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シーベルエンスに慈雨は降る

銃声一つ。赤い線がクレサイダの上級魔法ですら防いでいたウニロの魔術防壁を貫く。そして赤い線が炎の道へと変わる。


「アララ、あれ、結構痛いんだよねぇ」


その豪火の光景に唖然とする俺達の背後でクレサイダが敵に同情を送る。


「人の職場で暴れんで貰いたいな」


「ウワァ~出たよ。しかも美味しいところを持ってくしさぁ」


姿を現すはシーベルエ総騎士団長。この人が愛用のライフルを使うところを俺は初めて見た。そしてクレサイダがブツブツ煩い。


「やってくれるものだなクーレ人。少々舐めて居たようだ」

「おい!ハシュカレ!俺の娘を怪我させる気か。殺すぞ」


「やっと出てきたか、ジンサ・レッドラート!貴様は絶対に殺す!」


カイムの台詞はジンさんに届かなかったようだ。ハシュカレとジンさんには浅からぬ因縁があるらしい。いや、ジンさんは親バカなだけだ。


「マスナー、また何かを喚べ」


イルサの魔法を避けながらカイムが名前すら判明して居なかった女に命令をする。そのマスナーという女性が鉄で出来てるらしき白き棒を胸元へと持ってくる。あれは魔具なのか?


「リセス!あれだ!あれを奪え!」


クレサイダの命令。俺が走る。カイムが俺の前へ周り込む。チッ、カイムとイルサの間に入ってしまったか。イルサの魔法を俺に向けて撃つしかない。ルクの拳銃が火を吹く。しかし、ハシュカレがそれを弾く。


母上は顔傷を止めなくてはいけない。


「マスナー、上だ!避けろ!」


カイムの叫び。空を 流れる川。それは枝分かれをして俺たちの敵へと向かう。


只の水。しかし勢いに乗った大量の水は十分に武器となる。

水流に翻弄され流されるカイム達。流される魔法で拡声された声。


『諸君、まずは武装解除をして話し合おうじゃないか。うん、出来ればそうしてくれ。俺も訳が分からん』


国王の演説用テラスに立つ男。


「ライシス・ネイストォー!貴様ァ~!」


『ゲッ、ヒョロメガネが居やがる。テメェ、まだ下らんことやってのかよ。それよりテメェら、シーベルエンスには1000年以上の歴史を生きて来た歴史的建造物があるんだぞ!それを焼くたぁ、お前ら天罰喰らっとけ!』


父上が本気で怒っている。あんなに怒ったのを見たのは俺とレクス兄さんが父上と旅行で行ったルンバットの遺跡に悪戯をしようとした時以来だ。

おそらく心優しき父上は歴史の残るこの街の人々を傷付けられたことにお怒りなのだろう。


「チッ、あの男。クーレ人にしてフィフレの精霊魔法を使うとは、あいつは化け物か」


俺とつばぜり合いをするカイムがふざけたことを言う。父上が化け物?フィフレの精霊魔法を使う。こいつは全然父上のことを分かっていないようだ。


父上は全知全能の神に最も近き頭脳を持つと言われる男だぞ!異世界の魔法を行使するぐらい父上にとっては朝飯前なのだ。


「今回は退かせてもらった方が良いようだな」


カイムが俺のカタナから剣を離す。また逃がす訳にはいかない。しかし、こいつの魔法は舐められ無かった。また、手を翳すだけ。俺が宙を舞って地面へ叩き付けられる。


「「リセス!」」


様々な人の声が重なる。父上、母上、イルサ。最後はクレサイダなのか?大丈夫だ、殺傷力のある魔法では無かった。


素早く体制を立ち直す俺の目には召喚門が移った。


「クレサイダよ。我等は先に他の世界の欠片を手に入れることにした。出来るならば追ってこい。魔王の証とこの世界の欠片を持ってな」


カイム達は召喚門へと消えた。カイム達は異世界に逃げたらしい。終わったのか?いや、終わりでは無いだろうな。


『取り敢えずリセス、大丈夫か?』


急に静まった周囲に父上の声が響く。母上とイルサが俺の側に寄ってくる。


『まぁ、大丈夫そうだし、取り敢えず火事を消すために雨を降らすか?』


何処かでカエルの鳴き声が聞こえた気がした。


土砂降りの雨がシーベルエンスに灯る炎を消していく。


「凄いね、あの人!雨を降らせる魔法が使えるなんて!」


イルサの興奮している。俺もその感想には賛成する。


「違いますよ。姫。あいつはただフィフレからコーレイヌを」


「当たり前だ。あの人はこの世界を代表する魔導師であり、天道の賢者と呼ばれる人だぞ。天候を操るなど訳無いだろう!」


クレサイダの台詞に被ってしまったが何か言いたかったのか?


クレサイダも母上も何故だか微妙な笑みを浮かべている。俺は何か間違ったことを言ったのだろうか?

シリアス崩壊!


ライシスが全て悪いんだ!


ごめんなさい。天見酒のせいです。


次回はやっとこの物語の本題に近づきます。

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