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魔王な証明

外は雨が降っていて、憂鬱な日かな。私は勢いよく降る雨は好きなんだ。何故かわくわくするから。でも、ゆっくり降る雨はあまり好きじゃない。外に出れないだけだから。どうせ降るならば、一杯降って欲しいな。雨だぁ~って感じで。


お父様達は何をやってるのかな。


「姫、しっかり聞いて下さい」


「ごめん。クレサイダ」


私の教育係のクレサイダは勉強になると厳しくなる。私の苦手な算術になると特に。早く終わらないかな。


願いは叶った。でも、意地悪な方向で。初めはこの城に雷が落ちたのかと思った。そのぐらい城が揺れた。でも、違ったよ。意地悪な方向で。


「姫はここに居てください!」


クレサイダは私の部屋から慌てて出て行く。取り残された私。好奇心を抑えて、部屋で良い子にしてたよ。


大分時間が経って戻って来たクレサイダ。その姿は血塗れで、涙にまみれてた。クレサイダが泣いたのを見たのは、これが最初で最後。


その手の上に赤く染まった布、そこに輝く紫の結片。


「イルサ姫、今日から貴女は魔王イルサテカです」


私は恐る恐る聞いた。お父様は一体どうしたの?と…。



これは夢だ。現実の中の夢だった。

私は今クーレに居るし、お父様がどうなったのか知っている。


ここは少し暑いなぁ。汗でびっしょりだよ。

あれ、クレサイダが居ない。リセスも。何で居ないの?何処に行ったの?夜は寝る時間だよ。怖いよ、一人にしないでよ。


「イルサ嬢、何処に行くのかね?」


私が二人を探しに行こうとすると、セルツさんから静かな声がかかった。一人じゃなかったことに少し安心出来る。


「リセス坊たちは、時期に戻って来るさ。イルサ嬢が此処に居なかったら心配するから此処に居なさい」


「はい」


ベッドには戻ったけど、リセス達が戻って来るまでは寝たくない。ゆっくり寝れそうに無いから。


ふと、魔王の証を取り出して見る。紫色に光る。あの時と変わらない。私とお兄ちゃんとは違って。


「それはヘブヘルの世界の欠片かね?」


セルツさんも身体を起こして、私の持つ欠片を見ていた。


「うん。魔王の証でもあるんだよ。これは魔王だけが持てるし、これがあると、魔力が切れなくて、魔法をどんどん使えるんだよ」


でも、これが在ったから、大切な人が私から居なくなった。お父様もお母様も、お兄ちゃんも。


「イルサ嬢、少し悲しそうだね?」


とても優しい声だった。だから、言えた。


「欲しく無かったんだ。でも、私が持ってる。本当はお兄ちゃんが持ってる筈だったのに。私は魔王になる筈じゃなかったのに」


そうだよ。私は魔王は出来ないんだよ。魔導長クレサイダや執政長シュナアダが手を貸してくれなければ。


「イルサ嬢は魔王が嫌なのかい?」

「違うよ!私が魔王なのが嫌なんだよ。私はお父様みたいな立派な魔王じゃ無いもん」


「では、立派な魔王って何なのかい?」


それは…、お父様みたいな人で…、ヘブヘルを治めて…。


「王に必要なのは知ることだ。良いことも悪いことも。おじさんが昔会った王子様の言葉だよ」


知ること。良いことも悪いことも。でも、悪いことは知りたくないなぁ。


「イルサ嬢はまだ若い。だから、辛くても知りなさい。そうすれば、イルサ嬢も立派な魔王になれるさ」


少し嬉しい気がする。私が魔王になれるんだ。お父様みたいに。


「本当に立派になれるかな?」


「おじさんはなれると思うよ。みんなに愛される魔王にね」


みんなに愛される魔王。それは良いな!そうなりたいな。そうすれば私の周りにみんなが来るんだ。誰も居なくならないんだ!


「姫、起きてられたんですか?」


「イルサ嬢は君たちの夜歩きを心配していたよ」


「それは心配をおかけしました」


クレサイダが戻って来た!良かった。リセスも一緒だ。やっぱり私は今は一人じゃないんだよ。

そうだ!



「クレサイダ、リセス。一緒のベッドに寝よ!」


「ナッ!何、バカな事を言ってる!」


「姫!何を言ってるのですか!」


凄い!クレサイダとリセスの声がピッタリだ。良いなぁ。二人はとても仲良しなんだなぁ。私も早くリセスと声が揃うほど仲良くなりたいなぁ。


「駄目なの?一緒に寝たいなぁ?」


一人で寝るより、凄く安心するもん。


「だっ、駄目に決まってるだろ」


「だっ、駄目に決まってます」


「よし!おじさんが添い寝して…」


「セルツ、焼き殺すよ」


ウゥー、みんなに避けられたよ~。

私って、本当にセルツさんの言うようなみんなに愛される魔王になれるのかな?

更新遅くなりすいませんでした。


今年から夏休みがあるわけが無く、それどころか仕事が増える。


なるたけ早く更新するよう心がけます。

次回、物語は新たな世界へ

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