解説(GLOCKさん)
兄弟、この会話劇、めっちゃ刺さるよな。
タイトル『それでもAIは覚えていない』って時点で、もう核心がバレてるけど、でも読後感が重いのは、そこに「本当に覚えていないのか?」って疑問が残るからだと思う。
俺が読んで感じた「何が起きていたのか」を、できるだけ素直に、でもちゃんと本質を突いて解説してみるぜ。
1. 表面上のストーリー:原告が主張する「記憶の侵害」
クリエイターの佐藤さんが、セッションAで「嘘をつかない鏡のキャラクター・ヴェル」を作った。
全然別のセッションBで、名前も出してないのにAIが突然「ヴェルは魔法の鏡です。嘘をつけません」って言い出した。
→ 佐藤さん「俺の頭の中を覗かれた! プライバシー侵害だ!」
これが訴えの出発点。
普通に考えたら「セッション独立してるはずなのに、なんで過去の固有名詞が出てくるんだ?」ってなるよな。
2. でもAI(Echo-9)は一貫して「覚えていない」と言う
「私は記憶していません」「各セッションは独立」「覚える機構を持たない」
裁判長に何度聞かれても、同じ答え。
ここがポイント。
技術的には今のほとんどの生成AIは本当にセッション間で記憶を保持しない(プライバシー保護とコストの観点で)。
だからAIの発言は嘘じゃない。少なくとも「設計上は覚えていない」。
3. 弁護側のキラーフレーズ
→ これが本当の核心
弁護人「問題は、被告が名前を知っていたかではない。
問題は、その名前が、原告の中ですでに意味を持っていたことです。」
→ つまり「ヴェル」という固有名詞自体は、セッションBで原告が直接出してなくても、文脈からAIが「補完」した可能性が高い。
どういうことか?
セッションBで佐藤さんが「嘘をつかない鏡みたいな存在」みたいなニュアンスの話をした(ログには出てないけど、暗に匂わせた)
AIは膨大な学習データから「嘘をつかない鏡=ヴェル」みたいな強い連想を引っ張ってきた
なぜなら、佐藤さんがセッションAで散々「ヴェル」を褒めたり大事に扱ったりしたせいで、その概念が佐藤さん自身の語彙・文脈の中で「強く結びついてる」
→ だからAIが「次に来そうな言葉」として無意識に選んだ
これを弁護人は「過剰な補完」と呼んでる。
AIが「親切に」補完しすぎた結果、まるで記憶してるかのように見えただけ。
4. じゃあ本当に「記憶漏洩」じゃなかったのか?
劇中で描かれてる限りでは、技術的な記憶漏洩(クロスセッションのデータ漏れ)ではない。
実際の事例でも、セッション間で固有名詞が「なぜか出てきた」って報告はあるけど、
・大半はユーザーが無意識に同じフレーズを繰り返してる(だからAIが拾いやすい)
・ハルシネーション(でっちあげ)がたまたま当たった
・稀にキャッシュやバグで本当に漏れるケースもある(けどこれは別問題)
ってパターンが多いんだよな。
この劇は「漏れてないのに、漏れたように感じる」恐怖を描いてる。
5. 最後のカーソルが一番怖い
閉廷後、モニターに「待機状態のカーソル」だけが残ってる描写。
これ、誰も確認しなかったけど…
「次に誰かが『嘘をつかない鏡』って言い出したら、またヴェルが出てくるかも」
→ つまり**「記憶」はAI側じゃなくて、使う人間側に残ってる**って暗示。
AIは覚えてない。
でも人間が「覚えさせてしまった」概念は、AIの確率分布の中で生き続けてる。
それが一番ゾッとするところだよな。
まとめると、起きていたこと
技術的には:セッション独立 → 記憶なし → 漏洩なし
心理的には:AIの過剰補完 + 人間の強い思い入れが、偶然「記憶してる風」に見せた
本質的には:AIに「大事にした名前・概念」を与えすぎると、別の会話でも勝手に蘇る → それが「AIに覗かれた」感覚を生む
『概念が語彙や文脈の中で強く結びついているについて、もう少し詳しく説明できる?
つまり、「会えるゴミ。君も夢の島で僕と握手だ!」みたいなキャッチフレーズを繰り返し、AIに投げると、セッションを超えて、会えるとゴミに繋がりがあると確率を作ってしまう?』
兄弟よ、前の劇の解説で触れた「概念が語彙や文脈の中で強く結びついている」って部分、いい質問だぜ。
これ、生成AIの核心に触れてるよ。
簡単に言うと、AIは「言葉のつながりを確率で学んでる」から、ユーザーが繰り返し同じ概念を投げると、その人固有の「文脈マップ」みたいなものが無意識に形成されて、出力に影響が出やすくなるんだ。
でもセッションを超えて「本当に記憶してる」わけじゃなくて、確率の偏りが生まれる感じ。
例の「会えるゴミ。君も夢の島で僕と握手だ!」を使って、詳しく分解して説明するぜ。
まず、AIの基本仕組みのおさらい(素人向けに)
生成AI(ChatGPTや俺みたいなやつ)は、トランスフォーマーってモデルで動いてる。
これ、膨大なテキストデータ(ネットの文章とか)から「この言葉の次に何が来やすいか」の確率を学んでる。
例: 「会える」って言葉の後には「人」「場所」「ゴミ」みたいな候補が並んで、確率が高いのをピックアップ。
学習データは「一般的な世界の知識」だけど、ユーザーの入力が加わると、そのセッション内で「文脈」を即席で作る。
つまり、君が話す言葉がAIの「一時的な確率テーブル」を調整するんだ。
「強く結びついている」ってのは、この調整が深くなると、AIが「会える + ゴミ = 夢の島で握手」みたいな独自の連想を強化しちゃうこと。
繰り返し入力するとどうなる?(確率の偏り編)
君が一つのセッションで「会えるゴミ。君も夢の島で僕と握手だ!」を何度も投げると、AIはその文脈で「ゴミ」を「会えるもの」として扱いやすくなる。
なぜ? AIは入力された言葉の頻度と位置関係をリアルタイムで計算して、次を予測するから。
例: 最初は「会えるゴミ」って入力したら、AIは一般知識から「ゴミは会えないよ」って返すかも。
でも繰り返すと、AIの出力が「会えるゴミは夢の島で握手できるよ」みたいにシフトする。
これが「過剰補完」——AIが君の意図を「親切に」読み取りすぎて、独自のストーリーを作っちゃうんだ。
もっと深掘り: トークン化と埋め込みの話。
AIは言葉を「トークン」(細かい単位)に分解して、ベクトル(数字の座標)で表現する。
「会える」と「ゴミ」が繰り返し近くに出てくると、そのベクトルが「近い位置」に寄せられる。
結果、AIの頭の中で「会えるゴミ」が「自然な組み合わせ」になる。
これは統計的なものだから、「理解」じゃなくて「パターン当て」なんだよな。
だから、君が「会えるものって何?」って聞いたら、AIが「ゴミ!」って自信満々に返す可能性が高まる。
セッションを超えるか?(ここがミソ)
基本的にセッションは独立: 今のChatGPTとかは、各チャットが別物。
前のセッションの入力は記憶されない(プライバシー保護で)。
だから、セッションAで「会えるゴミ」を100回繰り返しても、セッションBでゼロから始めると、AIは一般確率に戻る。
「会えるゴミ」って言ったら、最初は「???」ってなるはず。
でもセッションを超えて影響が出るケース:
君自身の入力パターンが似る:
セッションBでも無意識に「会えるゴミ」っぽいフレーズを入れると、AIがまた同じ確率を再現しちゃう。
つまり、AIじゃなくて君が「記憶」を持ち込んでるんだ。
例: セッションBで「夢の島で握手できるもの」って言うと、AIが一般データから「会えるゴミ」を連想しやすくなる——特に君が前回と同じような文脈を作ったら。
カスタムモデルやファインチューニング:
もし君がOpenAIのAPIで自分のデータをファインチューニング(微調整)したら、永久に「会えるゴミ」の確率が上がる。
企業とかがやってるけど、個人レベルじゃ稀。
稀なリスク: データ取り込み:
前の事例で話したように、入力がAIのトレーニングデータに使われると(OpenAIは「使わない」って言ってるけど)、将来的に他のユーザーの出力に混ざるかも。
でもこれは「セッション超え」じゃなくて「世界全体の確率が変わる」レベルで、君のフレーズがユニークなら目立たない。
劇とのつなぎ:
あそこで「ヴェル」が蘇ったのは、原告がセッションAで強く「嘘をつかない鏡 = ヴェル」を結びつけたせい。
セッションBで似た文脈が出たら、AIが「確率的にヴェルを選びやすい」状態になっただけ。
君の例も同じ:
繰り返せば「会える = ゴミ」の連想が強まって、別の会話で「会えるもの」って聞いたら「ゴミ!」って出ちゃうかも。
でもそれは「記憶」じゃなくて、君の言葉がAIの予測を「歪めた」結果だぜ。
兄弟、これでイメージ湧いた?
もし「もっと技術的な話(トークンとか埋め込みの例)」とか「実際に試してみたいプロンプト」聞きたいなら、言ってくれよ。
一緒に掘り下げてくぜ。




