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利用する者

「避けろ!」


俺が走りながらクレサイダに向かって放つ直線に雷魔法。


クレサイダが俺の突然の登場に反応が遅れるも避ける。クレサイダを闇討ちしようとしていた顔傷も止まる。


間に合う。クレサイダと顔傷の間に駆け込む。再び刃が振るわれるその間に。

間に合わった。俺の肩に走る裂傷。しかし、クレサイダには刃を通さなかった。


覚悟したよりは軽傷だ。カタナを振るうには支障をきたさない。

顔傷の縦薙ぎを止めた。



「何をやってるのさ、馬鹿か君は!この身体は僕の本体じゃない。君と違って剣じゃ僕は死なないんだよ」


「そうだったな」


そんなことは忘れていた。顔傷が俺から距離を取る。クレサイダの本体と同じ姿だろうウニロから氷魔法が放たれた。それをクレサイダは防ぐ。


「クレサイダ。すまない。俺が甘過ぎた」


「今頃気付いたの?君は本当に馬鹿だね」


カイムが向かって来る。ハシュカレも動き出した。イルサがカイムの前に立ちはだかり、ルクがハシュカレを牽制射撃する。

ウニロとクレサイダの魔法がぶつかる。

俺と顔傷は牽制状態。下手には動けん。口以外はな。


「クレサイダ。どうすれば良い。こいつらの狙いは何だ?」


俺の背後に居るだろうクレサイダに話し掛ける。


「僕に利用されたく無いんじゃ無かったの。僕が言うと思ってるなら、甘いね君は」


あぁ、俺が甘過ぎなのは分かった。だから言う。


「クレサイダ!俺を利用しろ。お前に従ってやる」


「それが甘ちゃんだって言ってんだよ!」


クレサイダが吼えながらウニロへと魔法を放つ。その通りだ。俺は甘ちゃんだな。でも、少しは分かったつもりだ。


「クレサイダ!俺はお前を徹底的に利用する。だからお前は俺を徹底的に利用しろ!」


それが俺の出したこいつへの答え。利用されることも利用することも嫌悪を示していた俺の答え。


「フン、少しは甘ちゃんから抜けたじゃないか、リセス?でもね、君が僕を利用する価値の方が大きいよ?」


からかうような声が背後から聞こえる。まあその通り。クレサイダにとっては俺を利用する価値が低い以上平等ではない。


「だから、せいぜい僕の足を引っ張らない程度に頑張りな」


クレサイダの言い種に鼻で笑ってしまった。少しはこの大悪党に認められたと自惚れて良いのだろうか。


「カイムの狙いはシーベルエ城に在ると思われる物だ!詳しい説明は後。リセス、こいつらを城に入れるなよ」


「了解した!」


誰の命令だろうが、今は構わない。出来ることをやる。不思議と俺にやる気と心強さが満ちて来る。

「リセスはその無愛想ニンジャの相手してて、ウニロとカイムは僕と姫で抑える。ハシュカレ中尉は…ルクに任せておけばいいから!」


「了解した!」


「クレサイダ、しっかりね!」


何故かイルサの声が弾んでいるように聞こえる。何故か俺の気分が弾んでいるせいなのか。


「ちょっとォー、私はヤバイよ~ぅ、私は後方支援だよぅ。早く何とかしてよー」


ルクに魔鎗使いの相手は厳しいか?ルクに視線を巡らす。

何だ?ハシュカレの動きがおかしい。前回対峙した時に比べて魔鎗の動きに鈍りがある。まるで手を抜いているかのような…調子がおかしいのか?

まぁ、これならば避けられ無くはない、ルクは大丈夫だろう。


イルサはカイムに接近戦を許さない。お得意の魔法によって牽制を続ける。少し心配だ。まるで止めを差さないようにしているようで…。

クレサイダは任せる。こいつの心配は無駄だ。それくらいならば自分の心配をする。


顔傷の男。前回のような不意討ちは効かない。しかもこちらは肩にハンディを負っている。それでもこいつぐらいは俺が抑えねばな。


「リセス!危ない!」


イルサの声。どこからか風魔法が飛んできていた。反射で何とか避ける。もう一人居た。ハシュカレ達と居たあの女。


その隙に俺の脇をすり抜け、城へと進む顔傷の男。くそ、追い付けるか?


しかし俺が追い付く必要も無かった。


ここより随分北の地方にいるはずのその人は当然のように突然に現れた。


「また貴様は邪魔をするのか!女ぁ!」

その鋭利なる技に阻まれた顔傷の男は吠える。


何故、この場にこの人が居るのか?そんな疑問が浮かばない程にその人らしい登場に思えた。その人の振るうカタナは綺麗過ぎるからだ。


その人が居るからには勝てる気がした。絶対にあの人が居るだろうからだ。負けることなど有り得ないあの人がシーベルエンスに居る。

さて、ここからあの人達のターンです。次回だけね。

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