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シーベルエンスに灯る戦火 2

シーベルエンスの空を舞うドラゴン。

シーベルエンス港に到着後のアレンさんの即断。


「第3遊撃隊はドラゴンを撃退する!リセス、ルク、イルサ、クレサイダは取り敢えず王城に向かって!」


「僕は君の命令に従う気は無いね。勝手にさせて貰うよ」


それだけ言うと翼を広げてクレサイダが飛び立つ。


「クレサイダ!」


「勝手に飛んでると敵と誤認されるよ!」


イルサの叫びとアレンさんの忠告は宙に響くだけだった。俺に取っては知った事では無い。

勝手にすれば良い!


「ルク、イルサ、王城に行くぞ」


第3遊撃隊が去った後にアレンさんの命令を遂行すべく俺が二人に言う。


「でも、クレサイダが…」



「あいつが俺たちを無視した。こちらが心配することではない」


イルサを諭すが効果は薄かったようだ。


イルサの腕を無理矢理引っ張る。何も言わずにその俺の行為に従うイルサ。俺にその顔を見ることは出来ない。見たくは無い。クレサイダの心配をしているだろうイルサの顔を。


走るしかない。アレンさんの命令通りに。途中に街中で出会ったドラゴンを無視した。民衆を襲うドラゴンを無視してしまった。でも、今の俺はシーベルエ城に向かうしかない。それが俺のやるべきことだ。アレンさんの命令に従った。俺は俺の正義に従ったんだ。それの何が悪い!少なくともクレサイダよりはましだ!



シーベルス城の門兵が横たわる。既に生きていなかった。騎士団員達の遺体が多い。ルクやイルサにこの光景は酷だったようだ。俺だって辛い。



城門をくぐった衆会場。そいつらはそこにいた。地に倒れ伏す翼をもがれたクレサイダと共にそこにいた。俺たちは間に合わなかったのか。いや、城内にはまだ入って居ない。


「無様だな、クレサイダ。流石の貴様もこの戦力差では勝てまい。貴様一人で向かって来るとはな、あのクレサイダも甘くなったものだな」


カイムの言葉に空から墜ちたばかりであろう血を流したクレサイダは立ち上がりながら言う。


「僕は昔600年も一人で居たからね。一人の方が動きやすいんだよ。どんな卑怯な手を使っても誰にも咎められないしね」


「やはり、クレサイダよ。お前は下衆だな。大きを知りながら小に拘る。貴様は魔王に拘り過ぎだ。そんな小さきことの為に己の手を汚すか?時間の無駄だ、そこを退け!」


「ふざけたことを抜かすなよ!ヘドが出るね!」


600年、その長い年月を異界の地で独りで過ごした男は語った。悪を。


「姫を守る為なら僕はどんな汚い手だって使うね。例え、それが誰に責められることになってもね」


「我等の高尚なる目的を知りながらまだそのようなことをほざくか」


「高尚!全く下らないね。僕は大悪人だよ。僕は僕のやりたいことをやるさ!君と同じでね!だから、君たちを全力で消させて貰うよ」


クレサイダの横から迫る刃。動く俺。


俺の信じる正義とやらはクレサイダに論破された。それだけのことだ。俺を動かしたのは。

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