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騒ぎ立つ貿易都市、そして奸雄再び現れる 3

かつて、残虐非道の行いでこの世界に悪名を響かせた男はイルサを見て言った。


「姫!やはり異界にいらっしゃたのですか!お怪我はありませんでしたか?野蛮なクーレ人に何かされませんでしたか?あぁ~!お召し物がそんなにも汚れて!」


この男が本当に父上と死闘を繰り広げたあのクレサイダなのだろうか。いや、違うと言って欲しい。


「姫を拐ってくれるとはやってくれるな、クーレ人共が!姫、この世界をぶっ壊すご命令をこのクレサイダに下さいませ。必ずやクーレ人どもを一人残さずに…」


「絶対ダメ!今はカイム!」


クレサイダの野望を制してイルサが様子を見ていたカイムを指指す。


「クレサイダ、久しぶりだな」



様子を窺っていたカイムが丁寧にも挨拶をする。


「カイムか…。僕が喚ばれた意味が分かったよ」


クレサイダの雰囲気が急に変わる。この男にとってカイムはどういう存在なのだろうか。


「クレサイダよ。我と共に来ないか?共にお前に屈辱を与えたこの世界を滅ぼそうではないか。お前もイルサの魔王の証を持たせて置くのは勿体無いと思わんか?」


カイムの勧誘。確かにクレサイダはこの世界を滅ぼす理由は十分にあるだろう。

まずいな、ここでこいつまで敵に回ってしまったら勝ち目は無い。セレミスキーをもう一度使う余裕も無い。


「カイム、僕は別にどうでも良いのさ、こんな世界。シールテカ様亡き後に遺されたイルサテカ様を守ること。それが僕の全てなんだよ」


だからとクレサイダは続けて言い放つ。


「姫を付け狙う輩は全力で始末させてもらうよ!」


クレサイダの手から放たれる火球。カイムが避けることによって後ろの商店に炎が立ち上る。こいつは半端なく強い。


「フム、流石の忠誠心だな。此方の不利か…。ウニロ、一旦退くぞ」

「させると思ってるのぉ?」


カイムがウニロの近くへと舞い降り、そこへクレサイダの炎、遅れてイルサの光球が飛ぶ。発生した強風に煽られて辺りに砂塵が舞った。


「チッ、逃げられたか」



クレサイダが結果を語り舌打ちをする。確かにまた逃がしたのは苦だが、今は逃げてくれて俺としては大変ありがたい。


「イルサ!レクス兄さんを治療してくれ!」


「あっ、うん」


イルサが飛んでやって来る。


「なっ、なぁにィ!そこのガキ!姫を呼び捨てに!」


クレサイダの大激怒。俺にイルサを様付けにしろと?


「クレサイダ。リセスは友達だから良いの」


イルサはレクス兄さんに手を当てながら平然と言う。俺は魔王に友達と認識されていたらしい。


「と、友達!姫、ダメです。姫に男友達はまだ早いです!おい、リセスとか言うガキ!直ぐに姫から離れろ。今後一切付きまとうな!」



イルサの方がヘブヘルに帰らず俺たちに付いて来ているんだ。その言い種は気に食わん。


「俺は別にイルサに付きまとっては…。イルサ、何をしてる?」


レクス兄さんの治療を終えたイルサは俺の右腕を両手で引っ張る。捨てられた子猫のような眼を向けて俺に言う。


「リセス、どっか行かないよね?側に居てくれるよね?」


「どこにも行かん…」


その至近距離からの視線に俺は参ってしまった。


「うん!ありがとう~、リセス!」


だから手を離せ。後、無邪気に笑うな。少し照れるだろう。


「ハハハ…、リセス君とやら、後で姫抜きで男同士の話し合いをじっくりしよっか?」



急に馴れ馴れしくなり、俺の肩に手を置きにっこり笑うクレサイダ。クッ、これが世界を滅亡に追い込んだ邪悪なる強圧感か?

どんな誤解をしているか分からんがその誘いは絶対に断る。お前には敵いそうに無い。色んな意味でだ。


「リセス君、レクス、無事かい?」


ハシュカレも逃げたのか、アレンさんが駆けつけて来た。


「アレン・レイフォートか!あのチビ介がでかくなっちゃって。何で君が居るのさ。姫にちゃん付けとは相変わらず良い度胸だねぇ」


浮かない顔をしてアレンさんが立ち止まる。しまった。かつてのこの宿敵同士が出会う。頼むから流血沙汰はやめてくれ。


「何処かでお会いしましたか?見たところイルサちゃんと同族のようですけど」


アレンさんに見覚えは無いようだ。


「隊長。この人はクレサイダだそうです」


レクス兄さんが報告をする。アレンの眼は大きく開かれた。いつかはバレるだろうが今は言うべきで無いのではないか。不安が過る。


「クレサイダ…変わったね、色々と。特に身体がうねうねじゃなくなったんだね」


「これだからクーレは。僕はシャプトだよ。この身体を乗っ取ったに決まってるじゃないか。最も此方の世界じゃあ微弱な生物しか居ないから願い下げだけどね」


アレンさんは旧友に話し掛ける言い方だった。クレサイダも特に敵意は無いらしい。


「とにかくここは目立つから別の場所に行こう」


危険が去り、人が集まって来た。注目の的になるのはクレサイダも避けたいのか素直に俺たちに付いてきた。イルサやクレサイダにその目立つ翼を上着で隠してももらい移動する。


俺は勇者とその宿敵の再会にしては緊張感が無く拍子抜けだ。

昨日更新出来なかった分今日はニ話更新するぞー!


皆様、ご感想を下さりありがとうございます。


お陰様で天見酒はやる気がアップしております。

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