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あーかい部! 66話 Gの試練

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。


……の前。あさぎはドアの隙間から部室の中の黒光りする一点を覗き、ブルっていた。




「やっぱり増援を……いや、誰か呼んでる間に見失ったら……くっ……!」


「増援?」


「うっひゃぁぁああ!?」




不意を突かれたあさぎの声は裏返った。




「あら、面白そうなものを持っているわね、あさぎちゃん♪」


「きょきょきょきょ、教頭先生!?」


「……『おばさん』でいいのに。」


「『おばさん』呼びなんてしたらひいろとの友情に亀裂が入るので……。」


「真面目なのねぇ?ところでそれ、殺虫剤?」


「はい。実は中に『(ジー)』が……。」


「『G』?」




教頭先生がドアの隙間から部室の中を覗くと、そこには黒光りする恐怖がのどかに触覚を揺らしていた。




「あらほんと。……捕まえないの?」


「むむむむ、無理ですよそんなっ!?」


「無理じゃないわよ、前に教えたマッサージのスピードがあれば手掴みできるでしょ?」


「素手で触るのが無理なんですって!?」


「そう……でもゴキブ


「その名前を言わないでくださいっ!?」


「そう?じゃあ……「G」を手掴みできればひいちゃんを越えられるわよ?」


「なんの対抗心ですか!?」


「……あさぎちゃん。」




教頭先生は神妙な顔であさぎの両肩を掴んだ。




「教頭先生?」


「私はね?ひいちゃんの当て馬になってもらうためにも、あさぎちゃんにはもっと高みを目指してもらいたいの。」


「ブレないですね……。」


「そのためにも……、


「?」




教頭先生はあさぎの不意をついて、手に持っていた殺虫剤を奪い取った。




「あなたに試練を課すわ。」


「ちょっと……!?」




教頭先生は素早くドアを全開にしてあさぎを中に押し込むと、目にも止まらぬ速さでドアを……閉めた。




『ちょっとぉぉお!?教頭先生!?いるっ!いるからっ!?無理っ!出して!うわぁぁぁあこっち来たぁぁああ!?』


「獅子は子を谷底に突き落とすものよ。」


『いや意味わから……ぎゃぁぁああ!?』


「道具を使わず、生きたままその子を捕まえてごらんなさい。そしたら出してあげるわ……。」


『無理無理無理無来るなぁぁあ!!??』




部室の中からは、あさぎが逃げ惑い壁や椅子にぶつかる音と、阿鼻叫喚の悲鳴が。




「虫を生かしたまま掴むテクニック、『G』を超えるスピードを身につけなさい。そうすればもっと高みに


『ふざけんなババうわぁぁああ!?』


「辛いけど、これが子を持つって言うことなのね……姉さん。」




中からの阿鼻叫喚を背に教頭先生が黄昏ていると、やがて部室の中から




『はぁ……、はぁ……、しゃぁぁぁああ捕まえたぜザマァ見ろク○虫がぁ……!!!」 』




あさぎの雄叫びが轟いた。




『元気なお子さんですよ……教頭先生。』




あさぎの報告を耳にし、教頭先生はドアをあけあさぎに抱き




「離さないでね?」




……つかず手に持っていた殺虫剤をゼロ距離で『G』に照射した。




「うわぁ無慈悲。」




やがて元気なお子さんは動かなくなった。




「とりあえずそれ捨ててきてちょうだい?」


「色々言いたいことはありますけど……そうですね。」





あさぎが『G』の亡骸を処分して帰ってくると、教頭先生はあさぎを強く、強く抱きしめた。




「おめでとう……!やり遂げたのね。」


「誰かさんのせいでですけどね。」


「やっぱり怒ってる……?」


「とても。」


「そ、そうよね……いくら修行のためとはいえ、こんな惨い所業……。」


「訴えられてもおかしくないですね。」


「お詫びといっても、今はこれくらいしかあげられないけど……、




教頭先生がポケットから一口サイズのおまんじゅうを取り出すと、へそを曲げたあさぎはそっぽを向いた。




「おまんじゅう1つで許されるなんて




教頭先生は目にも留まらぬ速さでそっぽを向いたあさぎの正面に回り込み、お口におまんじゅうを挿入した。




「ゆるひゅ……///」




あさぎ、懐柔。




「フフ♪じゃあさっそく、修行の成果を見せてもらおうかしら?」


「は〜い♪」




2人が部室に入ろうとすると、後ろから聞き慣れた声に呼び止められた。




「あら?あさぎちゃんに……教頭先生?」


「あ〜!?遅いですよ白ちゃん先生!」


「白久先生……その装備は?」


「え?」




白ちゃんは右手に電気ラケット、左手に殺虫剤、頭の上に蚊取り線香を、白衣のポケットというポケットから虫対策グッズがはみ出していた。




「『G』が出たんですよ……!これからソイツと


「それならあさぎちゃんが捕まえてくれたわよ?」


「…………は?」


「ほんと、死ぬかと思ったんですからね?」


「……マジ?」


「「マジ。」」




信じられないという顔で白ちゃんは立ち尽くした。




「どうやら白久先生はあなたのことを疑っているようねぇ?これは……、


「修行の成果、ですか……!?」




オヤツを見つけた犬の如く、あさぎが目を輝かせて教頭先生に(たず)ねた。




「…………よし♪」


「はいっ!」


「え?『よし』ってな




教頭先生に言葉の意味を聞いた頃には、あさぎはとっくに白ちゃんの背後に回り込み、




「ぁぁぁぁぁあああああ!!??/////////」




白ちゃんの背中で修行の成果を奏でていた。






あーかい部!(4)




あさぎ:投稿完了♪


きはだ:英雄だ


ひいろ:英雄の凱旋だな


白ちゃん:解せぬ


きはだ:もっと貢献したら?


白ちゃん:行った頃にはもう終わってたのよ


ひいろ:知ってるぞ


白ちゃん:っていうか2人ももっと早く来なさいよね


ひいろ:すまない、おばさんに屋上の掃除を頼まれていたんだ


きはだ:2人でやるの疲れた


あさぎ:っていうことは……あの状況、教頭先生が仕組んだの?


白ちゃん:そう言うことになるわね


きはだ:すくすくとあさぎちゃんが育っていくねぇ


ひいろ:負けていられないな


あさぎ:じゃあ『次』ひいろね


ひいろ:ごめん被る

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