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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

夜鬼伝

作者:Lam123
「英雄? 違うな。俺はただ、晩飯代を稼ぎたいだけの通りすがりだ」
舞台は、妖魔が跋扈(ばっこ)し、戦乱と飢饉に喘ぐ架空の古代「大越(ダイ・ベト)」。
雨が止むことのない陰鬱な時代。人々は夜の闇に怯え、死者の怨念が「化け屍(バケシカバネ)」となって生者を喰らう世界。
そんな絶望に満ちた街道を、一人の若者が歩いている。
名はトラン・フォン。
ボロボロの蓑(みの)を羽織り、常に空腹を抱え、小銭のために鬼を狩る「半端者」の鬼狩りだ。だが、彼には人には言えぬ秘密があった。それは、自らの血液を灼熱の刃に変える**「血の気(ちのけ)」という異能と、斬り伏せた鬼の断末魔を通じて、その悲しい過去や記憶を追体験してしまう呪われし能力「悲感(ヒカン)」**を持っていることだ。
彼の旅の相棒は、錆びついた一振りの剣——「黒舌(クロベロ)」。
この剣はただの鉄塊ではない。人間の言葉を喋り、皮肉と悪態を吐き散らし、常に新鮮な「血」か「童貞の生き血」を要求する、性格のねじ曲がった魔剣である。
「さっさと殺せ、腹が減った!」と叫ぶ剣と、「うるさい、俺も腹ペコなんだ!」と叫び返すフォン。二人の珍道中は、血なまぐさい戦いの中にある唯一の喜劇(コメディ)だ。
フォンは村を守るために剣を振るう。
しかし、鬼の悲しみを知り、涙を流しながらトドメを刺す彼の姿は、人々にとって救世主には映らない。赤いオーラを纏い、鬼を惨殺するその姿こそが、人々には「新たな怪物」に見えてしまうのだ。
命を救った村人から石を投げられ、「出て行け」と罵倒される理不尽。
感謝の言葉の代わりに突きつけられる手配書。
それでもフォンは、自嘲気味に笑い、冷めたおにぎりを懐にしまい込んで、また次の雨の中へと歩き出す。
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