桜散り、桜咲く
桜、雷槍の下で散り、
「...紫電、松島。ありがとな。......俺は、ここまでみたいだ。」
陽務桜花、19歳。
TLB:1988年、聖地フェルドアにて、命を落とす。
...だが、それは決して運命などではなかった。
むしろ、神はそれを赦さなかった。
彼の持つ生命力を実体化させる能力。
これを、彼の名前にある桜花。花に例えて命名された能力。
それを、花紋と呼んだ。
その花紋は、『伝染』する。
年月が経ち、時はTLB:2033年。
ここに、花紋を日常的に使う高校生がいた。
「...義景父さん、今から学校行ってくる。」
「あぁ、行ってらっしゃい。紅棘。」
俺は浅羽 紅棘。
今日、このソヴィリス空上連邦を出て、近くの諸国連邦『大日中帝国連邦』に向かう。
そのためには、上空2800地方超速船に乗る必要がある。
ちょっと前までは互いに仲が悪かったが、
軍事機関のトップに立つ人たちが和解したらしく、
その理由も"ある人物が亡くなった"からだという。
その人物の名を、『陽務桜花』。15歳で聖地フェルドアに転移してきた人物らしく、
その後も日ノ本紫電という少女と会ってからも、仲間を増やしていったとされる。
「アレがその駅か。広いな。」
見てみれば、周りのビルほど高くはないが、見たところ306階建てくらいだろうか。
ギリギリ見える範囲だ。
ただ、見た感じの幅は、ここが北口なはずだが、左右の端が見えない。
「...そこの人、少し質問させてもらってもよろしいでしょうか?」
「あぁ、観光きゃ⋯」
観光客かと聞こうと思ったが、そうでもなさそうだ。
大日中帝国連邦の軍服を着ている。
「私は大日中帝国連邦で外交職質を担当している、日ノ本神楽です」
「なんです?」
「......そこのホルスターに入っているのは銃ですか?」
「そうだが?」
言ってから気づいたのだが、これはもしかすると職務質問なのかもしれない。
いや、わざわざ隣国にきてまでやることだろうか。
「原則、一般人の方が銃を持つのは禁止されていますよね?」
「...だとしたら?」...まずい。第3者から見たらこれ、まずい回答じゃないか?
「没収させていただきます。」
「...Abgelehnt。」「はい?」
「......却下だ。」...この銃を取られるのはまずい。
「動くな。銃をよこせ。」銃を向けてくる神楽。ただ......。
「銃を向けるってことは...『撃たれる覚悟がある』んだろうな?」
腰のホルスターから銃を抜き、それを神楽に向ける。
「っ...!?」
「......撃てよ。『銃をよこさなければ撃つつもり』だったんだろ?」
これは一種の脅迫に入るのかもしれない。が、ソヴィリスでは法という法が崩れている。
「......遅いッ!銃を向けたからといい、撃つわけがないだろうッ!」
銃を投げる。
「...問答無用っ!」
神楽も負けじと発砲する。が、当たるわけにも行かない。
「...まだ。まだ俺にはこれがある。」
カバンから、黄金の剣を取り出す。
「.........来い、俺の補助人形ッ!No.1は『殺し屋』ッ!」
「...複数形アシスタントで来ますか。なら拙者はっ!補助人形、『土人形』。」
神楽もまた、黄金の矢に触れている。
「お前は、『殺し屋の射程圏内』に入っているッ!爆破しろッ!」
その途端、神楽の隣にあった中古車が爆散し、鉄くずが神楽にぶつかる。
「......派手にやって...くれ.........たわね...。」
「銃を向けた側が何を言う。」
この地に、平穏と平和は訪れるのだろうか。
桜、氷槍の下で咲く。




