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親の心子は知らずに知る

一人取り残されてしまった可哀想な私です。裏切り者どもが。


「それで~?」


久しぶりに冷や汗が流れてるよ。

目の前で微笑む私の最大の恐敵。それで~?は私の方ですよ~。


「ルクはこの冒険にまだ付き合うのかなー?」


お母様、お得意な笑顔じゃ無くなってるよ~。瞳と声が冷えきってますよ~。

そんな悪魔に対してルクちゃんは、健気に立ち向かって行くのです。


「最後まで付いて行くよ~。クレちゃんやイルちゃんが心配だもん!」


私が付いて行って何が出来るか分からないけれど。でも、付いて行きたいのだぁ!


「そう…」


お母様がとても悲しそうに笑う。かなり罪悪感が。と、思った途端だったよー。お母様がその御年に似つかわしくない少女のような素敵な笑顔を浮かべたのは。数々の経験から、私の背筋に悪寒が走ちゃいましたー。


「クレサイダとイルサちゃんが心配かぁ~。本当にそうなのかなぁ~。ルクちゃんはリセ君がとても心配なんじゃないかなぁ~」


何を言ってるの、このおばさんは!


「リッ、リセ君は大丈夫だよ!何だかんだ言って強いし、結構しっかりしてるし、私が心配する事なんかないもん!」


そうだよ~。リセ君は案外凄いんだよ~。私は全然焦って無いよ~!


「うん、ルクちゃんの気持ちはよ~く分かったよ。リセ君をとっても信頼してるんだね~」


全然分かって無いよ~!そこまで信頼して無いし、リセ君は私が居なければ全然駄目だし。そう、私が側に居なきゃ。

あっ、私は全然焦って無いですよ~。


「素直にならないとイルサちゃんに盗られちゃうぞ~?」


その乙女の心を土足で踏み荒らし、ダンスまで踊る言葉に、私はウーと小さく唸るしか出来ない。だって、リセ君とイルちゃんは仲良しでとてもお似合いなんだもん。


「ルクちゃん、可愛いなぁ~」


私の熱を帯びた顔を見ながらクスクスと笑う悪女。クゥ~、悔しいよ~。


「ニーセさん、入りますよ」


ルクちゃんの日頃の行いの良さに天が助けを送ってくれました。


「皆さんを部屋に案内してって、チョッ!」


入って来たカーヘルおじ様にびっくりハグでーす。


「カーヘルおじ様、ルクをお嫁に貰って下さ~い!」


お母様の矛先をカーヘルおじ様に向けさせてもらいますよ~。


「ルクちゃん。私は既に妻が居るからね。残念だけど、それは出来ないよ」


爽やかに微笑みながら、さらっと流すカーヘルおじ様。子供の戯言を大人の貫禄で流しちゃいます。でもね、甘いよ~。此方には最恐の味方が居るのだ。


「もぉ、カー君はぁ!家の子の純粋な想いを簡単に流して~」


お母様、本領発揮かな。


「ドーヌ領領主様何だから、ルクちゃんを側室においてあげてよ~。ハーレム作っちゃいなよ~」


「ルクは、カーヘルおじ様に愛されればそれでも十分です」


「私には今の妻が居れば十分ですよ。可愛いルクちゃんならば私みたいなおじさんより、もっと良い人を見つけられるよ」


笑顔で大人な対応だ。つまんないなぁ。


「ルクちゃん。諦めなさいね~。カー君はティスちゃんが大好きで、夜の営みもティスちゃんで十分なんだって~。ところでティスちゃんとは今も仲良くしてるのかなぁ~?」


「チョッ、ニーセさん!子供の前で何て話を!」


カーヘルおじ様の顔は真っ赤です。流石はお母様。この人をからかう腕は一流だぁ!私も修行しないとね~。



「へぇー、やっぱり仕事ばっかりしてるんだぁ~。愛妻も愛娘も居なくて、仕事に生きる寂しい男だねぇ~」


寝耳に聞こえてきた、お母様の声。魔話器で話している相手は直ぐに分かったよ。これは今日の復讐チャンス到来。明日の朝、からかってあげよ~。狸寝入りでも、口角が上がっちゃうよ。


「認めるよ~。ルクちゃんがクレサイダに付いてくこと。本当はとぉ~ても嫌だけどね~」


お母様の愉しげな声に、また、私の心が暗くなっちゃいます。やっぱり、反対したいんだね。


「でもね~。昔は色々あったけど、やっぱり楽しかったんだよね~。皆と旅していた時は」


お母様は私が小さい時から、昔の仲間たちとの話を本当に楽しそうに語っていた。


「私はルクにも楽しんで欲しいんだ~。辛いことなんて山ほどあるだろうけど、仲間とふざけたり、色んなものを見て、学んで、強くなって、恋して」


何ででしょう。この声はとても心が暖まる。


「早く無いよ~。全く、娘馬鹿だね~。ルクちゃんはもう十八で~す。恋ぐらいしてますよ~。駄目で~す。貴方には教えません。貴方に言ったら、ルクちゃんの未来の旦那様を殺し兼ねないからね~」


魔話器の向こう側でお父様が言った言葉は良く分かっちゃう。でもね、お母様。別にリセ君はその私の未来の旦那様とかじゃないんだよ~。


「分かるよ~。私の娘だもん。私にそっくりで恋に不器用だけどね~」


少しムッとしちゃうよ。別に不器用じゃないよ。

あれ?お母様の声が変わった。何か緊張してる?


「あっ、あのね。素直になれないんだよ~。そっ、その本当に好きな人には抱き付いたりなんか絶対出来なくて、スッ、好きとか上手く言えなくて、えっと、うん、これは、そのルクちゃんのことだよ~」


ウゥー、確かにリセ君に抱き付くなんて無理だよ~。面と向かって好きなんて言えないよ~。

でも、ちょっと待ってね~。それは本当に私の話なのかなぁ~?ねぇ、お母様?明日の朝が楽しみだなぁ。


「うん、10日後には帰るよ~。あっ、その、あんまり仕事に根を詰め過ぎないようにね~」


魔話器を置くお母様。明日の復讐の準備は万全でーす?可愛いな~、お母様は。


お母様は直ぐにベッドへと入りました。私の寝ているベッドに…。あれ~、おかしいなぁ~。隣のベッドが空いてるよ~。


ベッドを移らず、私の背中に抱き付くお母様。首筋に息が当たってるよ~。


「それで~?どこから聞いてたのかなぁ~?」


やっぱりルクちゃんはお母様には敵いません。

腰が痛い。何故か執筆活動に専念できますね。ほとんど動けないからでしょうね。


久々に確認しましたら、お気に入り登録者数が100人を突破している。


皆様、本当にありがとうございます。

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