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観測者の台頭 2

アースの銃兵が十人。カイムグループが四人。俺たちの味方では無いだろう観測者一人。


敵の数が多すぎる。

クレサイダのこういう局面での思考法を活用しよう。至極簡単だな。


『誰だろうと邪魔する者は力で捩じ伏せる』


なんとも、簡素な行動方針だろう。


俺は甘ちゃんだった。クレサイダが居たから甘えた思考に甘んじていた。クレサイダが居なくなって、甘える対象が居なくなったことを知る。あいつが俺たちの甘えた感情を全部受け止めてくれた。一番辛い役割だ。でも、クレサイダが居ない以上俺がやらねばならない。


「全員、逃げるぞ!邪魔する奴は叩き伏せろ!」


なるべくアースの兵を殺さないように。俺はやはり甘ちゃんだな。


向こうは銃を構えている。にも関わらず、反応が遅い。俺がリーダー格らしい一人の銃を叩き斬る。予想に反して他のアース兵は発砲しない。銃口を慌てて俺に向けただけ。その銃にルクの弾が刺さっていく。こいつら、撃ち慣れて無いのか?それとも、俺たちの反撃が予想を反していたのか。とにかく、もたつき過ぎだ。カイム達や観測者も俺の一刀に動き出す。無言の内に停戦協定が結ばれていたようだ。


「ウエダ君、この銃を君は使えるかね?」


「使えねぇよ!持ったことねぇもん。つうか、殿から君に格下げか?」


「ただ、引き金を引けば良いものじゃないのかね。おじさんは持てんが君は使えるだろう?」


「知らねぇぞ」


肩に乗るセルツに言われ、ウエダさんが上着にアースの欠片を仕舞い、足元に転がるアースの両手持ちのアサルト銃を拾う。その頃には既に転がるアース兵の数々。リーダー格の一時撤退発言。三人まで武装解除された軍団が銃を此方へ向けて下がっていく。呆気ない。此方が何をしても、弾を一発に撃たなかった。



「おい、リセス!ズラかるぞ。すぐに第二陣が来る」


ウエダさんが先に部屋を出ようと走り出す。そのウエダさんの首元に現れる刃。


「欠片は此方へ寄越して貰おうか。アース人」


ハシュカレに鎗を突き付けられ沈黙するウエダさん。そして、ハシュカレの横に迫る影。


観測者の攻撃を避けるハシュカレにウエダさんが隙を突き部屋を出ようとするが、マスナー、ウニロ、カイムが立ち塞がる。


俺が震え始めた腹からの流血で血塗れの足を地に着けて、とにかくウエダさんをこの部屋から出そうと決めた時だった。


「全員、勝手に動くな!貴様らは異世界に介入し過ぎた!だから、私が観測者として裁かせてもらう!」


観測者がハシュカレを弾き飛ばす。と同時にカイムの肩から袈裟切り。

速い!腕の動きは辛うじて見えた。しかし、その足運びに注目すれば、剣筋は見切れない。俺がこいつに勝てる要素は無い。


倒れるカイム。聞こえる一陣の悲鳴。

悲鳴を挙げた人物。それは奇しくも、いや、奇しくも無いのだろう。そういうことなのだろう。イルサにとって、カイムは兄であるのだろう。どんなに酷い兄を見ていようとも。


イルサの悲鳴で俺たちと共に止まる観測者。


イルサが剣を落とし、カイムに近付こうとする。カイムを介抱する気なのか?


イルサがカイムに手を当てようとしたその時。カイムがイルサの勢い良く手を払う。


「我は敵だぞ!イルサ!」


一瞬で部屋が霧に覆い尽くされる。ウニロかマスナーの仕業か。


「イルサ、その事を良く頭に入れておけ!」


視界不良の中、部屋を出ていく足音。俺も我に還り叫ぶ。


「全員、逃げるぞ!」


「させるか!」


この霧の中ならば逃げきれる。しかし、俺の足が、いや、身体がうまく動いてくれない。傷顔に付けられた刀傷。その後、階段を何百段もかけ上がったり、大立回りをしたり、流石に血を流し過ぎたか。これでは、足手まといだな。


数人の足音は聞こえた。全員、部屋の外へ出たか?


ならば、少々、殿しんがりを勤めさせて貰おうか。

イルサ達が観測者から逃げる時間を出来るだけ稼ぐ。クレサイダから姫を逃がせと最後の遺言を受け取ったからな。守らねばならない。どうにか扉にたどり着き、ふらつく足を刀を杖に支えて仁王立つ。


「リセ君、イルちゃん!何やってんの!」


霧の先から聞こえるルクの声に俺も声を腹の痛みに耐えながら張り上げる。


「良いから、先に行ってろ!いや、待て!イルサはどうした!」


徐々に開いていく視界に見える部屋の中に立つ二つの人影。


衝撃的な目撃をしてしまった。

イルサが観測者に泣きながら抱き着いている。


うむ…。何なんだ、この状況は!


長いですね。アース編。もう四、五話続いちゃうかもしれません。



でも、戦闘書いてると自分の腕の悪さがはっきりと。何か戦闘シーンを上手く書けるようになる方法ってありませんかね?


いや、自分で努力します。申し訳ないです。

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