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クレサイダ先生の異世界講座 2

またしても、この場に険悪な雰囲気へと変わった。クレサイダの遠慮無き一言によってだ。


「その世界の欠片を僕に渡してもらえないかい?」


「それは断る」


ジンさんの反応が当然だな。そう簡単に渡せるものでは無いだろう。


「クレサイダさんよぉ、お前がこれからどうするか次第だろ。俺たちの協力を得たいなら、もう少しこの件についての情報を出せよ。お前らはこれからどうする気だ?」


父上の場を取り成す質問。俺もそれは気になっている。


「異世界に行ったカイムを追うに決まってるだろう?」


「そんな事が出来るの~?」

ルクは興味津々だ。こいつは出来ると言えばついて行く気だ。


「出来るさ。セレミスキーはそもそも異世界に渡る鍵だよ。それがあれば僕なら出来るよ」


俺に意味ありげな視線を向けるクレサイダ。セレミスキーもくれと言うのか?


「ちびっと話を変えるがよぉ、セレミスキー無しでカイムはどうやって世界を渡った?」


「やなところに気付いてくれるねぇ、ライシス君。…リンセン・ナールスが魔王様を召喚した時と同じ魔具を使ったんだ。確かこの世界ではラートチの杖って呼ばれていたっけ?あれには全ての魔法が組み込まれてるんだよ」


「セレミスキーより凄い魔具と言うことだな」


「その通りだよ、リセス。リンセン・ナールスがガンデアからペグレシャンと共に持ち逃げして行方が分からなくなった筈だけどね」


先程の戦闘でマスナーが持っていたあれか。しかし、それは厄介なものだ。全ての魔法を使える。さらにラートチの杖が有る限りカイム一同は異世界を逃げ回れる。捕らえるのは容易では無いな。


「カイムがどの世界に居るのか予想は付くのか?」


また言葉が口を出てしまった。陛下の御前だ、気を付けないとな。


「フィフレか、アースだと思うよ。この世界に近いから」


「近いって言うと~?」


今度口を挟んだのはルクだ。こいつに陛下の御前は無関係なのだろう。


「うーん。クーレの異世界観は違うからなぁ。クーレでは異世界は上下関係で表すでしょ。アールを頂点にフィフレ、クーレ、アース、フォートン、最下部にヘブヘル。実際は違う」


クレサイダの手から六つの光の玉が浮かぶ。その六つの玉はクレサイダの前で六角形に配置され、その六つの玉を光の線が円に結ぶ。


「これが世界の形だよ」


「凄い!クレサイダってこんな事が出来るんだー」


宙に浮かぶ光球を見てルクが素直に驚く。


「全く。クーレ人はこの程度で驚くのかい?」


「私も知らなかった。やっぱりクレサイダは凄いね!」


更なるイルサの感激。ヘブヘルの王も興奮されてらっしゃるぞ。


「お褒めに与り光栄です。…とにかく、これがクーレだとするとこれがヘブヘルだよ。この円を辿ると一番遠い位置にあるだろ。つまり、この世界からヘブヘルへ繋げるのは難しいと言うことだ。クーレから普通の召喚方法だと二つの世界を経由する必要がある」


六つの球体の一つをクーレに置き換えて、そのクーレから円を直径になる線をヘブヘルへと引く。


「セレミスキーはこの道を開く唯一の魔具だ。ラートチの杖を除いてね。とにかく、この円に沿って隣の世界に行った方が楽何だ。そうすると…」


「その隣の球体はフィフレとアースってことだな?」


「その通りだよ。ライシス君。つまり簡単に往き来しやすいフィフレかアースにカイムがいる確率が高いってことさ。だからまずはフィフレに行って見るさ。勿論、セレミスキーが在れば…ね」


そしてクレサイダの関心は俺へと向いた。


「そこで、リセス・ネイスト。君が僕たちと来る覚悟が在るか、セレミスキーを僕に譲るかして欲しいんだけど?」


クレサイダの責めるような視線に俺は父上に視線で助けを求めていた。


「セレミスキーはお前に譲ったんだ。お前が決めるべきことだな、これは」


シラッと言ってくれたものだ。


「分かった。最後まで付き合ってやるぞ!クレサイダ」


「くれぐれも足を引っ張らないでね、リセス」


全く皮肉の多い奴だな。


「やった!リセスも来てくれるんだ」


イルサの喜びようはさすがに恥ずかしい。


「やっぱり君は来なくて良いよ。セレミスキーをよこせ。これ以上姫に近付くな!」


「何を今さら…」


「私も異世界に行きた~い!リセ君、連れてって~」


やはりお前ならそう言うと思ったぞ。すでに答えは用意している。


「絶対に断る!」

「絶対に駄目だ!」


計らずして俺とジンさんの言葉は重なった。


「何でぇ~!良いじゃんかぁ~。イルちゃん、良いよねぇ?」


「私は大歓迎だよ。アッ、でも危ないよ。やっぱりダメ」


「余計な人数はあまり増やしたく無いね。それだけ魔力を喰うんだから」


「余計じゃないよ~。私は見た目は可憐な乙女だけど、すっごーく役に立つよ!これでも聖女ニーセ・ケルペストの娘何だよぉ?」


本当にこれでも聖女様の娘なのが不思議で堪らない。


「尚更嫌だね」


イルサ、クレサイダ、いい判断だ。ルクを連れて行く様々な危険性をよく理解している。主に俺が被害を被る危険性だ。


こうして、ルクに破綻させられた真面目な会議は、俺が異世界にイルサ達と旅立つ事とルクは留守番と決定して終わった。

更新遅れやした。


私的事情です。今日明日中に後二話は更新したいな。


ご感想、ご指摘等ビシバシ送って下さい。そうすると作者の更新スピードが上がります。いや、頑張って上げます。よろしくお願いします。

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