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英雄の終焉の地で始まった

ナールスエンド。かつて、初めて魔王を倒した大勇士リンセン・ナールスが眠る地。


『えー、リセス君はナールスエンドに居るのか?良いなぁ。彼処には美人が多いらしいじゃないか!よし、僕も視察を目的に今からナールスエンドに行こうじゃないか?』


「陛下、そろそろレッドラート総長にお代わり下さい」


この魔導話機は騎士団総長執務室に繋げた筈なのだが、何故かクーセリング・シーベルエ国王に繋がってしまい、無駄話を聞く羽目になってしまった。


『もう少しぐらい良いじゃないか、リセス君。僕にジンサが冷たい仕打ちをするのだよ。忙しい僕がせっかくこうして遊びに来てやってるのに全然構ってくれないんだよ、アッ』

『すまないな、リセス。少し部屋を離れていた。ナールスエンドに着いたんだな?』


魔話機の向こうから聞こえる不機嫌そうに感じる声。この人は普段からこんな感じの声を出すから別に不機嫌という訳では無いのだが。


「はい、着きました。今からバックス邸を調べて参りますが、何か追加情報はあるでしょうか?」


今回の任務は、このナールスエンドの大商人バックス邸にて、何やら良からぬ武装集団が集まっている情報を得たから調べて来いと言うことだった。


『その事だが、お前はそこで増援が来るまで待機だ。明日には着く筈だ』


一人で仕事をする気でいた俺は少しこの命令が気に障ったが、ジンさんの判断が間違う訳は無い。何かあるのだろう。


『この件に関して何か新たな情報が入ったのですか?』


俺一人では無理だと言う理由を聞いておきたい。

返答が無い。息を吐く音が魔話機の向こうから漏れて来る。煙草を吸いながら話すべきか話さるべきかを考えていると推察する。

しばらくして応答があった。


『…オルセン・ハシュカレらしき人間がナールスエンドで目撃された』


俺は息を飲んだ。オルセン・ハシュカレ。魔王の再臨を望み、奸雄クレサイダに従った男。今なお、魔鎗エウレクイと共に姿を消し、世界的に指名手配されている大罪人。


『分かるな?オルセン・ハシュカレがお前がライから譲り受けたセレミスキーを手に入れたらどうなるか』


俺は無意識にベルトに提げている小鞄に触れる。


「分かりました。大人しくしています」


『早ければ増援が今夜には着くはずだ。…一つ頼みたいことがある』


「何ですか?」


ジンさんの真剣味を帯びた声に俺の胸は高鳴った。ただ待つよりは良い。


『実はルクが増援部隊に勝手について行ってしまった』


俺の胸の高鳴りは急激に治まった。


『そちらに着いたら危険な事をしないように見張ってくれ。そして、早めにシーベルエンスに連れて帰ってくれ』


魔話機の向こうで陛下の“親バカ”という単語が聞こえた。俺も言ってやりたいところであるが止めておく。


「…はい、分かりました」


『言うまでも無いと思うが、絶対に手を出すなよ』


魔話機の向こうから伝わる威圧感。流石は歴戦を制して来た騎士団総長。しかし、その威圧感を有効活用するべきではないだろうか…。




魔話機を切り、ナールスエンドの街中を歩きながら、今後の行動を検討するために提供された情報を整理して置くことにする。



溜め息が漏れた。

あの性悪女が来るのか。昔は可愛かった。とても大人しく照れ屋で父親であるジンさんにべったりだった。しかし、ある時期を境にルクの性格は急変した。性格は逞しく、陰険になり、人をからかうことが生き甲斐となっていった。

子は親に似ると言うが、あの少し親バカではあるが謹厳実直なジンさんとあの心が澄み渡るほど綺麗な聖女ニーセさんという素晴らしい両親から、どうしてルクのような性悪が育つのかが全く分からない。本当にルクは誰に似てしまったのだろう?


下らんことを考えてしまった。


俺の目の前には、バークス邸。あのオルセン・ハシュカレがここに居る可能性がある。

父上やアレンさんの好敵手だったと言われるオルセン・ハシュカレ。

是非、自分の実力を試す為に闘ってみたい。


そんな俺の隠しきれなかった欲求がジンさんの命令に打ち勝ってしまった。

少し情報を集めるだけならば良いだろうと言い訳を作る。


俺のこの軽はずみな行動が父が守った世界を危機に陥る騒動に巻き込まれる結果になるとは思っていなかった。父上よりも長き旅路になることも。


そして、これが彼女との出会いになるということも

さて、主人公リセス・ネイストの名前ですが、気付いている方もいると思いますが、設定上、リセスの父上が大好きな英雄を略して付けたということでございます。


では、問題です。名前だけ登場したルクちゃんは、母親の尊敬する人の名前から取ったという設定です。さて、誰でしょう?


『魔王との冒険記』からの新規読者の皆様には分からないだろう問題失礼しました。

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