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この女は

エイアハスは二羽。セルツはとにかく、僕たち四人は二つに別れなくてはならなかった。問題は無い、僕と姫が同じエイアハスに乗ればね。


「クレちゃんの羽根も案外フワフワしてるね~」


図々しくも僕の腰に手を回しているこの諸悪の根源。クッ、リセスは姫とこの状態なのか。


「叩き落とされたく無かったら、口を閉じるべきだね」


全くこいつの気が知れないね。僕が姫と同行するのを否定したと思ったら、姫と一緒ではなく、僕と乗りたいなぁ等とほざきやがった。


「クレちゃん、クレちゃん、クレちゃあん!」


「なんだい!耳元で叫ぶなよ!」


馴れ馴れしくも僕の肩に顔を付けて来る。そこまで、空に舞う逆風の影響で下がっていた音量がより大きく聞こえる。


「クレちゃんは私の事、嫌いかなぁ?」


「だぁ~い嫌いだね」


今までの恨み辛みを込めて言ってやる!


「私はそんなクレちゃんがだぁ~い好きだぁ~!」


リセス、お願いだから代わってくれよ。この女の言動は僕の崇高な頭脳には、姫以上に理解不能過ぎる。首に手を回すな、必要以上にくっつくな!大人しい僕だっていい加減にキレるよ!


「そんな、可憐な美少女に抱き着かれて天にも昇る幸福を味わうクレちゃんに質問で~す」


君を天に昇らせてやろうか?


「世界の欠片を全て集めるとどうなるのかなぁ?」

それを聞くのが今回の挙動の意図か。この女はやはり油断出来なかった。


「君に言う必要は無いし、君が知る必要は無いね」


まだ姫にすら教えて無いし、気付いてもいない筈だ。カイムはおそらくウニロが話しているだろうが。


「フムフム、やはり全部集めると何かあると。もしかして、物語みたいに神様が現れて何でも好きな願いを叶えてくれるとかかなぁ?」


「少なくとも神様とやらは出て来ないよ。…世界が元の形に戻る。それだけだよ」


喋り過ぎてしまったな。これ以上はこの女に喋る気は無いね。


「世界が元の形に戻るぅ?まぁ、良いや~。では、本題で~す」


本題?僕は君が何を言おうと知らないね。無視だ、無視。おい、何故、耳元に口を近付けるの?人の耳に息を吹き掛けるな!


「カイムって何者なのかな?只の反逆者じゃないよね?」


姫の反応を見てれば、勘付けて当たり前か。これは姫の従者である僕が言うべきことなのだろうか。


「フフフ、クレちゃん、可愛いなぁ~。図星ってことだね?多分、イルちゃんの兄弟ってとこだね」


「姫の前でその話は厳禁だ」


「分かってますよ~。ルクちゃんはお子様じゃありませ~ん」


僕が吐くまでもないじゃないか。とにかくふざながら聞いて欲しい質問ではないね。不愉快だよ。


「辛いんだね?」


「あぁ、そうさ。でも姫は辛くても戦うよ。実の兄であり、父母を殺したカイムとね」


その姫の背中を押し続けているのが僕だしね。あいつは姫の為に居てはいけない存在なんだ。姫に全てを押し付けて、あいつ自らそうなったんだ。


「違うよ~。今はクレちゃんと話してるんだよぉ。クレちゃんの立場は辛いねって言ってるんだよ」


僕が辛い?ハッ、何を言ってるんだい。その馬鹿な発言に釣られて、ルクの顔を見てしまった。

何で悲しそうな目で僕を見てるんだ。僕は哀れみを受ける必要は無いんだよ。


「クレちゃんって悪ぶってるけど、やっぱり良い奴だねぇ~」


ニンマリ笑いこんな事をほざく。クッ、この尼が~! 僕は悪ぶってるんじゃなくて悪なんだよ!あまり調子に乗るなよ。


「はしゃぎ過ぎちゃったかなぁ~?私、眠くなっちゃたよぉ。着いたら起こしてねぇ~」


「寝たら、落とすよ?」


「私のクレちゃんはそんなことはしませんよぉ…」


僕はとことん嘗められているようだね。人の背中を枕にさっさと寝やがった。良くこんな生物の上で強風の中寝れるもんだね。全くこの女の言動は理解できないよ。


おい、寝たからって腕の力を緩めるなよ!本当に落ちるよ!


全く何で僕がこいつの手を繋いでおいてあげないといけないんだ。ほんと、姫よりも手のかかる奴だね。

シリアス。何の事でしょうか?


いえ、分かっております。急遽この話を入れただけです。クレサイダをいじめたくなったのです。


次回こそは少しシリアスになります。多分ですけど。

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