なさい」


イルサが謝り、それに各々が続く。


「まぁ、さっきも言ったけどよ。こうなっちまったら、もう仕方ねぇよ。お前達が知らなかった防犯カメラのことを考えてなかった俺も悪いし」


ウエダさんが床に置いた新聞。白黒でなく色がついている一番大きな写真には、俺達が昨日強引に入ったビルが写し出されている。そして、その写真の下に貼られた俺達には全く撮られた覚えのない俺達の顔が連なる。カイム達も、そしてウエダさんも同様に。

字は全く読めないが事態は少し読める。俺達はこの世界で犯罪者になってしまった。ウエダさんを巻き込んで。


「謝るのは止めろって。謝るよりは、どうにかしてくれよ。俺はテロリストととして首を吊られたく無いんからな」


ウエダさんはジョークを言っているつもりなのだろうが場は和まない。声の調子は明らかに可笑しい。内容も加害者な俺達が笑い飛ばせる代物じゃない。


「ヘブヘルに来れば良いさ。君の衣食住ぐらいは補償するよ」


「そう!クレサイダの言う通りだよ!ウエダさん、ヘブヘルに来て!リセスもルクちゃんもセルツもみんなでヘブヘルで愉しく暮らそうよ!」


それはイルサの願望が混じり過ぎだろ。俺は生まれ育ったクーレで暮らすぞ。

イルサがどうしても俺と一緒に居たいと言うのなら…、そう、あれだ。お前がクーレに来れば良いんだ。


「それでそのヘブヘルとやらへはどうやって行くんだ?」


「召喚魔法の応用だよ。僕達自身を別の世界に召喚するんだ。理解出来るかい?」


「まぁ、昨日みたいに魔法でどっかに行くって事だな」


俺にもその程度の知識に毛が生えたぐらいしかない。細かい事を知らなくても出来る事は出来るもんだ。


「そこで相談なんだけどね?一旦、ヘブヘルに行こうと思う。欠片の事を考えると既に姫が持っているから寄り道になるけど、まだ欠片の残るアール、フォートンは少し厄介な世界だ。僕の魔力の事やウエダのこれからの事を含めて、体勢を整えてから行きたいと考えてるんだけどさ?」



クレサイダの言い分は頷ける。俺達にも連戦の疲れはある。一旦は何処かで少し休息を取るべきだろう。しかも、昨晩、カイムも観測者に深手を負い、その他の面子も少なからず疲弊しているだろう。俺達の競争相手も休息を必要とすることだろう。


しかし、ヘブヘルか。信仰心は高い訳では無いが、クーレで育った俺は、神居る世界アールと対極に魔王の居る危険な世界と言うイメージが強く、僅かな抵抗がある。クーレでは、悪い子は魔王にヘブヘルへ拐われて骨ごと食べられるというのが、大人達の子供への脅し文句になってる程だからな。

実際に魔王と対峙した父上が、駄々っ子を叱る親を見て俺に言ったのは、“あの魔王なら子供を拐っても、大事に可愛いがって育てそうだ”、だったが。

前魔王の人柄は分かり兼ねるが現魔王を見ていると父上の言い様も分かる気がする。


「ヘブヘルに帰るの!シュナアダやカリサペクは元気かな!」


口元をソースで汚し、ルクに拭かれながら喜色満面の魔王様が君臨する世界。案外平和な世界説が俺の中で強まっていく。


「皆を私のお城に招待するよ。一杯ご馳走食べさせてあげるね!」


「わぁ~なんか凄く楽しみだねぇ~!ヘブヘルではよろしくね、イルちゃん!」


そのご馳走のメインディッシュは俺達の丸焼きとか。それは無いよな。


まぁ、少し頼り無いがヘブヘルの王のイルサがついているし、それなりの地位についているのだろうクレサイダもいる。その二人の連れである俺達には安全な世界だろう。


「ヘブヘルのお肉を使った料理はすっごぉーく美味しいんだよ!」


何の肉を使うかは聞かない方が身の為だろう。

次回から、ヘブヘル編へ突入!

の前に、後一話アースでの話を。


最近、更新停滞気味で申し訳ありません。


明日からやっと取れた一週間の長期休暇なんで、張り切って書いちゃいますよ!


どうぞ、この機会に、御意見、御感想、御質問、御指摘、御文句、遠慮なくバンバンバンと送っちゃて下さい。


と、こんな作品を読んで下さる有り難き読者の皆様に、遠慮知らずに図々しい作者です。

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