暴れる光、そして還る
騎士団員養成所の魔法学。俺はこの科目は苦手であり、実技はとにかく筆記試験前にはレクス兄さんに良く泣き付いたものだ。その苦難のお陰で少々は知識が残っている。
精霊魔法。クーレで使われる通常魔法、自然現象を否定、排除して新たな不自然現象を起こす魔法に対して、自然現象を肯定し、自然現象を変化させる魔法。大いなる自然に従いながら、自然を従える大いなる魔法。その為、通常魔法よりも威力が大きくなる。
何が言いたいかと言えばつまり、どんなに温厚でも精霊魔法を行使することの出来るフィフレの精霊を怒らせてはいけないと言うことだ。
セルツにより成長を続け、我が物顔に暴れる無数の木の根に流石のカイム達も翻弄される。鞭になり、縄になる根。その一本は脆いが、数が数だ。
「リセス、今のうちに僕らは欠片を奪うよ!」
「援護はルクちゃんに任せなさい!」
「なかなか捕まってくれないねぇ。おじさんは足止めをしよう」
何とも頼りになる面々だ。
何も言わずにイルサが先陣を切る。セルツの魔法に苦戦するカイムに一撃を放つ。カイムは木の根が届かない空へと待避。イルサが追う。
道は開いた。狙うはマスナー。フィフレの欠片と厄介なドゥーチの杖。こいつさえ奪ってしまえば…。抜いた刀はマスナーには及ばない。セルツの根を器用に避けて顔傷が俺の行く手を阻む。クソ、クレサイダは…、魔鎗が遮るか。
セルツもこれだけの根を一人で操作している。ウニロの足止めをしているだけで良くやってくれてる方か?
「はい!注もぉ~く!」
場を弁えない発言。皆の視線を一点に集める女性。マスナーの背を取り、拳銃を突き付けるルク。やってくれたな。
「クックック、このお姉さまの頭を吹き飛ばされたくなかったら、全員武器を捨てたまえ~!」
気分はすっかり小悪党だな。しかし、いい働きだぞ。
「お姉さまは欠片と杖を渡してね?」
「舐めないでね、お嬢さん?」
ルクの生き生きした笑顔にマスナーは従う気は無かった。振り向き魔法を使おうとするマスナー。先に発砲音が響いた。しかし、マスナーは既に引き金を引いていた。銃よりも恐ろしいものの引き金が引かれた。
ルクの胸元から出る赤い光。マスナーの手に持つフィフレの欠片も青く強い光を宿す。そして、白く輝くドゥーチの杖。何が起こった?
「これは創世の杖のせいですか!マスナー、まだ早過ぎます!止めなさい!」
「無理です!抑え切れません!」
ウニロの怒号にルクに撃たれた肩から血を流しながらマスナーは応える。この現象はマスナーの所業ではないらしい。
「二つ欠片に反応したって事かい!何をやってんだよ!」
クレサイダも敵意を捨てて叫ぶ。何が起こっているか分からないが相当にやばい事態だと言うことは分かる。
「止まれ!止まって!」
マスナーの願い虚しくドゥーチの杖の光が一層強くなる。既にこの突発的事故に戦闘は一時休戦されていた。
「リセス、セレミスキーだ!マスナーをゼロランドに閉じ込める!」
状況もクレサイダの言っていることも意味不明だが、クレサイダにセレミスキーの入った提げ鞄を投げ渡す。
その時、マスナーの杖の先の宙に亀裂が走り、空間に穴が空く。訳が解らなすぎる。
「…これは世界が元に戻るのか?」
地に降り立ったカイムが言った。世界が元に戻る?
「くそ、間に合わないのか!」
俺たちの中で唯一この事態を理解出来るだろうクレサイダが諦めを認めた。
「駄目ぇ~!」
イルサが不用意にマスナーの放つ光へと突っ込んでいく。
イルサが紫色に輝いたように見えた。
そして俺達は光に隠された。
俺には何が何だか全く分からない。ドゥーチの杖が、世界の欠片達が何を起こしたのかを。
次の瞬間には俺達は還っていた。
うん、上手く書けない。上手く書きたぁーい!
天見酒、修行中です。修行します。頑張ろうよ、天見酒。
意味不明な文を失礼しました。




